王都バルディア(10)
「よう、おっさん。また会ったな?」
「貧相な顔して、結構金持ってんじゃねーか!」
振り返るとそこには、アラン&クレインの『あらくれ』コンビがいた。
「へへっ! 女に助けられるような弱虫め!」
「今日は一人か……大人しく金を出しやがれ!」
俺は、よっぽどこの二人組と縁があるらしい。 だとしたら……そろそろ、わからせてやる必要がある。
「そうやって、他人の財布を当てにして生きるのって、格好悪くないか?」
「あんだと? 俺らに説教する気かよ?」
舐めていた相手から急に反論され、クレインは明らかに動揺している。
「まぁ落ち着けって、クレイン……いいか? おっさん。一番格好悪いのが誰なのか、今から教えてやるよ」
アランはニヤニヤと笑いながら、クレインに目配せをする。
「一番格好悪いのは……俺たちにぶん殴られて、地べたに這いつくばるお前だ!」
――そう言った瞬間。二人が同時に襲いかかってきた。
俺の正面にいるアランが、大きな動きで棍棒を振り下ろす。 しかしこれは囮で、本命は俺の左脇腹を短剣で突き刺そうとするクレインの鋭い動き……敵ながら見事なコンビネーションだ。
しかし、俺はその両方の動きを容易く避けることができた。
「な?」
「マジかよ!?」
レベルが上がったおかげで、いつの間にか常人離れした動体視力と身のこなしを得ていたようだ。 そして、強力な攻撃スキルも……。
「はやぶさ斬り!!」
頭で考える間も無く、剣が自然と動き――アランとクレインは地べたに這いつくばった。
「一番格好悪いのは……誰だって?」
「こ、こいつ……化け物だ!」
「に、逃げるぞ!」
二人は這いつくばったまま、ゴキブリのように素早く手足を動かし、猛スピードで逃げ去っていった。
あれはおそらく盗賊のスキル『とんずら』だろう。 まぁ、もともとトドメを刺す気はなかったので、結果オーライだ。
さて、邪魔者は追い払ったことだし……。 始まりの森にでも行って、さっき買った防具の効果でも確かめるとするか……。
気がつくと、俺はこのゲームを心の底から楽しんでいた。
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