表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/16

異世界転生者は成長が早過ぎるッッッ!!!

 空からメドゥーサーが落ちてきた。


 土煙で姿は未だ見えていないというのに、冒険者達に緊張が走る。


「ヤツの眼は絶対に見るな!!石にされるぞッ!!」


 フォースが皆に注意を呼び掛けている。既に余裕は無く、冷や汗が頬を伝っていた。




「ふーーーん。


 オニーサン、サクッッッと倒しちゃって♡♡♡


 ティシー達の眼に石化なんて効かないから♡♡♡」


 ラグニアならやれる。ティシーは彼一人に任せる判断をすると腕を組み見守る。


「……うん、頑張ってみるよ。


 今の僕にどれだけ出来るのか、試してみたいしね」


 ラグニアは単身、土煙が上がっている場所へと歩みを進める。


「……ッ!!君!!一人じゃ危険――」


「心配しなくて大丈夫だよーーー???


 誰も邪魔しないでね???


 彼、未だ力の制御とか出来ないから巻き込まれちゃうよ♡♡♡」


 無邪気な笑顔で恐ろしい事を言ってのける幼女に人々は戦慄した。




「あらァ〜?


 フフ、アタクシの事が怖くない虫が一匹居るようで……?」


 土煙が晴れていく。


 緑色の肌に紫の鋭い爪。肌には鱗が生えていて見るからに人外な生物が立っていた。


 ティシー程の幼さ、下着にしか見えない程の必要最低限の黒い布。両の眼は蛇の『ソレ』であり瞳は石のような色味をしていた。




 ――バキィィィィィィン!!




 眼を見開きラグニアと視線が絡み、メドゥーサーは勝ちを確信する。


 ……しかしラグニアは石化せず、依然として歩みを進めていく。


「ン〜?アタクシの眼の調子が悪い……?」


 ラグニアを観察しつつ何かを考え込んでいる様子。




「う……俺はァ……一体何をしてェ……ッ?」


 アイギスに金的を潰され気絶していた金髪長髪の男が目を覚ました。


 ――この最悪なタイミングで。




「……あらあらあらあらあらァ〜、丁度いいわァ〜♡」


「……へァ?」


 声のする方を警戒心も無く向いてしまった。


 ――バキィィィィィィン!!


「は?――なァッ!?うわぁぁああああ!?何だコレェッ!?せ、せせせせ石化ああああッ!?ふ、っざげンなァああああ!!?じ、死にたぐないぃぃいああぁあああああああ!!!!た、だ、ズぅげ――……」


 男はメドゥーサーと視線が絡み合い、結界と同様に石になってしまった。


 メドゥーサーは生物と視線が絡み合った時、相手の魔法や物体を視認した時、石化したいと念じたその瞬間に対象を石化出来る。そして――


「壊れろ♡」


 その石を念じるだけで壊す事も可能だった。石化した男の身体がヒビ割れ、石の破片へと変わり果ててしまう。


「……ふむ?


 アタクシの石化能力はやァ〜ッぱり何の問題もないわねェ〜。


 つまり……この虫が異常なのねェ〜?


