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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
二章 Renewal 5月

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第16話 雨降って地固まる・・

仲直りをした俺と奥川の関係は、

以前よりも親密になっていた。

「雨降って地固まる」

とはまさにこのことだろう。

俺と奥川は、

毎日のように放課後の教室で

30分だけ一緒に勉強をした。

しかし。

勉強をするのは最初の5分だけで、

あとは他愛もない会話をして過ごした。

それから。

2人で下校した。

姉と2人で暮らしている家まで、

奥川を送ることが、

俺の日課になっていた。

初めて彼女の家を見た時は驚いた。

奥川の家は千代田町という

比較的閑静な住宅地にあり、

その中でも、

ひときわ目を引く大きな洋館だった。


「あっくん、

 今夜うちに来る?」

5月も半ばのある土曜日の昼下がり、

別れ際の奥川の言葉に

俺は固まった。

奥川は門の前で、

恥ずかしそうに俯いていた。

そんな奥川を俺は初めて見た。

大人びているとはいえ、

奥川もやはり小学生なのだと

改めて思った。

俺を家に誘うということは当然、

奥川の姉は留守にしているのだろう。

そう考えるのは。

俺が汚れた大人だからか。

俺は額に浮かんだ汗を

そっと手で拭った。

奥川が不思議そうにこちらを見ていた。

俺はゴホンと咳払いをしてから、

「何時に行けばいいんだ?」

と訊ねた。

「・・うーん。

 6時過ぎなら、

 何時でも大丈夫」

奥川は少し考えてから答えた。

俺は一度軽く唾を飲み込んでから、

「わかった。

 7時までには行くよ」

と返した。

玄関の前で、

奥川は振り向いて小さく手を振った。

俺は手を挙げてそれに応えた。

奥川が家の中へ姿を消した後も、

俺はしばらくその場に佇んでいた。

胸の奥が、

妙に落ち着かなかった。

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