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デバッグアルバイトのおっさん、転生して勇者となる。(デバゆう)~デバッグ知識で、異世界の壊れた運命を書き換える~  作者: うずまき鳥


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王都、そして勇者の儀(5)

 宿に戻った俺たちは、鉱山で汚れた体を拭くことにした。

 日本人としては、できればこういう時はひとっ風呂浴びたいところなのだが……この世界では、入浴は貴族だけの習慣なのだ。


 そもそも水を汲むのも大変だし、それをお湯にするのにも労力がかかる。 だから庶民は手桶にお湯、場合によっては水で体を拭くだけという、いわば風呂キャンセル界隈……いや、風呂キャンセル世界なのだ。


「さて、俺は井戸から水を汲んでくるよ」


「あ、お水なら私が用意しますにゃん!」


 そういうとミネア嬢は、水魔法を唱えて手桶いっぱいに水を溜めた。


「すごい。何でもできちゃうんだね!」


「うん。便利な猫だ」


「えへへ。照れちゃいますにゃん」


「他にどんな魔法を使えるの?」


「水と氷と光だけですにゃん」


「すごいなー。あたしなんて、魔法はからっきしだし……」


 この世界で魔法を使える人間は少ないし、使えても大抵はひとつの属性だけだ。

 でもミネアは水と氷、それに光の魔法を使えるようだ。 水と氷は同じ系統だけど、それでも二系統・三種類の魔法を使えるというのはすごい。


「じゃあ、この水をお湯にするのは俺に任せてくれ」


 手桶に溜めた水に、ファイアーボールの魔法を一発。 ちょっと火力の調整が難しかったが、いい感じの湯加減になった。


「た、タケベさんの方が、ずっとすごいですにゃん」


「確かにね。瞬間移動のスキルに、火の魔法だもんね。剣の腕前もすごいし……ただ、ヒデオに関していえば、ちょっと規格外っていうか……」


「わかります。ちょっと異常な感じですにゃん」


「そうそう。異常! 成長速度も異常だし、なんか他にもスキルを隠し持ってる感じだし……とにかく存在自体が異常!」


「そうそう、アブノーマルですにゃん」


「ひ、ひどい言われようだな……」


「何言ってるんですにゃん? 褒めてるんですにゃん!」


「そうよ? 絶賛してるんだけど?」


 ――とてもそうは聞こえないので、褒められても素直には喜べない感じだ。


「まぁとにかく、これで体を拭いてくれ。俺は隣の部屋にいるから」


「えー? 一緒でもいいのに……」


「じょ、冗談だろ?」


「うん。もちろん」


(今ちょっと顔赤くしたの可愛いよね?) (はい。意外と純情なところありますにゃん)


 去り際にそんなひそひそ声が聞こえてきたが、もちろん聞こえないフリをした。


 ◇


 身だしなみを整えた後、俺たちは服屋に向かった。


 ゲーム世界では、こんな店はなかったし、そもそも服なんて買う必要がなかった。 武器を変えるとキャラの見た目は変わったが、防具に関しては何を装備しても変化なしだったからな。

 だから、こうして着せ替えを楽しむのは初めての経験だ。


「ヒデオさん、この服どうですかにゃん?」


 試着室の扉が開いて、ミネアが出てきた。 シックな感じの黒のドレスだ。正直、黒猫みたいでものすごく可愛い。


「に、似合ってるよ。でもちょっと胸元が……開きすぎてて……」


「それが狙いですにゃん」


 ミネアは背が低いので、俺の視線的には、その大胆に開いた胸の谷間を覗き込むような感じになってしまう。


 これはダメだ。年齢制限がかかってしまう。 15禁……いや、下手したら18禁? Web漫画だったら間違いなく黒い海苔ノリみたいな四角いヤツで隠される。


 もちろんこれはゲームではなくリアルなので、そういう業界の自主管理団体みたいなものは存在しない。 それでもなお、この谷間は目の毒過ぎる。


「と、とにかく! 8歳が肌の露出をしちゃダメ!」


「8歳は猫なら充分に大人! むしろ、熟女といっても過言ではないですにゃん!」


「いや、過言だろ? とにかくダメ! ダメったらダメ!」


 ちょっと膨れっ面になったミネアが更衣室に戻った後、入れ替わりにアネモネが出てきた。


「じゃーん! ヒデオ、これなんかどうかな?」


「いや、自分で効果音つけるなよ……」


「口ではそんな冷たいこと言いながら、でも視線はあたしのセクシーなボディに釘付けでしょ?」


「う、うるさい!」


 確かにセクシーなドレスだ。

 肌の露出自体は少ないのだが、全身にピッタリとした感じで体のラインが強調されている。

 色は真紅。名前の通り、目の前にアネモネの花が咲いているような艶やかさだ。


「あのさ……聞きにくいんだけど……」


「ん? 何よ?」


「……胸、盛ってる?」


「盛ってないわよっ!!」


 よく自分から貧乳ネタを振っているから勘違いしていたが、こうして見ると意外と……ある。


 特にウエストがしっかりくびれている分、胸も強調されて……いや、あんまりジロジロ見るのも悪いな。


「……ちょ、ちょっとぐらい……褒めなさいよ」


「確かに」


「え? 何その反応?」


「いや、確かに心の中では褒めてたけど、ちゃんと口に出してなかった。すごく似合ってる。いいと思うよ。セクシーだし……その……」


「きゅ、急に褒めないでよね!」


 照れているのか、やや大股で更衣室に戻っていった。 でもなんか嬉しそうな表情だったし、やっぱり思ったことはちゃんと伝えないとな。


 その後、ミネアとアネモネに俺の服も選んで貰った。

 黒のタキシードなんて今まで着たことがなかったが、こっちの世界に来て体が引き締まったせいか、自分で言うのも何だが意外と似合っていた。




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