 それならァ……ッ!!!!!」


 ラグニアに石化能力が通じないと分かると直接攻撃の準備へと移行する。


 肌の色よりも更に濃い緑色で絶えずウネウネと(うごめ)いていた髪の毛の先に魔力が流れていくと、髪の束の一つ一つが毒蛇(どくじゃ)の頭へと変貌していく。


 本体の口からは猪の牙が生え、腕は青銅へと変化。金色(こんじき)の翼が腰から生え、下半身は巨大な蛇の胴そのものに成り果てる。


「このアタクシに人間如き虫ケラが勝てる筈がナイ……!!」


 冒険者達は誰もが勝利を諦める。それ程までに圧倒的な圧、魔力、オーラを放っていたのだ。アダマス・ドラゴンとは比較にならない位に、遥かに強い存在だった。


「僕、槍のサソリとしか戦闘経験が無いから、勝てるかは分からないけれど……やるだけやってみないと……ねッ!!」


 ラグニアの左眼だけがレモンイエローに輝くと両足にレモンイエローの稲妻が走る。


 超人的に跳ね上がった瞬発力と機動力を活かし、待ち構えているメドゥーサーへ向かって一気に駆け抜ける。それはスコルピオース戦で見せた速度を遥かに凌駕するモノだった。


「――ッ!?」


 メドゥーサーはその速度を警戒するとうねるように空へと昇っていく。


 速度が速ければ速い程に威力も上乗せされる。ならば遠ざかりながら上空へと昇れば威力を軽減出来るのも道理。


 メドゥーサ―がこれまで幾度も冒険者やモンスターとの戦いを勝ち抜いて磨いてきた戦闘のセンスが冴え渡っていた。




 ――グパ――ァッ。




 口を大きく開けると口の両端が裂ける。


「喰らえェアアア……ッ!!」


 咥内に濃い緑色の魔力が収束し、物凄い衝撃音と共にラグニア目掛け光線が照射される!!


「ッ……!!


 でも……避ける必要は無さそう……かなッ!!」


 ラグニアの右眼がスカーレットに燃え上がると炎の手刀で光線を縦に両断!そのまま稲妻の速さで光線を切り裂きながらメドゥーサーへと跳躍する!


「グッ……このムシケラがァァァ!!」


 髪の蛇の一匹一匹も口を裂き、ラグニアへと光線を放つ。




 ――しかし、ラグニアには効かない。


 左眼もスカーレットに燃え出し、左手の手刀で薙ぎ払うと光線が全て燃え散る。


 空中で対峙する二人。


「グッッッ!!


 ダガ、無駄だッ!!今のアタクシを斬れる者は存在しないィィィィィッッッ!!!」


 メドゥーサーは両の腕で首を守る。青銅と化した腕の硬度はメドゥーサーの石以上の硬さを誇る。


 更に金色の翼で身体を覆う。羽根の一片一片が石化した上から金色のコーティングがされており並みの攻撃は受け付けない。


 その上から巨体な蛇の胴体を巻き付け球体状に変化した。鱗の一つ一つを石化し、完全な石の塊になった。


 メドゥーサーの石化は本来常人には破壊出来ない程。メドゥーサー自身が破壊を念じて初めて壊れる程の代物だった。


「アーーーッハッハッハァァァァアアア!!!


 この完全防御形態のアタクシは無敵ィィィィィッッッ!!!


 ムシケラの魔力が切れてから、思う存分ゆっくりじっくりたっぷり甚振(いたぶ)ってや――」




 ――ボッ!!




「……ッ???


 な、なんだ???ナンダ???なんナンダ???


 この魔力???あの虫か???


 あのムシケラの魔力ナノカ???


 人間の魔力とは到底思えな――ッッッッ!?!?


 ま、マサカ、き、きききききききキサマァァァァァアアアアアアアアッッッ!?」


 ラグニアは魔力を高める。


 メドゥーサーは守りを固めに固めた結果、視界を完全に失った事により他の五感が鋭敏になり魔力をも詳細に観察出来た。


 そして、気付く。気付いてしまう。




 ――ラグニアの異常さに。




(まずいマズイ不味い不味イィィィィィッッ!!


 守りを解いて逃げ――)




「悪いんだけど――」


 ラグニアの瞳はレモンイエローとスカーレットが両の眼で交互に煌めき、瞳の中で同居していた。


 稲妻と炎は混じり合い、二つの性質が一つの性質へと変化していく。ラグニアはこの戦いの中で急速に・急激に・激的に進化していく。


 炎で活性化し稲妻で加速するラグニアの速度は鋭敏になったメドゥーサーですら感知不能で、一瞬で石の塊となったメドゥーサーの眼前へと移動する。


 その移動の超スピードを利用し、手刀を思い切り薙ぎ払う。




「これで終わりだよ――ッ!!」




 炎と稲妻を纏った手刀は石の胴体に触れる直前、あまりの高熱に石が溶け手刀を避けるかのように抵抗も無く斬られていく!!


