異世界一日目
バーツが色々と教えてくれた。
この世界のこと。砦のこと。種族のこと。そして、ここでの暮らし方も。
何かひとつ教えるたびに、「俺がいる」「問題ねぇ」と、言葉でも、目でも、手の温もりでも、必ず言ってくれた。だからこの世界を知るたびに、ベッドで目覚めた瞬間より安心感が膨らんでいった。明日から仕事の手伝いが始まると決まって、「当面は大丈夫なんだ。知らない世界で、一人じゃない。バーツがいてくれる」と感じた瞬間――今更ながら、涙が堰を切ったみたいに溢れて止まらなくなった。
「泣くな……泣かないでくれ……頼むから」
バーツが慌てて、膝の上に抱きあげて、泣きそうな声でお願いしてくる。
――クスッ
全く笑える状況じゃないのに、その声の優しさとバーツの温もりで、泣きながら笑っている自分がいた。
……けど。
「やめて……ほしい」
口から出た言葉は、拒絶だった。
布を持った手で私の顔を固定して、涙を舐めるのは止めてほしい。とりあえず、イケメンにそんなことをされたら心臓が耐えられない。狼って犬と同じなの? これはここの常識なの? 混乱して心臓がバクバクしている私の横で、バーツは明らかにしょんぼりしている。なんともカオスな状況に、また笑っている自分がいた。
バーツは笑った私に気を取り直したのか、ごつごつした長い指で私の顎をクイってあげて、顔を見ながら聞いてくる。
「腹減ったか?」
近距離で微笑まれて、思考がまとまらない。顔を背けて深呼吸をして考えてみると、そういえば夕食もまだだったと思い出した。お腹に手を当ててみるが、空腹は感じない。そう伝えたら「そうか」とひとこと言い、「もう遅い。寝るといい」と続けた。時計もなくて時間はわからないけど、木の隙間から洩れる光はもうない。色々あって疲れていたし、バーツの言葉に頷いて横になろうとして――気がついた。
――私、バーツの膝の上にいる。いつの間に?
どきどきして、顔が赤くなったと思う。とりあえずそそくさと横になった。そしたら、当たり前のようにバーツがベッドに入ってきた。驚きで腹筋を使って起き上がる。でもよく考えたら、そうだ。これはバーツのベッドだ。全く気が回らなくて本当に申し訳ない。
「あっ。下りるね。ベッドありがとう」
慌ててベッドを下りようとしたら、バーツの腕が腰に巻き付いてきた。
「待って! 待って! ちょっと待って!」
初めての男性との接触に頭が茹って、「待って」しか出てこない。初対面の人がベッドで手を伸ばしてくれば、普通なら身構えるはずだ。けどこのとき、そんな不信感は全くなくて――ただ、どきどきしていた。
「寝るところはここしかねえよ。手は出さねえから、安心して寝ろ」
追い打ちをかけるように、耳元で言われる。低く掠れた声で、そんな言葉を言われて――もともとぎりぎりだった頭が、ついに仕事を放棄した。
バーツがベッドに入り込んで、私を抱きしめて、眠る体勢を整える。目の前で繰り広げられているそのすべてを見続けて、本日二度目、気が遠のくのを感じた。
翌日の朝。
頬を舐められて起きるという人生初の体験をした。
バーツ曰く「狼だから当然」らしい。
……え?
