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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
五章 Regret 8月

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第68話 黄昏色の空

8月に入って

前期の夏期講習が終わり、

俺にとってようやく、

本当の意味での夏休みがやってきた。

しかし。

それは8月6日の登校日までの、

束の間の夏休みだった。

8月7日からは

中期の夏期講習が12日まで続き、

その後、

お盆休みを挟んで、

今度は24日まで、

後期の夏期講習が待っていた。

この時代の詰め込み教育は、

すでに小学生までをも蝕んでいた。


8月5日の午後。

俺達少年探偵団は

『Paradise Garden 中之島』

に集まっていた。


「こうやって集まるのも、

 久しぶりだね」

翔太は煙草に火を点けると、

小さな煙の輪をポンポンポンと

3つ連続で吐き出して、

白い歯を見せた。

「みんなは最近は、

 何をしてたのかしら?」

茜は今日はピアノのレッスンが

あるからと、

煙草には手を付けていなかった。

「俺とあっくんは毎日塾だぜ。

 本当、

 嫌になるよな」

「洋が塾だって。

 笑っちゃうよね、

 茜ちゃん」

腹を抱えて笑う翔太に、

「仕方ないだろ、

 いかなきゃ小遣いなしなんだから」

と洋は口を尖らせた。


その後も話は尽きず、

俺達は時間を忘れて、

他愛もない世間話に興じた。


俺達が『楽園』を出た頃には、

空はすっかり黄昏色に染まっていた。

カラスの群れが、

騒がしく空を飛んでいた。

その鳴き声に交じって、

パトカーなのか

救急車なのか

はたまた消防車なのか、

サイレンの音が鳴り響いていた。

俺達はそれぞれ自転車に跨り、

家路へとペダルを踏み込んだ。


夕食の後。

洋からかかってきた電話で、

俺は帰りに聞いた

サイレンの正体がわかった。

同時に。

俺は自分の無力さと能天気さに

うんざりした。

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