表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のんびりエルフの薬草雑貨店〜少女のようなおばあちゃんエルフのお店へようこそ〜  作者: みつるぎ すず


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/19

学生とスカーフコレクション

学生は部屋の姿見の前で、うっとりと身に纏ったワンピースを眺めた。


進学のために村から町に引っ越し、一人暮らしを初めて半年ほど。

カフェでアルバイトもして、貯まったお金で買った白いワンピース。


嬉しい!!


学生は鏡面に近づき、じっくりと見つめる。

襟には花柄の刺繍、スカートの裾に大きなフリル。軽やかに揺れる生地に柔らかな手触りは、働いた努力の結果手に入れた感動も合わさっている。


村では農作業の手伝いをすることが多かったため、白い服や動きにくいスカートを着る機会が中々なかった。


今日はこのワンピースを着て出掛けよう。

姿見から離れて、鼻歌交じりに髪の毛をブラシで梳かした後、帽子と鞄を準備して、ブーツに履き替える。


学校もアルバイトも休みの今日は、行ってみたい場所があった。


同級生のカフェやお茶、甘いお菓子に詳しい子が噂していた店。

町と森の間にあるエルフがやっているそのお店は、庭で育てている植物を使ったお菓子や小物が売りらしい。


天気も良いし少し遠くまで行ってみるのもいいかも。


陽射しは暖かく、時折吹く風が空気を涼やかにしている。

学生の頭の上では、木の葉がさわさわと揺れていた。



カチリ

エルフのやっているという店に来てみたが、扉に鍵がかかっているのか開かない。


あれ〜、やってないのかなあ…。

周りを見ても特に何か変わっているようなものはない。


庭は春の花から、初夏の植物へ徐々に季節を移していた。

ふと見ると、庭の奥の方に続く小径がある。


せっかく来たんだし、ちょっとだけお庭を見せもらおう。

学生は小径を歩き出す。


小径を歩くとすぐに開けた場所があり、見上げると、植物の緑とは違う何かが空中に揺らめいていた。


見るとそれは洗濯ロープにクリップで留めて干されている、色とりどりのスカーフたちだった。


「すごい、いっぱいある…!」

思わず声が出てしまう。


ピンク色のバラのスカーフや、水色の生地に果物の模様が描かれたもの、一面のヒマワリ柄、カラフルな鳥モチーフ、ブラウンベースのチェックパターン、緑いっぱいのボタニカル模様…


目を輝かせてしまう素敵なスカーフたちが風に揺れている。


綺麗だなあ…!


見とれていると、洗濯ロープの端の方から洗濯籠を持った少女が歩いてきた。


「おや、お客さんかい。悪かったねえ。ちょっと店を閉じてて。」


この人がエルフだろうか?

ちょこんとした少女は、村にいたおばあちゃんたちと同じように頭にスカーフを被って、顎の下で結んでいた。


「ごめんなさい!ちょっとお庭を見せてもらおうと思って歩いていたら、素敵なスカーフを見つけて…。」


慌てて謝ると、エルフはスカーフを見ながら答える。


「いやいや、私の方こそ今日は天気が良くて風も丁度いいから、スカーフをまとめて洗ってしまおうと思ってね。干していたら案外枚数が多くてちょっと時間が掛かっちゃったんだよ。」


ふう、と息をつくエルフの頭には、柔らかいオレンジ色にデイジーの花が描かれたスカーフが巻いてある。


「スカーフお好きなんですか?」


「そうだね、好きで集めていたらこんなに沢山になってしまって。何でも溜め込んでしまうんだよねえ。スカーフは見た目も綺麗だしちょっと頭に巻いたり首に巻いたり、色々と便利だし。」


さあ、お店を開けるからね。

エルフはのんびりと歩きながら店の方へ向かう。


学生はもう一度スカーフたちを見てから、エルフの後に続く。


この白いワンピースに合わせるスカーフを自分も買いたいな。


うきうきする思い付きを心の中で呟いて、小径を戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