選択
徐々に気温が高くなってきましたね。
私事ですが、この季節は滅茶苦茶くしゃみや鼻水がヤバすぎていかれてます。花粉症とか結膜炎とか毎年毎年うんざりしています。今年は、そんなに酷くないのですがマスクが売り切れているのが死活問題ですね。人の噂は絶え間無いですが皆さんも自分をしっかり持って、騙されないよう気をつけましょう。
ゲームからログアウトした俺は、頭に装着していた装置を取り外し寝転がっていたベッドから起き上がる。
「本当に変わっちまったんだな…」
淡い期待を抱きながら体を一通り見て見るも、当然の如く様変わりしてしまっている。憂鬱な気分になりながらも自分の部屋から出ると隣の部屋からドアノブを捻る音が聞こえた。
妹が出てくる気配がしたので深呼吸する。出てきた妹は思春期真っ只中なので最近では、禄に話をしていなかったのだが俺を見るなり、近づいてきた。
「誰?お兄ちゃんの彼女?」
「妹よ、久し振りに話しかけてくれたのにそれは酷くないか?いやまぁ分からんでもないけど」
このクール系白ギャル女こそ、我が妹『東條 栞』。この格好をし始めたのは確か妹が中学二年の頃からだったと思う。きっかけは分からないが、当初は色々父さん達も言っていたような気もする。
とは言え、彼女は成績優秀だったし学校を休んだことは1度も無かった。そんな彼女に文句を言っても仕方ないし、成績を維持できるならと結局は許した両親だったが高校に入学して以降、より一層俺に冷たく当たっていたように感じる。
「その口調、本当にお兄ちゃん?イヤでも性別違うし」
「口調だけで判断するとは、お兄ちゃん妹が単純で嬉しいぞ?」
「そのウザい絡み方はやっぱりお兄ちゃんか…んでそれは何?どうして女の子になってんの、しかも無駄に超絶可愛いし」
順応性の高い妹でお兄ちゃん、誇りに思うよ。近づいてきた妹は、俺を見定めるように全身を隈無く見てきた。
「それを説明してくれる人間を今呼んでる所だから後でまとめて話すよ」
「服はどうすんの?流石にそのままはヤバいでしょ?」
「あぁ…大丈夫、あっちが用意してくれるって言ってたからね」
俺の背丈に合わせるようにしゃがんで、頭を撫でてくる妹。妹よ、兄が怖くは無いのか?
と言うかワイシャツの胸元開けすぎだろ。胸隠せ、胸。
「ふーん、それでどれくらいで着く予定なの?」
階段を降りて1階へと向かう最中もずっと妹に頭を撫でられ続けたが不快では無いので、特に何も言わなかった。
「確かメールではそんなに遠くないらしいから飛ばせば5分程度って言っていたような?」
「5分?もうそろそろ経つけど?」
そんな会話をしているとインターホンの音が聞こえた。
『はーい、どなたでしょうか?』
母親がインターホン越しに返事をしていたので、俺も足早に向かった。
『夜分遅くに失礼致します。私、高野宮 真理亜と言う者なんですがレッド…いえ。紅蓮君に呼ばれてご説明に参りました』
『紅蓮?ちょっと待ってねー』
インターホンを切った母親に恐る恐る話しかけてみることにした。
「あの母さん?」
「ん?あらあら、貴方は…紅蓮の彼女?」
「違う違う、コレお兄ちゃんだから」
「栞、あんた幾ら自分のお兄ちゃんが嫌いだからってねぇ…その女の子をお兄ちゃんって言うのは無理があるわよ」
やれやれ顔の母さんに、爆発寸前の妹。やばいこれ何とかしないと、コイツ何かやらかす。
「いや、ホントだから。東條 紅蓮、友達は愚か、17年間ただの1人も彼女なし。童貞」
「え、ホントに紅蓮なの?」
「いや、その情報で信じる母親も母親だろ!」
会心のツッコミも決まった所でリビングを後にして俺は、玄関へと向かった。扉を開けた先にはゲームの容姿そのままのマリアが立っていた。
「先程ぶりです、紅蓮様。そのお召し物は…楓」
「はっ、真理亜様」
楓と呼ばれたメイドの格好をした女性が無理矢理俺をリムジンの中へ引き込む。俺はどういう状況か把握しきれない間に着替えさせられる。
「ちょっ、まっ、あれ?」
着用していた服は綺麗に畳まれて、手に持たされておりいつの間にか着替えは終わっていた。ご丁寧な事に下着も履かされているし、さっきまで着ていた服とは違って頗るしっくりくる。リムジンから降りるとマリアが手を差し伸べてきたので左手で握り返す。
「修道服です、ゲーム内で教えて頂いたサイズの物を用意致しました」
「ありがとう、正直助かった。オレとしてもワイシャツのままじゃ格好がつかないとおもっていたから」
玄関から家へ入っていくと妹と母さんが出迎えてくれた。母さんは未だに困惑した様子だったが一先ずリビングの椅子に各々座る様に促す。
「再度、夜分遅くに失礼致します。私は高野宮 真理亜と申します、この度は彼の身に起きたことを説明させて頂きたく馳せ参じた次第でございます」