いや……。
けど……。
でも……。
新旧の常識が、私の中で戦っている。今までの「当然じゃない」という常識と、この世界の「当然のルール」。どちらを選択すればいいのか。
――いや、違う。
今までの常識を手放して、新しい常識を受け入れないと。郷に入っては郷に従え。
そんな戦いを頭の中で繰り広げている間、バーツは私の顔を舐めまくり、なんなら齧り、匂いを嗅ぎまくっていた。
思考がまとまらないまま好き勝手にされて、ますますまとまらない。だからとりあえず全部なかったことにして、身体の望みを叶えることにした。
顔を洗いたい。
トイレも行きたい。
希望を伝えると、バーツはシブシブ私から離れて、部屋にあった扉のひとつを横にずらして中に案内してくれた。
大きい壺が二つ。
どちらも石台の上に置かれていて、素焼きのほうは私の腰くらいの高さに口がある。これがトイレらしい。用を足した後、隣の壺から葉と土を入れる仕組みで、いっぱいになったら交換するようだ。もう一つは洗面台らしく、宝石のような緑の石がタイルのように嵌め込まれていてきらきら光っている。高さは胸くらいで、隣に置かれた水差しの水で顔を洗う。
「これすごく綺麗」
「お前のためだからな。石は森に出るたびに拾ってきて、吟味に吟味を重ねたものだ。特にこの洗面台は、お前のために色を厳選してある」
「私専用?」
「ああ、俺は外で済ませてるからな」
外に共同の水場があって、水浴びやトイレもそこでするらしい。お客様用ということかな、とありがたく使わせてもらう。バーツが外に出て、さてトイレから先に、と思ったとき――衝撃が走った。
――私が着ている服……誰の?
柔らかい緑色のシャツ。二枚の布を縫い合わせたような造りで、肌触りが良くて、洗面台と同じ色。見たことのない服だ。
――着た覚えが、ない。
とりあえず漏れる前に用をすませたけど、想像つく結果に泣きそう。
とりあえず用を済ませたけど、想像のつく答えに泣きそうになる。部屋に戻ってバーツに勇気を振り絞って聞いたら、「前の世界の物は何も持たずに落ちていた」と言われた。確かにあの日、仕事帰りのバッグを持っていたはずだ。でも服まで盗られるとは思わなかった。涙目で「お願いだから忘れて」とバーツに何度もお願いすることになった。
バーツも着替えていて、朝ごはんにする、と、もうひとつの扉から出ていった。
この家の扉は、ドアとは呼べないと思う。引き戸とも少し違う。扉が入口の穴に「立てかけてある」のだ。出るときはよいしょと横の壁に扉を置いて、戻ってきたら扉を引っ張りながら元の位置に戻す。ただの板と言ってしまえばそうだけど、立てかけやすいよう板の厚みが下へ向かうほど少しずつ増していて、地面に接する面にも傾斜がついている。自立もしつつ立てかけやすい、よく考えられた造りだった。
まじまじと観察していたら、バーツが戻ってきた。
「ルルには重すぎて開かねぇ。新しい扉を作るまで不便をかけるな」
「ううん。造りが面白くて」
たれ目の奥にある緑の目が光って、笑っていない気がする。……バーツ、怒ってる?
ご飯は、
焼いた肉が三種類と、果物。
だった。
果物は桃に似た見た目で、少し小ぶりで青みがかっている。「お前のために用意した」とバーツは言うが、昨夜私が寝ている間に買ってきてくれたんだろうか。バーツが石のナイフで皮を剥いて、一口大にしてくれた。
「もぉも、だ」
――異世界でも、これは桃なのか。
そう突っ込めた自分に気がついて、少し気持ちが明るくなってきたのを感じる
お礼を言って受け取ろうとしたら――バーツが、一口にした桃を私に食べさせようとしてきた。口元に持ってきて「ほら」と、ぞわぞわするような低い声で言ってくる。
