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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
六章 Reality 9月

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76/136

第76話 この時代

学校ではプールの授業が終わり、

運動会の練習が始まった。

20年後であれば、

春に開催される運動会も珍しくはない。

しかしこの時代、

運動会といえば

秋に行われるのが一般的だった。

運動会の練習は

学年ごとの合同練習で、

6年生はボス猿がその指導をした。

ボス猿の指導は、

まるで軍隊であるかのように

厳しかった。

少しでも私語をしようものなら、

怒号が飛んできた。


ある日の組体操の練習中。

6年2組のお調子者の男児が、

ちょっとした悪ふざけをした。

ボス猿はそれを見逃さず、

すぐさまその子へ

容赦のないビンタを食らわせた。

当然。

ボス猿の指導に対しては、

多くの生徒が不満を持っていた。

しかし。

この時代、

このような指導は、

ごく当たり前のことだった。

教育という名の下で行われる体罰は、

学校という閉鎖社会では、

当然のように正当化されていた。

運動中の水分補給なども、

もっての外だった。


努力。忍耐。根性。


これらの言葉が

無心に崇拝されていたし、

誰もがそれを

当然のことと考えていた。

これからの20年で、

社会は大きく変わる。

この時代に

当たり前とされていることが、

次々と覆されていく。


我が物顔で喫煙している人間達が、

20年後には

肩身の狭い思いを

することになるなど、

誰も想像すらできないだろう。

マスコミの先導による

プロ野球人気も陰りを見せてくる。

CD販売で巨万の富を築いていた

ミュージシャンは

インターネットの発達とともに、

その稼ぎを失っていく。

葉山の死も20年後であれば、

もっと詳しい捜査が

なされていたかもしれない。

それに。

たとえマスコミや警察が

スルーしても、

個人で情報を発信することができる。

声を上げる人間が1人でもいれば、

それは大きな波を起こす

きっかけになる。

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