第三章 学園と同盟
王立貴族学園──ここは未来の貴族たちが集う、権力の縮図とも言うべき場所。
私はヴィヴィアンと偶然同じクラスになった。
彼女はまだ私を警戒しているようだが、私はあえて距離を詰める。
「ヴィヴィアン、この問題難しいわね。一緒に解かない?」
「え……いいのですか? ヴァルミナ様が私と……」
「あら、平民だからって差別するつもりはないわ。それにあなた、頭がいいもの」
驚いたように目を丸くするヴィヴィアン。
彼女の純粋さに、私は少し胸が痛んだ。
──ゲームでのヴァルミナは彼女を「下品な平民」と罵った。
妬み、憎しみ、そして孤独。
だが、今ならわかる。
ヴァルミナはただ、真っ直ぐなだけ。
学園では他にも重要な人物がいた。
ルカス・ド・フェルナンデス──魔法戦士科の首席。
冷徹で感情を表に出さない。
だが、実は反王政派の地下組織と繋がっているという噂がある。
彼を味方につけられれば大きな力になるだろう。
「ルカス様、ちょっといいかしら?」
放課後、私は彼を呼び止めた。
「何か用か? グラックフォール令嬢」
「私の家には禁書『古代の封印術』があるの。あなたが探している、あの書物よ」
ルカスの瞳がわずかに揺れる。
「……なぜ、それを知っている?」
「知っているわ。そして、あなたが王太子に復讐しようとしていることも」
「……」
「私の父は、あなたの父を処刑した。王命でね。でも私はその罪を背負いたくない。だから──手を組まない?」
「……何を望む?」
「権力。影響力。そしてこの国を変える力。あなたが望む正義を、私は表で支える。あなたは裏で動く。平等な関係よ」
ルカスは長い間私を見つめた。
そして、ようやくうなずいて見せる。
「……了解だ。だが裏切れば、容赦しない」
「当然よ。私も同じこと言うわ」
──こうして私は、ヴィヴィアンという「光」とルカスという「影」の二つを繋ぎ合わせた。