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幕間:本能という愛好(前)

次は5章とかいいつつ、4章に入れきれなかったエピソードを幕間で挿入しました。3部構成です。

幕間:本能という愛好


 アルジャー大森林、その夏の朝。

 朝露に濡れる森で鳥たちは歌い、虫たちは躍る。


 私ことみょんみょんは、早朝からいつものメンバーで散歩に出ています!

 大森林の中は夏でも比較的涼しいとは言っても、やっぱり日が高くなるとかなり暑い。

 つまり、夏のお散歩は早朝に限るってことです!


「ぜお ふぃいね えが えぇなやこのじお」


 祝詞がこだまする。

 やわらかな朝日が乱反射する朝もやの中、私は傍にある木を見上げた。


「ぜお ふぃいね えが えぇなやこのじお」


 ホーム周辺では一番大きな木、そのてっぺんで朝日に向かって熱心にお祈りしているのは、春に客人として迎えたポンゴの女の子。名前はアーリアちゃん。

 その隣にはお兄ちゃんのアーネス君もいるのが見えるけど、アーネス君は特にお祈りはしていないようだった。


「えるぜおす えるぅな このみお」


 ほら、神聖王国と戦争をしたとき、私ストレスでおなかが痛くなっちゃって。

 それでこっそり遠くまでお花摘みに行ったら、ばったり2人のポンゴさんに出くわしたんだよね。


 彼らは私を頼って遠く西の獣人の国から歩いてきた・・・らしい。

 戦争を前に殺気立ってたカラス君が彼らを殺しちゃいそうだったから、話もロクに聞かずにとりあえず客人として迎えちゃっていた。

 あの時は戦争やらなんやでバタバタしてる最中だったしね!


 だからこそ、2人とは一度ちゃんとお話ししてみたい。

 私の知らない獣人さんの国のこととかいっぱい知ってそうじゃん!


「猿に興味あるんすか?」

「あ、いやね、二人とまだちゃんとお話しできてなかったなと思って」

「じゃあ、任されたっす!」


 薄ちゃんは嬉しそうに木の方まで駆けていったと思うと、手にした盾を大きく振った。


「お~い!アーリアちゃん!もうお祈り終わりっすよね!降りてくるっすよ~!」


 薄ちゃんはアーリアちゃんと既に仲がいい様子。

 さすがの陽キャだ。


 と思ったけど、森中に響き渡りそうな薄ちゃんのバカでかい声をアーリアちゃんは無視してお祈りを続けている。

 ただ、薄ちゃんを意図的に無視しているというより、死んでも儀式を中断してはいけないという必死さが漂っていた。


「薄墨さん、すみません。まだ終わっていないんです。あと1回です」


 アーリアちゃんを見守っていたお兄さんのアーネス君の方が、薄ちゃんの様子に見かねたのか、木から降りてきてくれた。


「も~、一回くらい誤差っしょ!終わりっす終わりっす」


 頭を下げて謝罪するアーネス君に、薄君は詰め寄る。


「お祈りなんだよね?決まった方法があるんじゃない?きっと大切なことなんだよ」

「みょんみょん様が言うならそうなんすね!早くあと1回終わらせるっす!俺っち、アーネスちゃんの横で早く終わるようにガン見するっす!」

「お祈りする様子も見ていて楽しいよ。薄ちゃんもここで一緒に見よう」


 私が気にかけたばかりにお祈りを邪魔するのは申し訳ない。

 私の横に腰かけて観察モードに入った薄ちゃんを見て、濃ちゃんは不快そうに鼻をつまんだ。


「お前、猿とも仲がいいのか?」

「兄貴!猿も仲間っすよ!仲間には優しくするっすよ!」

「それやめろって言ってんだろ!!」


 濃ちゃんの“仲間に優しい”という設定を私がバラしちゃって以降、薄ちゃんは度々そのネタで濃ちゃんをからかってるみたい。

 なんかごめんよ、濃ちゃん。


 そうこうしていると、アーリアちゃんもするすると木から降りてきて、隠れるようにアーネス君の背中に抱き着いた。

 そしてアーネス君に何やら耳打ちしている。


「『終わりました』とのことです」


 アーネス君も苦笑いだ。


 まぁポンゴさんからしたら私の体ってまずまず大きいもんね!

 同じモンスターからしても怖いよね、数か月ぐらいじゃ慣れないよね、仕方ない。


「どうします?話をするんですよね。この2匹もつれて予定通り湖んとこまで行って、そこでお茶にでもしますか?」

「いいね、濃ちゃん!今日はお茶会にしよう!やった~湖畔の素敵なお城で優雅なティータイムだ~!」


 今日はね、南の湖の傍に作っていた別荘が完成したということで、見に行くところだったんだよ!


 ただでさえテンション上がるイベントに、お茶会も加わるなんて!


 そういえばいいお茶っ葉があるんだった!あとは以前に作ってもらったお菓子がちょっとはあったはず!

 ちろちゃんにみんなで食べられるお菓子用意してもらおうかな~


『ちろによりますと、30分で菓子を用意するとのことです』


 テンション上がって私がぴょんぴょん跳ねているところに、カラス君からの伝達<コール>が入る。

 どうやらカラス君が気を利かせてお菓子の手配までしてくれたらしい。


 濃ちゃんも薄ちゃんもカラス君も、どんどん私の扱い方上手になってない??

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