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メスガキパーティの強さは底が知れな過ぎるッッッ!!!

「……アレはメガララ・ヴェスパーダ。


 ワスプルギスの巣を襲って幼虫や卵を食べる蟲」


 エウが説明してくれたメガララ・ヴェスパーダ。


 ワスプルギスよりも強い事はその大きさからも伺い知れる。一匹一匹がクインの倍は有る……。


 見た目は真っ赤な雀蜂だが、特筆すべきは大顎。雀蜂ではなく最早クワガタのような立派な顎……。挟まれたら只では済まないだろう。


「とは言っても中級だからね〜~~♡♡♡


 スコルピオース・スピアーよりは強いけど、今のオニーサンなら余裕だよ♡♡♡」


「あはは……」


(余裕って言われても、スコルピオースやメドゥーサーと違って恐怖を感じるのは前世で雀蜂の怖さを知っているから、かな?)




 ラグニアの読みは正しかった。生前、有毒な蠍は生息していなく、野生の蛇も滅多に出ない環境で暮らしていたラグニアにとっては雀蜂だけが身近な毒蟲だったのだ。


 身体に染み付いた恐怖を拭うのは困難だが、恐怖が有るからこそ身体を最適解な動きへと導いてくれる。




 ラグニアは目を閉じて深く呼吸をする。ラグニアの吐いた息は高温を放ち、空気が歪んだが本人は温度にも揺らぎにも気付いてはいなかった。


「行くよ、エウ!!」


「……ン」


 レモンイエローの稲妻で巣の上空へと一気に飛び上がる――ッ!


「ガガッ?」


 雷鳴のような音と発光でメガララ・ヴェスパーダ達が気付き上を見上げる。


「燃えちまえッ!!」


 背中から乗り出したエウと目を合わせた数体が溶岩に成り果て発火するッ!!


「ガガガッ!?」


 やはり蟲は蟲、火が苦手なのか魔眼の餌食にならなかった数匹が飛び立つ。


 ワスプルギスよりも重く響く羽音――




「逃さないよっ!」


 一匹の懐にアイギスが潜り込む。


 メガララ・ヴェスパーダはアイギスの腹部目掛けて毒針を刺そうと腹を湾曲させるッ!!


「そんなの、あたしには効かないもんっ!」


 強力な蹴りで毒針を蹴り上げると毒針は金属音と共に折れ、メガララ・ヴェスパーダ自身の腹部へと突き刺さるッ!!


「ガ―ッ!?」


 身体の構造上毒の効果は無いのだが、腹部を貫通した針の物理的なダメージにより墜落しそうになる。


「安心して、一瞬で終わるからっ!」


 握り拳に力を込めるとパールホワイトの光が収束していく――!


「光の拳っ!」


「――ッ!?」


 下顎目掛けての強烈なアッパーにより、大顎は砕け散り当たった瞬間にメガララ・ヴェスパーダは息絶えた。光の速度の衝撃はメガララ・ヴェスパーダの亡骸を天高く吹き飛ばし、あまりの威力に雲が割れる程だった。




「アイギスってネーミングセンス無さ過ぎてざぁぁぁこ♡♡♡」


「雑魚じゃないもんっ!」


 ティシーは両の眼をアイスブルーにすると地面を凍らせていく。


 温度を下げ凍らせておく事でラグニアやエウの炎系統の力での大森林の大火(たいか)を防ぐ目的だった。




「ガガガグガガガァッ!!」


 残りのメガララ・ヴェスパーダ達はラグニア達目掛けて飛んでいくッ!


「僕の力を見せてあげるッ!!」




 ラグニアが今まで通り、スカーレットの光を灯して4本の指で炎の手刀を出そうとした――




 ――その時!!




 ――ゴォォォオオオオオオオッ!!


「なっ!?


 これって……!?」


 スカーレットの炎の手刀はコレまでとは全くの別物になっていた。炎の大きさ自体比べ物にならない程に大きくなっていたのだが、空間が歪む程の高温。加えて炎が形を成していた物はまさしく(つるぎ)だった。


 刀身はマグマの如く赤白く発光しており、先端からは溶岩が溶け落ちる。


「――倒す!!」


 メガララ・ヴェスパーダの群れを目掛けて横に薙ぎ払うッ!!