母は黙って聞いていたが、妹は何故か向かいに座るオレの反対方向を向いて鼻血を出していた。
「初めに伝えておきたいのは、彼の性別が変わってしまったのは病気等ではなく、科学では証明できない自然現象という事です。何故私が知り得ているのかと言われると私の家が高野宮家と言われる名家で、最近こう言った事が国内の極1部で確認されていると言う事を知らされていたからです。因みにこの事は余計な混乱を防ぐ為に伏せているので聞いたことがなかったとしても不思議ではありません」
それらしい事をペラペラとマリアは饒舌に話していた。高野宮家が名家ということは、紛れも無い事実ではあるが、このような症例を確認している人間は国内にはいない。一般男性が急に女性に変わる自然現象などあるはずも無かろう。こんな説明を受けた所で信じるはずもない、そう思っていたのだが…。
「高野宮家のご令嬢がそこまで仰られるということはそういう事なのでしょう。息子がどう言った経緯であなたと関わりを持ったのかは存じ上げませんが、わざわざ説明の為だけにこの家にお越しくださったとあれば信じざるおえないですね。はぁ…聞いておきたいことがありまして、手続きとかの話になるんですけど…」
頭を抑える母と高野宮 真理亜はその後淡々と、役所での手続き諸々の話等を2人は話していた。結果的には、こちらが何かをする必要はなく高野宮家の方で処理してくれるのだそうだ。無論、通っている学校の方にも対応してくれるらしい。
「では、説明はこの辺りで終わらせて頂きたいと思います。最後に明日、紅蓮様の健康診断を私の叔父の病院にて行おうと思っておりまして。つきましては本日と明日紅蓮様を私の家で預からせていただけないでしょうか?」
「紅蓮をですか?」
母親が俺を見て、「いいの?」と目線で訴え掛けてきたが俺は無言で頷いた。
「ではお言葉に甘えてお願い致します、父親の方には私から伝えておきますから」
「畏まりました、では行きましょうか?紅蓮様」
シスターマリアに連れられてリムジンに乗せられた俺は、大人しく座ることにした。程なくして車が走り始めた頃、意を決して聞いてみることにした。
「それで、わざわざ今日オレを家から連れ出すって事は他にも何かあるんだろう?」
「流石は紅蓮様ですね。実は紅蓮様が通われている共学の高等学校の手続きについてお話させて頂こうと思いまして」
マリアは、バックの中から透明のクリアファイルを取り出して中身を手渡してきた。渡されたのは俺が通っている高等学校のパンフレットだった。
「これは…パンフレットだろ?今更こんなものを見せてどうする気なんだ?」
「紅蓮様は現在夏休みだと伺いました、ですが後一ヶ月もすれば寮生活に逆戻り、ここまで言えば分かりますでしょう?」
元々父親が見聞を広めよと言ってきたから仕方なく県外の高校に進学した俺は、『ならせめて、寮生活にしてくれ。流石に家から通うのはしんどい』という理由から学校の寮に住んでいたのだが、休みの期間は毎年実家に帰ってきていた。
当然、寮は男女別の訳だが女になる前のオレは男。つまり何が言いたいかと言うと女のオレが男性寮にいれば色々と不都合が生じる。
「お分かり頂けたようですね、そこで私からの提案がございます。1つ目は転校をする、2つ目は私の家に住み、私の家から通うというモノです。1つ目の場合、私の通う女学院へ転校して頂きます。2つ目の場合は私のメイドが紅蓮様の高校まで送り迎えをして頂きます」
指を1本また1本と立てながら提案をしてくるマリアは真剣そのもの。口出し出来ないくらい勢いがある。
「きょ、拒否権は?」
「紅蓮様、流石にご理解頂けていると思いますけど釘を刺させていただきます。普通の生活に戻る事は不可能だと思ってください、貴方の容姿は見るものを惹きつける、貴方の力は周りを傷つけかねない。かつて私がそうだった様に力を持つものとして貴方にも教育を受けてもらいます」
マリアの額に浮かび上がっていないはずなのに怒りマークが見える。顔は微笑んでいるのに目が笑ってない。
「恨むぞ、前世の自分…」
「ではどちらを?」
「1つ目で頼む」
転校せずに高野宮家から登校する事を渋々選ぶのであった。
閲覧頂きありがとうございます、投稿ペースも上げたいところですが中々纏まった休みが取れないのでガッツリ書くというのが難しくなってきました。かと言って全然書かなくなる訳ではありませんので、良かったらこいつの小説見てやるか程度の気持ちで読んで頂ければ幸いです。
ブックマークとポイント?ありがとうございます。幸いにも読んで頂ける方もいらっしゃるようで嬉しく思います。誤字報告助かってます。これからもよろしくお願いします。ではまた次回!




