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デバッグアルバイトのおっさん、転生して勇者となる。(デバゆう)~デバッグ知識で、異世界の壊れた運命を書き換える~  作者: うずまき鳥


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機械都市ヴァルカニア(2)

 この町を訪れた目的は、セイクリッドセブンの一人アヴィゲイル=ダークハートを仲間にすることだ。まずい飴なんて食べてる場合じゃなかった。


 我に返った俺は、アヴィの家へと向かった。

 でも、会ってくれるかどうか……


 原作では、セイクリッドセブンを集結させたいウィル王子が何度もアプローチするが、頑なに会ってくれなかった。

 あの諸葛孔明ですら三回で会ってくれるのに、アヴィの場合は5回アプローチしてもダメだったのだ。


 アヴィの家は異彩を放っていた。

 何本もの煙突が、バラバラの方向にそびえ立ち、変な色の煙を吐いている。

 でっかい歯車が回り、レトロフューチャーなネオン管が光っている。

 やたら目立つ家だ。けど原作通り、扉は閉まったままだった。


 ◇


「ねぇヒデオ、アヴィゲイルって、どんな人なの?」


「俺も聞いた話なんだけど……すごい人見知りで、ずっと仮面をかぶっている。

 別名、『仮面の美少女』だ」


 仮面と言っても、ポ○トリンみたいに目だけ隠すタイプではなくて(例えが古いか……)、アフリカの民芸品というか、呪術用マスクというか、漆黒の木でできた不気味な仮面だ。

 サ○コーヒー本店の壁に並んでる……と言っても通じにくいか……中○らもの『ガダラの豚』の表紙に描かれた仮面……いや、これも通じにくいか……とにかく、顔全体を覆う不気味な仮面なのだ。


「え? 仮面を被ってるのに、なんで美少女だってわかるの?」


「いや、そこまでは知らないけど……」


 正直、これは本当にわからない。

 こういうゲームでは普通、仮面は取れるのがお約束だ。

 でもアヴィゲイルは、どんなにデバッグしても仮面は取れなかった。

 素顔が見れる隠しイベントがあるのでは? と、ウチのデバッグリーダーが仕様確認したところ、そんなものは無いと断言された。


 しかも山田疾風怒濤がその日SNSで「眼鏡キャラは眼鏡こそが本体。なのに『この子、いつ眼鏡取るんですか?』みたいなアホな質問をしてくるヤツがいて、今あたまフットー中!!」と呟いていた。


『セクハラ4』に眼鏡キャラはいないから、これは明らかにアヴィゲイルのことだろう。

 おそらく、うちのデバッグリーダーからの指摘を皮肉った書き込みだ。


 てか原作者が、SNSで仕事の愚痴を呟くなよ!

 ほんと、ゲームクリエイターって性格悪い奴が多い。


 とにかく、原作者である山田疾風怒濤の強いこだわりによって、仮面は付けたまま絶対に外さないということになっているらしい。いや、眼鏡キャラなら話はわかるけど、仮面は取るだろ? ふつー……まぁ、この辺のこだわりは人によって違うのかもしれないけど……


 実際、発売前人気投票でも、アヴィはぶっちぎりの最下位だった。

 ただ、デバッグしてわかったのだが……この子、確かに変な子だけど憎めないというか、だんだんクセになってくるというか…………とにかく不思議な魅力がある。


 それでも不満だったのは某人気声優を使ってるのに、声には常に変なエフェクトがかかっていて、仮面をしているのだから確かにそれがリアルなのかもしれないけど、そのこだわりは余計というか、声優の無駄遣いという感じがしてもったいなかった。


 ◇


 おっと、つい話が長くなってしまった。早くアヴィに会わなければ……


 とりあえず、呼び鈴(おそらく魔道具)を何度か押したが、まったく反応がない。


「ねぇ、どうやって会えば良いの?」


「うーん……」


 原作では、ウィル王子が市場で偶然手に入れた『鳴らない笛』をアヴィが気に入り、それを交換条件にして仲間になった。

 今回も、それをやるしかないな……


「よし! 役に立たない物を役立てよう!」


「え? どういう意味?」


 ……確かに、だいぶわかりにくい表現だ。

 でも、言葉通りの意味なのだから仕方ない。





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