↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/24

16


 ♪


 とりあえず、それから悠佳の風邪は全快し、既に練習も再開している。

 あわよくば俺に風邪が移って、今度は悠佳が俺を看病……、などというおいしい展開は無く。俺はいたって健康である。

「この辺で、サービスシーンが欲しいところよね」

「はい?」

 隣でボンゴレを食べ終わった悠佳が、突然そんなことを言い出した。

「……悪い。意味が分からない」

「意味が分からない? そのままよ。良い? ちょっと読み返してみて」

「振り返るの間違いだろう」

 メタ的発言は止めて欲しい。

「だって、私達エロ関係のトークはしているけれど、実際にエロイベントは一切無かったじゃない!」

 そうだな。結局、更衣室にも行かなかったし。キャミソール姿の悠佳も見られなかったし。

「そーだ。ここにミルクがありまーす」

 悠佳が、コーヒーに付いている、カップミルクを持ち上げた。

「ほぅ」

 なんとなく言わんとすることは分かるが。

「これが間違って毀れたりしたら、エロい図になる」

「サービスシーンと言えるかどうか怪しい上に、文字では伝わらない」

 しまった。自分でメタ発言してどうする。

「ところで、半身浴が健康に良いと聞いて、右と左、どっちを下にすれば良いのかを真剣に悩んだ経験がある真琴くん」

「そんな馬鹿な経験をした覚えは無い」

「今日、楽しみにしてるから」

 不意打ち。

 ……それは俺も同じことだった。

 今日が、約束の十日。人生で初めてのデートの日である。

 この日を指折り、機織り、勝負降り、待ち続けていた。

 無論、そんなことは悟られまいと、平然を装う。

「真琴くん、なんか表情が作り物っぽい」

「……マジか」

「マジアカ」

「俺は賢者」

 見事なコンビネーションで一つのオタクワードが完成した。

「ともかく。練習八時終わりだから、八時過ぎリビング集合ね」

「おう」

 人生初のデート(と俺は認識している)。

 これほど楽しみなことがあるだろうか(いや、無い)。

 俺は古典で習った反語表現を思い出しつつ、妄想にふけるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。