修正日記
〇月三日
人生の転機といえば、不思議な日記を買ったことだろう。
この日記に書いて眠ると、翌朝には書いた内容が変わっていて、
失敗した出来事が書き直され、実際にはなかったことにされるのだ。
最初は、不思議に思ったが、自分が書き間違えたのかと考え気にせずにいた。
現実も変わっていると気づいたのは、返却されたテストの答案を誤って日記に挟んで眠った日の事、
翌朝には、日記になぜか満点を取ったと書かれ、挟んでおいた答案も満点になっていた。
それからというもの、怖いものがなくなり、全て思うがままにふるまった。
なにせ、何をしても日記にかいて眠ればなかったことになり、間違ったことも修正されるのだから。
勉強せずに受験して落ちたとしても、次の日には合格して首席になっているし、
人間関係もなにかあれば日記に書けば問題なし。
彼女を作れば浮気もしたい放題、見つかっても書けばなにも起こっていないことになる。
就活も、面接に失敗したことを書けば、成功したことになって仕事も簡単にみつかった。
職場では何もできず失敗ばかりだけど、
日記に書けば優秀社員に選ばれ、周りから頼られる存在になれた。
まぁ実際に頼られたとしても、なにもできないから日記に何があったのか書くだけなんだけどな。
振り返ってみればここまでの人生、この日記様様ということだ。
なので感謝を伝えようと、誰が修正してるか知らないがここに書いておこうと思う。
『修正してくれてどうもありがとう』
〇月四日
しまった、些細なことで妻と喧嘩をしてしまった。
喧嘩で終わればよかったが、頭にきてつい手が出た。
なにも浮気ぐらいで怒らなくてもいいだろ、初めての浮気だというのに心の狭いことだ。
娘も連れて実家に帰るとか言うからこんなことに…
しかも、妻が包丁なんて持ち出すから汚れるはめになった。
洗えばこの汚れは落ちるのだろうか?
まぁいい、いつものように日記に書けば全て無かったことになるから問題ないが、それでも腹が立つ。
〇月五日
どうして修正されない、
どうしてだ、書き方になにか問題があるのか?
もっと詳しく書けばいいのか?
このままではバレるのも時間の問題だ。
〇月六日
なぜ修正されない?
とりあえず、これまでのように日記を書き続ければいつか修正されるのか?
〇月〇日
どうしてどうしてどうしてどうしてどうして




