メスガキ蛇娘と『エンゲージ』した異世界転生者は相性が良過ぎるッッッ!!!
「ガルルルルルルァアアアアッ!!!!!」
クイーネの凄まじい咆哮。肌がビリビリと痺れるような感覚……。
「ラグニアッ!!」
エウはエンゲージリングの透明な瞳にレモンイエローの光を灯す。ラグニアはそれに呼応するかのように自身の両眼をレモンイエローに輝かせた。
先程とは比較にならない稲妻は、雷鳴を轟かせ雷となりクイーネ目掛けて這いずり迫るッ!!
「ガルルルルゥゥゥウウウウッ!!
グパァァァアアアッッ!!」
クイーネが口を開けると赤黒い球体状のエネルギーの塊を生む。天輪が幾重にも重なると雷へと解き放つ――ッ!!
――ドォォォオオオオオンッ!!ゴロゴロゴロゴロッ!!
地面の氷も割れて木々は吹き飛び天が裂け空間が歪む……。
「ガガガガガッ!!」
クイーネは笑っていた。目の前の敵を『格下』だと。『餌』だと認識している強者の余裕。
「……お兄ちゃん、コイツ……知能が高い」
ラグニアにしか聞こえないようにエウは囁く。決してお兄ちゃん呼びがしたかった為では無い。決して。
「そうみたいだね。でも、僕達は負けないッ!!」
ラグニアの瞳にスカーレットの炎も混じっていくと右の手刀に再びマグマのような剣を帯びる。
ラグニアの両脚が眩しく発光すると雷の軌道でクイーネに急接近し懐へと入り込む。
その雷をマグマの剣に纏わせた手刀をクイーネの胸に突き刺す――ッ!!
――ドプッ!!
真紅のクイーネの外殻が赤白く光り輝き、火山の噴火の如くマグマが身体を貫通し噴き出すッ!!
「ガガッガルルルアァァアアア……ァァアア……ガッ……!!」
ドプッ!!ドボドボッ!!ビチャビチャッ!!
貫通した胸の風穴は焼け焦げ体液は出なかったが、臓器をやられたクイーネは獣のような口から緑色の体液を吹き出している。ワスプルギスとは違い蜂蜜の体液ではなかった。
ラグニアはそのまま手刀を上へ振り上げると王国からも見えるほどの火柱と共にクイーネの上半身が消し飛ぶ。
「これで終わりだね。
エウのお陰で勝てたよ、ありがとう」
「は、はァ!?べっ、べべ別にあーしは戦いたかっただけだし!?お兄ちゃんの事助けたかった訳じゃないし!?」
「ソウカ――コレガ外ノ世界カ」
「え」
ラグニアは声のする方を見た。クイーネの……腹。
上半身が焼け焦げ消え失せていたクイーネの下半身。その腹が帝王切開したかのように大きく裂け、中から透明な体液に塗れた別の何かが――
「お兄ちゃん――ッ!!」
エウは右腕に溶岩を纏う。それは強固な鎧を纏うドラゴンのようだった。
手を目一杯広げ、『ソレ』目掛けて振り下ろす。爪の一つ一つが灼熱に染まり、その軌跡をマグマが描いていた。
「斬撃カ。我ノ外殻ニハ――ッ!」
「喰らえッ!!」
マグマの斬撃が当たるより先に掌の中心から炎の爆風が『ソレ』を襲う!!
ドッ!!ドンッッッ!!ドドド!!ボォォオオオオオオオオオ!!
幾度も真っ赤な爆炎と共に盛大に爆ぜると大量の火炎放射が吹き付け、五つの斬撃が地面ごと爆炎を斬り裂く――ッ!!
「お兄ちゃん距離を取るよッ!!」
エンゲージリングで稲妻を発生させるとエウが腕力だけで後ろへと飛び退く。
「エウごめん、判断が遅れちゃった……」
ラグニアには実践経験が少な過ぎた。突然の敵に身体が反応出来ず、パニックに陥っていた。
「気にしなくてイイ。
今は……アイツを何とかしねェと……」
「……」
アイギスは爆炎を見ていた。先程までの楽しそうな笑みは消えている。
「お兄さんとエウには悪いけど、『アレ』はあたしが――」
「グギィ?」
「――っ!?」
ドンッッッッッ!!!!!!!
心臓が止まるかと思う程の強烈な音と衝撃でアイギスの周りの地面が大きく陥没し、アイギスと何者かが下へと落ちていく。
「アイギスッ!!」
ラグニアは落ちていったアイギスの方を向いていると――
「他人ノ心配ヲ、シテイル場合カ?
人間……ッ!」
『ソレ』は一瞬で間合いを詰めてくる!!
キィィィィィンッッ!!
蜂の腹のような剣と手刀の剣が交わり激しく火が爆ぜ酸の毒液が飛び散る――ッ!!
「ぐッ!?……お前は何者なんだ!?」
顔や雰囲気こそクイーネに似てはいるが、両の脚で立ち、二つの腕が有り、片手に剣のような武器を持ち今まさに斬り掛かって来た相手は『人間』に酷似していた。
「我ハ……クイーネル――ッ!」
キンッ!!
激しく弾くと互いに距離を取った。
「アレは……突然変異の『魔人』だよ」
「魔人!?それってエウと同じ……つまり強いって事?」
「いや、あーしは元々魔人として無から生まれた存在。アイツは魔獣が突然進化した生命体……。
次の新クイーネとして腹に居た子供が進化しやがッたんだ……ッ!!」
「出自ナド関係ナイ……我は強イッ!!」
茂みからラグニアの眼では追えない速度でティシーに向かって何かが突っ込み、ティシーが消えた。
「ティシー!!
くそッ!!」
クイーネルに突っ込みそうになるラグニアの身体をエウが抱き締める。
「お兄ちゃん!!焦らないで!!
アイツなら問題ない!!でしょ!?お姉ちゃんに勝てる奴が負けるわけない!!今は目の前の敵に集中して!!」
エウの言葉と伝わってくる体温と想いにラグニアは冷静さを取り戻す。
「そうだね……僕達はコイツを倒そう……ッ」
ラグニアの表情は、とても頼れるモノになっていた。何も知らない者が今の彼を見たらこう思うだろう。
『勇者』と。
設定
クイーネル・メガララ・ヴェスパーダ
クイーネの腹から出て来たクイーネ似の魔人。新女王として生まれる筈が新種として生まれ落ちる。顔は母親と同じで言葉を扱える。腕二本に脚二本だが形は蜂+獣でクイーネと同じ。蜂の腹と針の様な剣の先には緑色の酸の毒が滴り落ちる。蜂の羽も生えていて機動力はクイーネを軽く凌ぐ。
本来ならばクイーネとして生まれ、独立し営巣して兵隊の数を殖やす生態。
メガララ・ヴェスパーダ・クイーネの体液
毒性も無い緑色の只の血。透明な者は羊水に似たモノ。




