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 ♪

 

 全日本選手権。

 各ブロックの大会の上位者で出られる大会だが、昨シーズンの成績優秀選手はそれが免除される。

 もちろん調整も兼ねて出場しても構わないのだが、実際、大会は体重がkg単位で落ちてしまうくらい過酷なものなので、無理に出場することはしなかった。

 女子シングルSPは五時からで、その後に男子FSが行われる予定になっている。

 智花は第三グループの二番滑走。悠佳は第四グループの三番滑走。

 現在第二グループの後の製氷を終え、智花達第二グループが六分間練習を始めている。

 ちなみに、事前のプログラム申請を見たが、智花は最初のコンビネーションに三回転半‐三回転トウループを予定している。

 無論決まれば全日本始まって以来の快挙である。

 一方、悠佳も三回転ルッツ‐三回転トウループを予定している。このジャンプの基礎点は三回転半+三回転トウループより2,3点低いが、もし智花が失敗して三回転アクセル+二回転トウループになれば、悠佳のコンビネーションの方が得点は高くなる。

 まぁ、ここで何を言っても意味は無い。

 後は本番で決まるか決まらないか。決まるときは決まらないし、決まるときは決まる。

 それがフィギュアスケートと言うものだ。

「悠佳。一つ言いたいことがあるんだけど、良いかな?」

 俺はフォームアップをしている悠佳に声をかける。

「ん? 何かな」

「これが終わったら、結婚しよう」

「どうしてココで死亡フラグ立てるの!?」

「いや、血痕しよう」

「私死んでるぅ!」

 本番前でもこんな不毛な会話を繰り広げるのが俺達の関係だった。

 俺は、そんな不毛な会話を終え、最後に肩に手を置いてから観客席に向かった。

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