耳と顔を仰け反るように離して、自分で食べられると伝えると、メスは口を開けて待つのがマナーだと言われた。硬直していたら、バーツの指が口の中に入ってきてそっとなぞる。ぞわぞわして、ぶるっと震えた。
「……ぁ……」
思わず声が漏れた。
その隙間に桃が滑り込んでいく。な、何このテクニック。フェロモン過多の狼は恐ろしい。指が出ていくのと同時に、無意識に桃をもぐもぐ食べていた。全部食べ終わるまで、無心で過ごした。太刀打ちできる経験なんて、一ミリもないのだから。
ごはんが終わると、お昼寝をしたほうがいいと言われた。異世界に来たばかりで心配らしい。ありがたいけど、身体を動かして現実を感じたかったから、仕事を手伝いたいと伝える。わかった、とバーツはベッドの端に腰を下ろして、片手で傍の机にあったランプを持ち上げ、反対の手で私を膝の上に乗せた。
「これは魔石で動いてる。ほら、ここに石があるだろ。その下には模様。この模様が魔法陣だ。そしてこれから魔力を貰ってライトをつける」
傘の下に敷かれた板の魔石と魔法陣を指しながら、教えてくれる。板の魔法陣が光って、ランプの傘を内側から照らす仕組みらしかった。
「埃がたまると光が鈍くなるからな」
柔らかい革を出して、ランプを拭き始める。
なるほど。
確かに傘の透明度は重要だ。磨く必要もある。
大きい身体だから私を腕の中に閉じ込めても余裕があるのもわかった。
だからって、その二つを一緒にする必要はないと思う。
そう伝えると、バーツは少し考えてからシブシブ革を渡してくれた。顔は明らかに嫌がっている。ランプを引っ張っても全く離さず、結局、バーツが傘を持ったまま私が拭く形に落ち着いた。
「落とさないから貸して。あと下ろして。自分で拭ける」
「ダメだ。ルルは知らねぇが、これが正しいランプの手入れだ」
「え……」
このときは半信半疑だったけど、かなり後になって事実だったと知り、物凄い衝撃を受けた。
ランプ拭きが終わると、トイレ掃除。
トイレと洗面台だけは一人でしたかったけど、バーツと揉めた。「危険だから二人で」と、ものすごい迫力で言われたが、ここだけは譲れない。扉の外で待機してもらい、私だけでトイレと戦う。今のところ危険は感じないけれど、ここは異世界だ。気を引き締めてしないとって思う。
シーツの交換も、床の掃除も、バーツと一緒にした。そこにも衝撃的な事実があり、何かするたびに驚いている私を見てバーツが心配したのか、「まだわかんねぇルールも多いしな。危ねぇことも、たぶん山ほどある。しばらくは寝室から出ねぇ方がいい」と言われた。
少し、ほっとしている自分がいる。少しずつ知って、世界を広げていくほうが安心する。バーツに甘えているとわかっているけど、いつか一人で生きていけるようになるから、今だけは許してほしい。
昨日も、今日も、バーツと一緒に仕事をする。そして、ご飯を食べる。
寝室にはベッドしかないから、ごはんは必然的にその上でとることになる。お盆ごとベッドの上に置いて、ベッドヘッドに寄りかかったバーツの足の間に座り、バーツが肩越しに顔を出しながら肉を一口大に切って私の口に入れてくれる。自分の分も削って食べる。べったりくっついたこの体勢は、ごはんが終わるまで解けない。でも一口ずつ唇を指で撫でられてから食べるよりはましだ。話し合った結果こうなった。異世界の常識は難しい。
今日のは塩味の焼き鳥みたいな味。脂っぽさがあまりなくてさっぱりしているから、胸肉に近いかもしれない。少し香ばしくて、木で焼いているんだと思う。美味しい。
