第121話 目立つ特徴
毎週日曜日の午前中、
俺は時間をかけて
部屋の掃除をしていた。
日頃から綺麗にしておくことにより、
母が掃除を理由に、
部屋へ入ることを防ぐのが目的だ。
机の引き出しの中の現金は、
鍵を掛けているので
見つかる心配はなかったが、
例の物はいまだにベッドの下にあった。
早く処分をしなければと思いながらも、
それは地縛霊のように、
この部屋に留まっていた。
この日は、
両親が朝から外出していたので、
俺は昼食に炒飯を作って食べた。
1人暮らしは長かったので、
料理の腕には自信があった。
食後のコーヒーを淹れて、
俺は部屋に戻った。
そして。
紅葉から聞き出した情報について、
もう一度考えた。
白髪のオールバックの男は、
伊達孝允
年齢は紅葉の見立てでは50代。
若い頃に怪我をしたため、
左目が義眼だった。
その義眼を隠すために、
サングラスをかけているようだ。
受け持ちのクラスは3年2組。
黒いサングラスの男は、
織田隆盛
特徴的なのはそのパンチパーマだ。
黒いサングラスに口髭という、
堅気の人間に見えないその風貌は、
俺も何度か
学校で目撃したことがあり、
印象に残っている。
歳は30代半ばくらいか。
受け持ちのクラスは1年1組。
口髭の男は、
前田利通
彼は用務員として、
この学校で働いていた。
紅葉曰く60代前半。
坊主頭のその男を、
俺はまだ見たことがなかった。
3人ともそれぞれに目立つ特徴がある。
今年になって
転校してきた俺は兎も角、
茜は3人を知っているはずだ。
にもかかわらず。
茜は男を見たことがないと言った。
そこが引っかかった。
俺は頭を振って、
机の上の6年3組の連絡簿に
目を落とした。
連絡簿には
クラス全員の住所と電話番号が
載っていた。
当然、
担任であるナカマイ先生の
住所と電話番号も載っている。
ご丁寧に
校長の住所と電話番号までもが
書かれていた。
この時代。
個人情報などという概念は
無きに等しかった。