「ガ――――」




 ボォォオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!




 メガララ・ヴェスパーダ達はあまりの高温に強靭な外殻(がいかく)ごと溶け落ち燃え尽きた。


 ティシーは準備していた地面のアイスブルーの氷で森を包み込み熱とマグマを相殺する。




「オニーサン、強くなったのは良いけどさーーー、周りに気をつけないとダメダメダメ!!!」


「あはは、ごめんごめん……」


 ラグニアはゆっくりと着地する。


「この炎の力……マグマの感じとエウの感じもしたし、エウとエンゲージ結んだからかな?


 それともエウのエンゲージリングの力?エウとエンゲージしたから炎の力が強化されたのかな……。


 つまりエウも僕とエンゲージしたから僕の――」


「なッ、何回もッ!!エンゲージエンゲージ連呼しないで……ッ!!」


「あ……ごめんね?」


 背中のエウはコーラルピンクの肌でも分かるほどに真っ赤に紅潮していた。


「エウ……滅茶苦茶恥ずかしがってるけど、初夜にオニーサンにあんなにキスマ――」


「ワーーーーーーーッ!?テメッ!!


 ッザッケンなよッ!!


 つーか、し、しょ、しょしょしょ初夜なんて、未だだ、バーカッ!!」


「未だって事は…嫌だなーあたし純潔の人しか好きじゃないもんっ」


「〜〜ッ!!」


 エウがアイギスを滅茶苦茶睨んでる……。


「……ん?そのキスマってな――むぐっ」


「お兄ちゃんは知らなくてイイからねッ!?」


 口を塞がれて何も喋れないラグニア。


「……てかオニーサンの事を『お兄ちゃん』って呼んでるんだ?カーーーワイーーー♡♡♡」


「〜〜ッ!!」


 エウに限界が来たのか完全に項に顔を隠してしまった。


「ぷはっ!!はぁはぁ。


 もうティシー、エウの事あんまりイジメないでよ〜?」


「仲間同士のスキンシップでーーーす♡♡♡」




「ガルルルルルルァアアアアッ!!!!!」


「!?今のは!?」


「……あの声はクイーネ。メガララ・ヴェスパーダ・クイーネ。


 さっきの奴等の女王だよ」


 エウは顔を上げないで告げる。恥ずかしさが限界突破していたようだった。


 木々を荒々しく押し倒しながら、地響きと共に巨躯(きょく)な蜂の化け物が現れた。


「……ワスプルギスのクインとは大分違うんだね……」


 それは最早『蟲』ではなく『獣』だった。クイーネは魔物では無く上位の存在である魔獣。牙と五本指に爪のある、まさに獣。大きさもアダマス・ドラゴン程もある。


「……でも、今の僕にはエウの力が有るし余裕かなッ!!」


 左手薬指の魔眼を見せ付けるッ!!






 ――が。


「なっ……!?」


「ガルルルル……!!」


 一瞬、身体が硬直し火花が爆ぜたものの、溶岩にならない!!


「ッ!!お兄……ら、ラグニアッ!!


 アイツ、普通の個体より強いンだッ!!


 魔眼は自分と同等やそれ以上の相手には通じづらいッ!!」


 初めて名を呼んだ事で引いてきていた顔の紅潮がまたぶり返す。


「成る程……じゃあ実力で倒すよ、エウ!!」






 二人は目の前のメガララ・ヴェスパーダ・クイーネを倒す為、本気を出そうとしていた。

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 メガララ・ヴェスパーダ

 真っ赤な身体の蜂型の中級魔物。外見は雀蜂のようだがクワガタに酷似した大顎を持つ。毒針の威力と毒性はワスプルギスと比較にならない。神経毒で、生物の組織を破壊し、複数回刺すとアレルギー反応を引き起こす可能性が増していく。モデルはオオスズメバチとメガララ・ガルーダ。


 メガララ・ヴェスパーダ・クイーネ

 女王個体。中級魔獣で兵隊個体とは違い六本の脚の先は五本指になっていたり口の中には牙も生えていたりと獣に近い生物。ワスプルギスや他の魔物を兵隊に襲わせて栄養にする。

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