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のんびりエルフの薬草雑貨店〜少女のようなおばあちゃんエルフのお店へようこそ〜  作者: みつるぎ すず


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13/19

押し花の壁飾り

お気に入りの柄のカーテン


ラベンダーの刺繍が施されたテーブルクロス


家具店で何時間も悩んで買ったチェスト


一目惚れで買ったガラスの花瓶


学生の部屋には自分のお気に入り、好きなもの、一目惚れしたものたちだけを集めていた。


自分の好きな物だけに囲まれた部屋は、村に住んでいた時からの夢だった。

家を出て学校に通うために引っ越ししてからは、部屋を理想の状態に近づけるためにせっせと買い物に取り組んだ。


店をいくつも回って理想の家具やインテリアを探し、部屋と調和するか悩み、お金が足りなかったら我慢して働き…。


少しずつ少しずつ、自分が納得して選んだものたちを部屋に迎え入れる。

そうしていくうちに、完成していく部屋が誇らしかった。


今日は休みだ。

学生はごろんとベッドに横になり、天井をぼんやり見つめる。


「後もう少し、飾りが欲しいな…。」


特に、壁


家具の配置が大体出来てきたと感じているので、次に壁の飾り付けに取り掛かりたい。

家にいた時に飾ってあったのは、家族の写真と、肖像画などの絵画、母親がピンで留めた料理のレシピだった。


「う〜ん」

ふかふかの布団に埋もれて学生はうなる。


写真はまだ飾るほどこちらに来てから撮っていないし、絵画を買うほどのお金はないし、メモを見るほど料理を出来ていないし。


どれもピンと来ず、もやもやと素敵なアイディアが浮かばないかと思案をするが、なにも思い浮かばない。


「はあぁ〜〜!」


大きくため息をついた勢いで、学生はベッドからがばりと起き上がる。

気分転換に外出しよう。


天気も良いし、せっかくの休みだし、外に出てみたらなにか見つかるかもしれない。

学生はベッドから出て、早速身支度に取り掛かった。



チリンチリン


「こんにちは〜」


学生はエルフの店の扉を開く。

ゆっくり出来る休みの日は、町から少し歩いたエルフの店に行くチャンスだ。


「いらっしゃーい」


奥にあるカウンターの方から、のんびりしたエルフの声が聞こえてくる。


植物を使ったお菓子や花の種、季節のポプリや化粧品。

丁寧に手作りされている品々は派手ではないが、自然と目を惹く。


棚を眺めていると、新しく置いてある商品が目に入った。


「あ…。」


押し花


それは優しい色合いが一つにまとめられた、押し花の壁飾りだった。


ピンク色のバラやチューリップがメインに使われて、美しく色をガラスの向こうに閉じ込められている。

平面なのにどこか奥行きを感じさせ、花の香りを思い起こすような壁飾りだ。


これだ。


学生は押し花の壁飾りを手に取り、そっと抱く。

胸がドキドキするのを感じながら、カウンターのエルフに話し掛ける。


「あの、これください!」


差し出すと、エルフは優しく壁飾りを受け取った。


「はい、ありがとう。今包むからね。」


手際よく壁飾りを包んでいるのを見守りながら、部屋のどこに飾ろうかイメージする。


窓際は色褪せてしまうだろうか。

玄関の近くだと、帰ってきたとに目に入って嬉しくなるかも。

テーブルの近くで、食事やお茶をしながら観るのは?

ベッドの近くなら寝る前に眺められていいかもしれない。


わくわくしながら待っていると、エルフも小さく微笑んだ。


「お待たせ、どうぞ。」


宝石を触るように、慎重に学生はそれを受け取った。


「ありがとうございます…!」


嬉しさで声が跳ねる。

部屋に帰って、早速取り出して飾ろう。


小さな興奮を抱えて、学生はペコペコっと小さなお辞儀を繰り返し、店を出る。


エルフは優しく目を細めながら、学生を見送った。



部屋の壁には、エルフの店で買った押し花の壁飾りがかかっていた。

場所はテーブルの近く。

それは食事やお茶、何か作業をする時にふと視界に入るようになった。


見るたびに優しい色が、その色に気づいた自分の心をそっと包んでくれるみたいだ。


また一つ、この部屋にお気に入りのものが増えた。


お茶を飲みながら、学生は嬉しげに微笑んだ。

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