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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
九章 Revenge 12月

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124/136

第124話 犯人はこの中にいる

12月18日。月曜日。

トーストと目玉焼き、

そして味噌汁という

和洋折衷の朝食を食べながら、

俺はテレビに目を向けていた。

6時50分になって、

天気予報のコーナーが始まった。

ネットがないので

天気予報も定時のニュース番組か、

新聞で確認するしかない時代だ。

若く容姿の整った

女性の気象予報士が、

「今週は天気も良く、

 この時期にしては珍しく、

 比較的暖かい日が続くでしょう」

と言っていた。

その時。

俺は2学期の終業式の出来事を

思い出した。

終業式の3日前から

突然降り始めた雪は、

終業式の朝になってようやく止んだ。

それは。

町全体を銀世界へと変えた。

この地域では珍しい積雪に

子供達は興奮していた。

終業式の後、

クラス全員で

雪合戦をしたのを憶えている。

誰かが投げた雪玉が大吾に当たり、

あの大吾が大声で泣いていた。

雪玉の中に石が入っていたのだ。

頭に大きなこぶを作り、

大吾はナカマイ先生に連れられて

病院に行った。

そこで雪合戦はお開きになった。

「今世」では

そんな光景を見ることは

できないだろう。

大吾はいないし、

ナカマイ先生も、

皆と一緒にはしゃぐ気分に

なれるかどうか。

ナカマイ先生は自身の進退について、

子供達に何と話すのだろうか。

そして。

それを聞かされた子供達の反応を

想像すると、

俺は胸が苦しくなった。

俺は鬱々とした気分で家を出た。


通学路に子供達の姿はなかった。

俺は足早に学校へ向かった。


遠くに校門が見えた時。

チャイムの音が聞こえた。

俺は一度立ち止まり、

大きく背伸びをしてから走り出した。

校門をくぐったところで息が上がり、

俺は校庭をゆっくり歩いて、

校舎へ向かった。

その時。

職員室の窓から、

俺を見ている人物に気付いた。

校長の勅使河原だった。

校長は俺と目が合うと、

腕時計を指すジェスチャーをした。

俺は頭を掻いて、

ふたたび走り出した。


教室に入ると、

室内は僅かに騒がしかった。

ナカマイ先生は

俺が席に着いたのを確認してから、

日直に合図を送った。

高田文悟と九重麻紀の掛け声で

朝の挨拶を済ませると、

ナカマイ先生は、

いつも以上に時間をかけて、

出席を取った。

今日は茜も登校していて、

久しぶりにクラス全員が揃っていた。

ナカマイ先生のことは残念だが、

今考えなければならないのは、

茜のことだった。

23日の土曜日は祝日、

24日は日曜日。

そして。

25日の月曜日が終業式。

つまり。

今学期の登校日は、

今日を入れてあと6日。

もし。

男を見つけられぬまま

冬休みを迎えることになった場合。

夏休みの葉山のように茜も・・。

俺は頭を振って、

その考えを払いのけた。


1時間目の授業の前に、

俺は茜を呼んで話を聞いた。

男の正体に関して、

俺は容疑者候補である

3人の名前を出したが、

茜はそのすべてに首を横に振った。

それでも。

俺は3人の中に

犯人がいると考えていた。


伊達孝允が口髭をつければ、

犯人の特徴と一致する。

織田隆盛が白髪のかつらをかぶれば、

これもまた犯人の特徴と一致する。

前田利通にしても、

サングラスをかけて、

白髪のかつらをかぶれば、

犯人の特徴と一致する。

犯人は3人の中にいる。

それが俺の出した結論だった。


昼休み。

俺は3人の顔を

自分の目で確かめるために、

職員室へ向かった。

そして。

伊達と織田の2人は確認できたが、

前田の姿は

見つけることができなかった。

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