私が一口ずつ味わいながら食べていると、目の前に置かれたお肉はすでに一塊減っている。かなり大きな一口が、バーツの口に入っていくのが見える。果物まで食べ終わって、お盆に用意してあった濡れ布で手と顔を拭いて、ごはん終了。今日のお肉は今まで食べた中で一番好みかもしれない。
三日ほど経って、やっと頭が回り始めてきたと思う。そういえば帰るという手もあると思いついて、バーツに聞いてみた。
「帰ったやつは知らねえな。……帰りてえだろうが………すまん」
そうだよね。
「落ちた」という感覚は残っている。あれが帰れる道だとは思えない。知らないことを聞いた私が悪いのに、落ち込んだ顔と、垂れ下がった尻尾を見ると、本当に申し訳なくなってきた。
「違うよ。こんな質問した私が悪い。ごめんねバーツ」
衣食住を全部面倒見てもらっているのに、私の言動で落ち込ませるなんて申し訳なさすぎて泣ける。
そう思っていたら、バーツが頬を舐めてきた。
慰めてくれるんだ。優しいね、バーツ。ありがとう。
そんな毎日を過ごしているうちに、まず頭が別の世界にいるのだと認識した。次に、心。それはある瞬間にすとんと落ちるように納得できた。それとは別に、身体もこの世界を受け入れてくれたんだと思う。
うまく言えないのだけど。
頭が認識した後、頭と身体がちぐはぐで、思うように動かない時期があった。
バーツを意識するようになってから、身体も…まぁそういう年齢だから、あ、あそこが、ぬ、ぬれ…濡れてきて…。ただ、そのうち、身体もこの世界に馴染んできたみたいに、違和感がなくなっていった。ぬ、濡れ…のはまだ続いてるけど。――泣ける。
毎日バーツの仕事を手伝って、小さな部屋だけの異世界生活なのに、不思議なくらい普通の日常みたいに感じてきた。カレンダーがないからはっきりとはわからないけど、二十日ほど経ったと思う。
ある朝、突然バーツが「外に出してやる」と言い、寝室の扉を開けてくれた。
隣の部屋に足を踏み入れた瞬間、凄い違和感が襲ってきた。
居間とキッチンと玄関がひとつの空間になっていて、寝室の倍ほどの広さがある。床は、土。踏み固められた土がコンクリートのようで、でもつるっと、ひんやりとしていた。素足で土を踏むなんて、記憶にある限りしたことがない。不思議な感触で次の一歩が出なかった。
恐る恐る足を踏み出して、部屋を見渡すと、目の前に大きな岩を置いただけのテーブルがある。一歩一歩確かめながら近づく。五歩でたどり着いた。高さは膝の上くらいで、大きさは一メートル以上あるかもしれない。
「大きい岩……」
「あぁ、運ぶのにオス三人がかりだったからな。これぐらいねぇと服が作れねぇ」
腕を組んで、寝室と居間を隔てる壁に寄りかかりながらこちらを見ているバーツ。
――え? 服?
「ん? 服は自分で作らねぇと裸だぞ?」
「え? え? じゃあ、これは?」
着ているワンピースのスカート部分を引っ張って、バーツの顔を確認するとにやにやしていた。
「ああ、俺が作っておいた服だ。似合ってるな、ルル」
「え!? 昔の……別のメスのかと思って、遠慮して着てた……」
「まぁお前が来るまで、ずっと作ってたからたくさんある。好きなだけ着てくれ」
嬉しそうな様子で私を見てる。
――ずっと、作ってたの。
「……好きな……メスのため?」
「好きなメスは、ルルだけだな」
すっと横に来て、甘い目で私を見て、抱きしめてくる。
嘘にしか聞こえない。
どう見ても聞いても、これはモテる男の動きだ。腕の中からするりと抜け出して、散策を続ける。
寝室の扉と反対側の壁に、もう一枚扉がある。たぶんあれが玄関だ。右手側へ視線を向けると、まず寝室の壁に沿って薪がきちんと積まれている。その先、右の壁に沿って大きな土製の箱が据えられていた。
――壺……ではなく、箱?
