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近場のスーパーでアイスとプリンと某白い清涼飲料水を買ってから、悠佳の家に向かった。
とりあえず、チャイムを鳴らす前に確認しておこう。
i)俺は往人が練習で忙しいから仕方が無くお見舞いに来た。
ii)俺は決して悠佳のパジャマ姿が見たいわけではない。
iii)俺は決して彼女の好感度をあげようとしているわけではない。
俺は、彼女をインターホンの前まで歩かせては辛いだろう、と思ってチャイムを押すのは止めて、携帯で電話をかけることにした。
「もしもし。あ、真琴くん?」
「今……家の前に……居るの」
「どうして怪談みたいに話すの!?」
「色々買ってきたんだけど、上がっても良いかな?」
「……うん。今、鍵開けるね」
そこで、よく考えたら結局彼女を立ち上がらせてしまうということに気が付いた。
ガチャリ、という音とともにドアが開く。
「よぉ」
と、ドアの向こうに立っている悠佳は……ジャージ姿だった!
「お前っ!」
「え、いきなり何っ?」
病人はパジャマかキャミソールになれっ!
と言ってしまったらマジで変態なので自重する。
「とりあえずアイスとプリンとジュース」
そう言って、俺は右手の袋を持ち上げた。
「あーありがとう。そういうの無かったから助かる」
「冷蔵庫に入れてきて良いかな?」
「うん。お願い」
俺は靴を脱いで上がりこむ。
チクショー。ジャージ姿っていつもと同じじゃないか!
いかに俺がに下心を持ってお見舞いに来たかが露見する一文である。
「まぁ、本当は弟くんに看病して欲しいかもしれないが、忙しいらしいから勘弁してやってくれ」
「ま、真琴くんで我慢してあげるわよっ」
何故か俺らの中でツンデレが流行っていた。
いや、内心本当に弟くんの方が良いと思ってるかもしれないが。
「何か困ってること無ければ、すぐ帰るけど?」
「うーん。特に困ってることは無いけど、ちょっとくらい不毛な話してから帰ってよ」
彼女はコタツに入って寝転びながらそう言った。
とりあえず俺は近くにあったソファーに腰を下ろす。
「おう。じゃぁ何故お前はブラコンになったのかに」
無難な話を選んだ……つもりだったのだが。
「…………」
何故か返事が無かった。
おかしいな。おいしいフリなのに。
「あれ、ハイパー弟タイム発動して良いんだよ?」
悠佳は、十秒ほどの沈黙の後、ようやく口を開いた。
「ヒント。私がブラコンになったのは、真琴くんと初めて会った頃のことです」
ん?
いや、それは聞いているけど、それがどうしたんだろうか。
「ところで、真琴くん」
「ん?」
「十二月から、メッセ近くの並木道がライトアップされるって知ってた?」
「クリスマスのライトアップか? そう言えば毎年やってるらしいな」
行ったことは無いけど。
だって、男一人で行くとか寂しいじゃん。
っていうか、全日本と日程が被るし。
「あれ、遅くまでライトアップされてるから、練習が終わった後でも大丈夫だよ?」
「結構遅くまでライトアップしてるんだっけ」
「私、全日本の前でも練習後くらい息抜きしても良いんだよ」
「…………」
まさか。
さっきからのセリフを考察するに、これは自分を誘ってくれ、という意思表示だろうか。
ツンデレごっごが流行っているのを意識しているのか? 今はデレなのか?
それとも本気?
いや、待て。コイツはマジで弟が好きだし、俺なんか馬鹿話相手くらいにしか思っていない可能性だってある。
いや、嬉しくも、コイツが俺に好意を。
いや、ただ友達として、冬のイベントを楽しみたいという可能性も。
いや、……。
じーっと見つめてくる悠佳。
「……全日本前はまずいから、十日あたり、一緒に行きませんか」
とりあえず誘ってみる。
「べ、別に行ってあげても、良いわよ」
「…………」
「…………」
悠佳の顔はちょっぴる赤い。
多分、俺の顔も赤い。
なんだかよく分からないが、俺は人生で初めて、デートの約束を取り付けたのだった。




