表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デバッグアルバイトのおっさん、転生して勇者となる。(デバゆう)~デバッグ知識で、異世界の壊れた運命を書き換える~  作者: うずまき鳥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/94

飛空艇対決(1)

 突然宣告された、原作者山田疾風怒濤との対決……

 一介のデバッグアルバイトである俺に、勝算はあるのだろうか?


 飛空艇は、天才カラクリ師・バレット爺さんが考案し、今、開発の真っ最中だ。

 爺さんと出会って、開発に協力すれば……手に入る可能性は高い。


 こっちが有利な点としては、爺さんの弟子であるアヴィを仲間にしていること。

 それと、転生者なので時間が確保できることだ。

 観察者の山田疾風怒濤は、睡眠時間しか活動できないからな。


 しかし不利な点……知識の質と量に、圧倒的な差がある。

 彼は子供の頃から何十年も、この世界を夢で観察し、記録し続けてきた。

 ほんの数年、このシリーズをデバッグしただけの俺とは大違いだ。


 能力だって未知数だ。

 原作者ならではの、とんでもないスキルを持っている可能性もある。

 ……勝てるのか? いや、でも挑まれた勝負だ。受けて立つしかない。


「アヴィ、君の師匠に聞いたんだけど……力を貸してくれる?」


「……かせて」


「『任せて』だそうだ」


「あ、それも通訳する必要ないですにゃん」


 ……またミネアに突っ込まれてしまった。


 ◇


 ミネアの師匠であり、飛空艇研究の第一人者・バレット爺さん……。

 彼は、ヴァルカニアの北にあるテラピン村に住んでいた。

 辿り着くためには、山脈をぐるっと迂回する必要があるのだが……


「ま゛」


 変身したアヴィが山を切り拓き、あっという間にショートカットができた。

 ……マジですごいぞ、MS少女。


「このまま道沿いに進めば、テラピン村に着きますにゃん」


「そうなんだけど、ちょっと寄り道をさせてくれ」


 飛空艇を完成させるには、エネルがんという魔石が必要なのだ。

 先にこれを手に入れてから、バレット爺さんに会った方が効率がいい。


「この先にある『湖畔の森』に棲む魔物を退治してからにしよう」


「何か考えがあるのね?」


「ああ。任せてくれ」


 ◇


 湖畔の森は、強大な魔物で溢れていた。

 巨大な一つ目の熊、クリティカル攻撃を得意とする一角のウサギ。そして黄金色に輝くイノシシ……。


 それらは全て、アヴィとレベッカの『カラクリシスターズ』が瞬殺した。


「ま゛」


「ロケットパァンチ!」


 特に金色のイノシシは、獲得できる経験値もゴールドも高い。

 稼ぎ場所としては最適なのだが、ミネアがちょっと不満そうだ。


「私たち、あんまり活躍できてませんにゃん」


「この先、ちゃんと出番があるぞ。準備していてくれ」


 森の奥には、電気を帯びたネズミの大群がいた。

 電気ネズミと言っても、マスコット的な可愛らしいモンスターではない。

『エネラット』という、発光するドブネズミだ。


「アヴィ、レベッカ! 気を付けろ! ヤツに触れると、機械が誤動作するからな」


「ま゛」


「承知!」


「ミネア! 水属性の魔法攻撃!」


「はいですにゃん! フラッシュ・フラッド!」


 突然現れた鉄砲水によって、エネラットたちは溺死した。


「よくやったぞ、ミネア!」


「活躍したら、頭なでてくれる約束ですにゃん」


「え? そんな約束、したっけ?」


 ……まぁいいや、と思いながらミネアの頭をワシワシする。


「ずるい! あたしも!」


「ま゛」


「わかったわかった。平等だもんな」


 ひとりひとり、順番に頭をなでてゆく。

 ……それにしてもアヴィ、あの仮面の上からなでられて、感覚とかあるのかな?


 ◇


 やがて俺たちは、湖畔の森最奥部に辿り着いた。

 その名の通り、広い湖が広がっている。

 ただの湖ではない。光の加減によって、湖面がエメラルドグリーンやコバルトブルーに染まる幻想的な景色が広がっていた。


「すごく……綺麗な場所ですね」


「ああ。ターコイズ・レイク(トルコ石の湖)と呼ばれているらしい」


 以前と比べると、エリザはこうやって感情を表に出してくれるようになった。

 それがすごく嬉しい。


「でも気を付けてくれ。そろそろ、この湖のヌシが出てくる頃だ」


 言い終わらないうちに、湖面が急に波打ち……やがてザバァッと真っ黒な影が顔を出した。


「ひっ! ヘビ……ですか?」


「安心しろ。デンキウナギだ!」


「あ、だったら平気ですね」


 どの辺が大丈夫なラインなのか、俺にはちょっとわかりかねるのだが、エリザが戦えるなら心強い。


「こいつもさっきの敵と一緒だ。直接攻撃はカラクリを誤動作させる!」


「だったら、あたしの出番ね! グランド・ハリケーン!!」


 巨大な竜巻が何本も現れ、湖のヌシに大ダメージを与えている。

 ……いつの間にか、アネモネの風魔法も進化したようだ。


「よし! とどめだ! ブレイズ・オブ・アルマゲドン!!」


 俺が炎系の最上位魔法を唱えると、湖のヌシは一瞬にして黒焦げとなった。

 そして死体から、虹色に輝く岩が転がり落ちる。


「エネル岩だ。これを持って、バレット爺さんのところへ急ごう」


「はいですにゃん……あれ?」


 ミネアの視線の先には、不自然に貧乏ゆすりをしているアヴィがいた。


「ん? どうしたアヴィ、行くぞ?」


「ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛!!」


「ど、どうしちゃったの?」


「機械の……誤動作だ!」


「そう言えばさっき、尻尾の一撃を食らってましたにゃん」


「ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛!!」


 アヴィの右手に怪しい光が集まり始めている。

 まさか俺たちに……攻撃をしようとしている?


 きゅぃーーーん!!


 俺たちが戸惑っている今この瞬間にも……アヴィの右手にはどんどんエネルギーが充填されている。あれを喰らったら……ひとたまりもないぞ?


 そのとき――


「グランド・ディスペル!!」


 間一髪、エリザの状態解除魔法が発動し、アヴィは正気に戻った。

 ……いや、効果がばつぐん過ぎて、変身解除どころか全裸になっている。

 しかも、付けていた仮面まで外れて素顔が見えている。


 ……童顔で小動物っぽい可愛らしさだ。

 美少女仮面という二つ名も決して誇張ではない。


「み、見ちゃダメです!!」


 俺の視線に気付いたエリザが、上着を脱いでアヴィの顔を隠す。

 ……え? 体は……見て良いのか? さすがに倫理的な問題が……


「彼女、ヒデオさんに素顔を見られるのをすごく恥ずかしがってたから……」


「な、なるほど」


 アヴィは気絶したままだ。小柄な割に……スタイル良いな。出るとこ出てるというか……あぐっ!


「体も見ちゃダメですにゃん!」


「喰らえ! サルミブラインド!」


 ミネアの電撃魔法をくらい、レベッカの義手から放たれた『まずい飴』に両目を塞がれ……俺も気を失った。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