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剥製のジェミニ  作者: ゐなか ろじ
第1章 泣く数字
4/25

第4節 問題ない

「 ——— ほう?息子が?はて?思い当たらんな 」

「 さようで まぁ 念の為 確認をさせていただいても?」

「 ……ギルベルト!ここへ 」


「 はい ここに 」


 迷いのない よく澄んだ若い男の声が室内に響く


「 このお方が お前に用があるそうだ 」

「……私に何用で?」

 

「 …なるほど いや 父君に似た立派な丈(・)夫(・)ですな…ふむ やはり原(・)簿(・)のエラーのようですな 」

「 ほう?聖数原簿(レギストルム)のエラーとは?

はじめての経験ですな? 」

「 …数刻前 不思議なことにギルベルト殿の生命の息吹(オンド)が男ではない と 」

「っ!」「 ほう…それは随分な言いがかりですな?」

「 いやいや よくあることです…その右腕は戦で?」

「 先じ「先刻の戦で少々怪我をしたものでね 」っ!…… 」

「 なるほど なるほど…では怪我を負った際に 過剰に聖数原簿が反応したのでしょう 」

「 随分と杜撰なものですな 」

「人(・)間(・)と一緒で 完璧ではないのですよ……何事も 」


まだ止まない雨の中 近くで青鷺(アオサギ)が鳴いている

 


「 父上!どういうことですか!」

「 狼狽えるな オレにもわからん……だが 予想はつく 」

「 …小・ギルベルト(ミノル)に 何かあったのですか?」

「 ……ふん やはり喉だけでは足りんのか 」

「!それはっどういう……?」

「 大・ギルベルト(マルヨ) お前も知っているだろう?

生命の息吹(オンド)は下腹部で創られるといわれている 」

「 それは まぁ…しかし生命の息吹(オンド)が男ではない…?」

「 あぁ オレも初耳だ

どうやら生命の息吹(オンド)は男女で違うらしい…

ならば 違いをわからなくすれば良いだけの話 」

「 ちっ父上…まさか… 」

「 案ずるな お前は何も変わらん 」

「 待ってください!いくらなんでも!

生命の息吹(オンド)そのものに何かあったらっ!」

「あいつなら大丈夫だ オレの子だからな

喉の時も上手くいったんだ 加減はわかる」

「 っそんな…… 」

「 お前もいずれ ゲルマニア・ノドゥスを統べる者として 必要な判断を誤るな 情に流されるな 」

「 …… 」

 屋根を突き破る堅い氷の音がした

「 チッまたか… 」

「 …問題 ありません すぐ 戻せます 」


16回目の乾(ほ)し莽(くさ)の月は酷く暑いのか寒いのか

今更ではございますが アリトメリア王国には

0の概念がございます

いかんせん 数字管理社会でございますので

したがって 年齢のカウント方法は

満年齢寄りでございます

双子の生まれは 夏の始め 5月頃でございますので

乾(ほ)し莽(くさ)の月 7月は16回目


─────────────────────


【次回更新】2026年10月上旬頃

第5節 心配ない


次回 第1章完結 5節少し長めで5,000字ほどでございます

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