思わず足が止まる。土製で長方形。あんな形は見たことがない。その隣には岩板で作られた台がある。バーツの腰ほどの高さで、調理台にちょうどよさそうだ。でも、岩の色がおかしい。マスタード色で、よく見るときらっとラメが入っているような質感。削り出しただけの簡素な造りなのに、素材が妙に変だった。
さらに視線を奥へ向ける。壁の突き当たり、玄関側には焼けたような土が盛られた場所がある。
……あれって。
周りを見回しても、鍋もフライパンも見当たらない。嫌な予感がして、口の中にさっき食べた肉の味がよみがえった。もしかして、あそこで直接焼いているんじゃ……。
そして――それだけだった。
家具と呼べるものは、それだけ。
決して狭くはないのに、余分なものは何ひとつ置かれていない。教えてもらったこの世界が、何もない目の前の空間に直結して、見たこともない家具と相まって、肌が粟立つくらいに「知らない場所に迷い込んだ」という不安が押し寄せてきた。
振り切るように、玄関に向けて一歩を踏み出す。もう一歩。
――今日は外に行かなきゃいけない。だってバーツがそう言ったから。
嫌がる足を引っ張って玄関の扉まで行き……足がすくんだ。
「どこに行く」
頭の上から、低い唸り声が落ちてきた。反射的に見上げると、鼻にたくさんのしわを寄せて、先祖は確かに狼だったと思わせる牙を覗かせたバーツがいる。あまりの迫力に腰が抜けそうだった。
さっきまで寝室の壁に寄りかかっていたはずなのに、とか、壁ドンされてるとか、そんな驚きなんて起きなかった、純粋に、怖い。
「外に……行こうと……」
「あぁ? 外に出してやっただろぉが!」
フーフー息をしながら、重低音の声を響かせる。
怖い怖い怖い。外ってどういうこと?
「ちっ、巣に戻すか……」
「ち、ちが、違うの、私の言う"外"って、家から出ること……で……ここは違う? 怒らないで……お願い……」
涙が出てきて止まらない。身体が勝手にかたかたと震えて、もう声を出すことも難しい。目を見開いたバーツが慌てて私を抱き上げて、ぺろぺろと舐め始めた。
「すまねえ。俺が悪かった。可愛い顔して泣くなよ。俺が悪かった、な。ルルの常識は、扉の向こうが外なんだな? 勝手に外界に行こうとしてないな?」
「が……がいかい?」
「そうだ。巣と巣の外、ここまでが家だ。その外側は外界と呼ぶ」
泣き止むまで、バーツが抱っこしてくれていた。
迷惑かけてごめんね。
――抱っこされることが当たり前になっていた自分に気づいて、驚愕するのは後日のこと。
異世界の常識は、本当にいろいろな意味で恐ろしい。
「帰ったやつは(今全部忘れちまったから)知らねえな。帰りてえだろうが(絶対に帰さねえから)………(愛しいお前の願いを叶えられなくて)すまん」
俺は今、指を折って数えてる。――あと二十七日。
全部忘れたから、なんで数えているかは、絶対に、思い出さねぇが、あと二十七日は、ルルを倒れていたあの場所に近づけないようにしないとならねぇ。
まあ他のメルやオスにも見せたくねえから、どっちにしろ家からは出さねえが。
あと二十七日。早く経たねえかなあ。不安でしょうがねえ。
……ルルを舐めよう。
初めからルルは可愛かった。
抱き寄せて「寝るところはここしかねえよ。(いつまで我慢できるかはわからんが、せめて今日は)手は出さねえから安心して寝ろ」と言うと、ルルはじっと俺を見つめて、口をもごもごと動かしている。
キスしてほしいのか?
あまりの可愛さに、食っちまったらどうするんだ、と悶えながら、抱き込んで寝る。
この世のすべての幸せを集めても、まだ足りないくらいに甘い時間に俺は泣けてきた。
まぁ、そのあとすぐに違う意味で泣けてくるんだがな。
辛い…。抱きてぇ。
俺の匂いを擦りつけて、それで我慢するしかねえ。寝付いたルルの肌に、セッセと匂いをつけていく俺だった。
これはしかたがねえ。匂いをつけないとたぶん危険だ。何がどう危険か、もう何が何だか、全くわからんが、たしか危険なはずだ。
そうして毎夜ルルに匂いをつけていたら、ルルが声を漏らし始めて、メスの発情の匂いがし始めた。
これは!
ルルが!
俺を!
ツガイと認めた!
それだけで、俺はいってしまった。
ルルの愛は強烈だなあ。萎える気配が微塵も感じない息子を見ながら、ルルの愛の大きさに照れてしまう。
愛している。ルル。
明日は二人で、巣の外に出てみるか。




