表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デバッグアルバイトのおっさん、転生して勇者となる。(デバゆう)~デバッグ知識で、異世界の壊れた運命を書き換える~  作者: うずまき鳥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/92

リアラの魔道鏡(6)

「お待ちしてましたにゃん」


 冒険者ギルドに着くと、ミネア嬢が迎えてくれた。緊張して尻尾がピンと立っている。


「マスターは、先ほど外出しましたにゃん」


「それじゃ、今のうちに彼女に『リアラの魔道鏡』を使おう」


 そう言ってアネモネを紹介する。


「アネモネです。よろしくね」


「こちらこそ、よろしくお願いしますにゃん」


「か、可愛い! ねぇ、猫耳触っていい?」


「ヒャン! まだ許可を出してないですにゃん!」


「そんなこと言わずに、先っちょだけ」


「にゃぁーーん!」


 ――なんか、ずっと見ていたい光景だ。 しかし、残念ながら俺たちには時間がない。

 そう思う気持ちはエリザも一緒らしく、優しい声で急かしてくれた。


「あの……そろそろ始めましょうか?」


「そ、そうでしたにゃん!」


「えー! もうちょっと触りたかったのに……」


 俺たちはギルドマスターの部屋に行き、ミネア嬢に『リアラの魔道鏡』を使ってもらった。


「見たことないくらい、綺麗な純白ですにゃん。アネモネさんは潔白。間違いありませんにゃん」


「では、私が証人になります」


 そう言って、エリザも『リアラの魔道鏡』を覗く。


「確認しました。とても澄んだ……美しい純白の光が見えます」


「となると、やはりシュミット爺はアネモネに無実の罪を着せたことになるな」


「いくらギルドマスターだからって、許せませんにゃん!」


「告発しましょう。ウィル王子にお願いして、正式な手続きを……」


 その時、部屋の扉が勢いよく開いた。


「ん? 誰を告発するって?」


 そこには、ギルドマスターのシュミット爺が立っていた。 すぐ後ろにはウィル王子……どうしたんだろう? ちょっと顔色が悪いみたいだ。


「シュミットさん、たった今アネモネに『リアラの魔道鏡』を使ったところ、潔白であることが判明しました」


「だから何だというのかね?」


「これはつまり、ギルドマスターであるあなたが、何らかの理由で彼女をお尋ね者に仕立て上げた……違いますか?」


「ほぅ、だとしたら……どうするつもりだ?」


「あなたを拘束します。ウィル王子、手伝ってくれ」


 ――しばしの沈黙。 しかし、ウィル王子は焦点の定まらない目で立ち尽くしたままだ。


「う、ウィル王子?」


「無駄だ。こいつは俺の操り人形だからな」


 シュミット爺が、ニヤニヤしながらこちらを見ている。


「ど、どういう意味だ?」


「ふふふ、タケベとか言ったな……お前は俺のことを、ただの老いぼれだと思っていないか?」


「……え?」


「俺がこの歳になるまで、ずっと冒険者ギルドのマスターとして力を振るってきたその理由を、お前は少しでも考えたことがあったか?」


「…………」


 確かに俺は、油断をしていた。 『セイクリッド・ハートランド』は、武器屋の親父すらスキルを持っている世界だ。


 それをわかっていたのに、シュミット爺の調査を怠った。 よく考えたらわかることだ。冒険者ギルドのマスターが、ただの老人であるわけがないということに。


「お前たちの計画は、ここにいるウィル王子から全て聞かせてもらったよ。魔香炉を見つけ出し、スタンピードの原因を突き止め、俺の存在にまで辿り着いた……そこまでは上出来だ。しかし……俺を敵に回すには、まだまだ経験が足りないようだな。ふふふ……」


「……くっ!」


「俺のスキルは、傀儡かいらい言霊ことだま。言葉だけで簡単に人を操ることができるのさ」


「それで……ウィル王子を……」


「操れるのは一人だけではないぞ」


 そう言ってシュミット爺は、アネモネの前に立ち、瞳をのぞき込む。


「アネモネ……確かに今のお前は、潔白かもしれない。しかしな……悪事ってのは簡単に染めることができるんだよ。さぁ、このナイフでタケベを刺し殺せ」


「そ、そんなこと……するわけないでしょ!?」


「もう一度言う。このナイフで、タケベヒデオを刺し殺せ、こいつはお前の……かたきだ」


 その時――。 アネモネの目から光が消えた。そう、今のウィル王子と全く同じ表情だ。


「かしこまりました……マスター(ご主人様)。このナイフで、タケベヒデオを刺し殺します……」


 ナイフを持ったアネモネが、ゆっくりと俺に近づいてくる。 これがシュミット爺のスキルか……まずいぞ……どう対処したらいいんだ?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