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幕間:本能という愛好(中)

 南にあるきれいな湖、その湖面に突き出すようにお城は建てられている。

 氷華石という氷のような石を使用してしていて、遠目から見るとまさしく童話に出てくる氷のお城!

 その実、脆い地盤の上にも頑健な城を立てるドワーフさんの確かな技術らしいです。

 すごいね!


 バルコニーからは湖が一望でき、景色も抜群だ。

 屋根もついているので、適度に日差しも防げて吹き抜ける風が涼しくて最高です!


「つまり、ポンゴさん達にとってフレスベルグさんは神だってことね」


 こんな最高の場所で、おいしいお茶とお菓子がついて楽しくないわけがない・・・という状況なのに、話題が暗すぎる。

 高低差でテンションが迷子になってどんな顔をすればいいかもわからない。


「はい・・・」


 アーネス君は暗い表情で肯定する。


 アーネス君の話から察するに、フレスベルグさんのところに住んでいたポンゴさん達、食料として飼われている立場だったみたい。


「フレスベルグは神であり、ポンゴさんは選ばれた楽園の民。彼らは楽園で魂を浄化し、いずれ神の元に魂は集い、永遠となる」


 幼少期からそう教わった彼らは、広い森で飼われ、餌を与えられ、最終的にはフレスベルグの肉になる。・・・自ら望んで。


「さっきのお祈りは毎朝するの?」

「朝と晩、欠かさずします。それが選ばれし民の誉れです」


 アーリアちゃんがきっぱりと言う。

 今だってその“信仰心”を欠片とも捨てていない、そんな意思がその言葉にあった。


 というかアーリアちゃんの声、初めて聞けたな!?


「アーリアちゃんは優秀なのね」


 アーリアちゃんの勢いに気圧されて、私は彼女を褒める発言をしてしまう。


「本当ですね」


 私のセリフを皮肉だと思ったようで、濃ちゃんは紅茶を飲みながらあざ笑った。


 当のアーリアちゃんは返事をせず無言のまま再び視線をそらす。

 アーネス君は硬い愛想笑いで少し俯いた。


「それで・・・どうして二人は私のところに来てくれたの?」


 よいっちゃん達がフレスベルグさんを殲滅してしまったことは報告を受けていた。

 フレスベルグさんが私の悪口を言った結果らしいけど、私のNPCの中では破格の忍耐強さを誇るよいっちゃんでもそんなことになっているのだから、フレスベルグさんは相当な事を言ったのだろう。


 だとしても、アーリアちゃんとアーネス君にとって私は“神”の仇だ。


「空を駆け上がる流れ星に、近づきたかったんです」


 その日、アーネス君がみた“神を穿つ流れ星”、その話をするアーネス君の瞳は光を宿していた。

 流れ星とは、おそらくだけど、よいっちゃんの弓技シューティングスターのことだろう。


「決して届くことはないと思っていた空に、同じ地を這う者が放った一閃。その輝きに、少しでも近づきたくて。僕は楽園から出ようとしない妹を無理やり連れだして、がむしゃらにみょんみょん様を探していました」


 苦笑しながらそんな風に言うアーネス君の声には、確かに希望が滲んでいた。

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