 石の奥、金色の翼へと当たると火花を一瞬散らすも、スカーレットの炎を纏うレモンイエローの雷が横に一閃――ッ!!!!!




「――ガッッッ……??」




 メドゥーサーの金色の翼も、青銅の腕も、石化させていた首も、その全てが等しく斬られていた。




「バッッッッッ、ぞ、ぞんなバ……ガな……バガなァアアァアアアァァアアア――」




 ギュオオオオオオオオオオオオオ――



 ――ドォォォォォオオオオオオンッッッ!!!!!




 それはあまりにも早過ぎて――




 首を斬られて落下中のメドゥーサーの頭は溶けて消失。地面に二つの魔眼だけが落ちると同時に、遅れて雷鳴が轟いた。




「……あの……メドゥーサーを……いとも容易く……」


 ギルドマスターのフォースは目の前で起きた出来事を信じられなかった。人類が長年勝てず、数え切れない程の先人達や仲間達が石化され、尊い犠牲になっていた相手……。その相手を、最低ランクのFランク冒険者が倒してみせたのだ……。


(聖獣様と行動を共にしている時点で、只者では無いのは分かっていた……分かってはいたが、よもやこれ程の実力者とは……)




「オニーサンすッッッごーーーい♡♡♡


 強そうなの倒せたねーーー!!!


 さっっっすがティシーのラグニア♡♡♡」


 遠くからティシーが手をブンブンしながら称賛してくれる。


「さっすがー!


 ティシーのじゃなくて、あたしのお兄さーんっ!」


 アイギスも叫ぶとティシーは頬を膨らませてる。


「あはは、二人ともありがと――」




「―――ッッッ!!!」「―っ!」




 今この場に居る者の中で、ティシーとアイギスだけが『ソレ』に気付き、反応する。




(お兄さんを助けなきゃ―っ!)


 アイギスのその純粋で強い想いが、アイギスを覚醒させる――!


 外見だけゼニスブルーにしていた瞳が『パールホワイト』の光を淡く帯びる。その光はアイギスの髪や身体をもパールホワイトに光り輝かせていく。


 そして、両の脚へと光が収束していくと――






 ――アイギスは跳んだ。ラグニアの炎と稲妻を掛け合わせた先の速度をも超える、光の速度。




 パールホワイトの光が(またた)き、アイギスはティシー以外にはラグニアでさえも追えない程の速度でラグニアの元へと辿り着いていた。


「っ!?


 アイギ――」


 ラグニアの言葉を待たず、ラグニアの身体に思い切り抱き着くと空間を蹴り上げ、直ぐにその場から離脱する。




 ギルドの者達には一瞬の出来事で、尚且つアイギスのパールホワイトの光が眩し過ぎ、ラグニアが突如パールホワイトの光と共に消えたようにしか見えなかった。




 ――そして。






 ドォォォォォオオオオオオン!!

 ドォォォォォオオオオオオン!!




 二つの『何か』がラグニアが数秒前に居た場所へと寸分(たが)わず落下してきた。

 設定


 メドゥーサー・ゴルゴンゾーラ

 ゴルゴンゾーラ三姉妹の末っ子。この世界で唯一『石化』能力を所持。緑色の肌には鱗。髪は肌より濃い緑で常にウネウネと蠢いている。紫色の鋭い爪は毒々しい。ティシー程の幼さ。下着にしか見えない必要最低限の黒い布。両の眼は蛇の眼で石のような色味。

 戦闘形態は髪の束一つ一つが毒蛇の頭へと変わる。口には猪の牙。腕は青銅。綿密には青銅色の金属で本来の青銅よりも強固。金色(こんじき)の翼が腰から生える。羽根の一片一片に金色のコーティングがされていて腕よりも強固。下半身は巨大な蛇の胴。本来石化で勝負が決する為、全体的に防御に特化している。

 純粋な硬さはアダマスの方が上だが、攻撃を加える側にも受ける側にも其々の魔力分が上乗せされる為、フォースを始めとするアダマス王国の冒険者がアダマス製の武器を用いたとしてもメドゥーサーを斬れる訳では無い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