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第69話 夏休み中の不幸な事故
8月6日の登校日。
この日。
校長の勅使河原から、
葉山実果の死について
子供達に話があった。
校長は詳しいことには触れず、
「夏休み中の不幸な事故」
とだけ説明した。
余計な心配を子供達に与えないように
という配慮からだろう。
しかし。
子供は大人が考えているよりも、
ずっと情報に明るい。
噂話が好きな大人の傍で、
子供は常に聞き耳を立てている。
葉山の死が事故ではないことを、
子供達は知っていた。
葉山実果は8月5日の夕暮れ。
6年2組の教室のベランダから
飛び降りた。
葉山が一時期ふさぎ込んでいた
という証言が、
多数寄せられたこともあり、
警察は自殺と判断したようだった。
結局。
俺は彼女の命を
救うことができなかった。
彼女が以前のような明るさを
取り戻していたのは、
死を決意したことで、
迷いが吹っ切れたから
だったのかもしれない。
俺はもっと慎重に、
彼女の言葉の裏に隠された
メッセージを
読み取るべきだったのだ。
人の命を奪うことは簡単なのに、
その命を救うことは難しい。
少女1人の命すら救えなくて、
何が探偵だ。
俺は翌日からの
中期の夏期講習をすべて休んだ。
何度か洋から電話がかかってきたが、
体調が悪いと嘘を吐いた。




