第10話 勝算
翌日から早速。
俺は奥川を口説く準備に取り掛かった。
小学6年生の頃の奥川は
クラスの誰とでも分け隔てなく接する
明るい少女だった。
奥川を口説くにあたって、
俺には勝算があった。
それは根拠のない自信ではなく、
冷静な分析の結果だった。
20年後と違い、
この時代、
小学生で恋愛ごっこをしている子供は
少なかった。
しかし。
いつの時代にも
はみ出し者は存在している。
早熟した子供達の中には、
男女の機微を楽しんでいる者は
少なからずいた。
そして。
奥川はそういったことに
興味がある少女だと俺は考えた。
中学で不良になり、
その後、
夜の世界に身を投じることからも、
俺は彼女の本質は、
そこにあると考えた。
それに。
クラスでも目立つ彼女は、
自分が特別な存在であることを、
周囲の女友達に誇示したいはずだ。
女のプライドはともすれば、
男のそれをはるかに凌駕する。
誰よりも早く
恋人ごっこに興じることは、
彼女のプライドを満足させるには
十分だと思った。
そして。
その相手役として、
俺は合格ラインには達している。
少なくとも。
足切りになることはない。
勉強も運動もできる、
ちょっと大人びた謎の転校生。
小学生相手なら十分に戦える。
俺はそう判断した。
そして。
俺は奥川に近づくために、
転校生としての身分を
最大限に利用した。




