第3節 知らない
下腹部の痛みはまだ消えない
だが 刻印による苦しみだけは もうない
「 …お前 何をした 」
「 少し介入した 」
「 介入?」
「 聖数原簿に介入した 」
「 ……レギ?…お前 何を言っている?」
「 知らないのか 」
「 知るわけがない 」
「 そうか 」
「 なぜ刻印を治せる?……なぜ俺を女だと思った?」
「 …介入したからだ 」
——わからない この男は何だ?
「 ……俺は…男だ 」
「 そうか 」
「 …ギルベルトだ お前のおかげで助かった …ハティ 」
「 …… 」
「 無番…無番の民の力なのか?」
「 間違ってはいない 」
——下腹部の痛みにも少し慣れてきた
「 …生体エラーとは何だ? 」
「 聖数原簿の記録と生命の息吹が一致しない 」
「 生命の息吹が?どういう… 」
「 お前の生命の息吹は女のそれだ 」
「 ………っは?何を…生命の息吹が…女?馬鹿な!!
何故今更っ!そんなものに 男も女もあるものかっ!!」
——— そうだ そんなはずはない!私は兄上の影として 戦士として…男として完璧だった
「 その出血…月のものか?」
「!?お前!これを知っているのか!?」
「 ……あぁ そうか お前は知らないのか…なるほど 」
「 教えてくれ!…っ頼む これは何だ?どうすれば良いんだ…!?」
雨はまだやまない
下腹部の熱を奪う代わりに 再び痛みを与えてくる
「!お前 さっき生体エラーをどうにかしろと言ったな!?」
「 あぁ 」
「 …また 刻印が?」
「 あぁ 」
「!」
首に触れる 先ほどの熱を思い出す
私は今 ひどく寒いのか熱いのか
「 ハティ!!」「 …遅い」
( …子供?無番か?)
「 また雨に濡れてるー!」
ふたりは 空いている方の小さな手のひらで ハティのボロ布を握った
「 …誰?」「 怪我してるのー?」
「 こんなところまで…はぁ ギルベルトだ 怪我ではない 」
「 …え?…ギル?」「 …へんなの 男みたいだ 」
「!」
「 …お前も戻れ…身体を冷やすな 」
( ……そうだ帰らねば…でも )
「 ハティ帰ろう 」
「 …あぁ 」
遠くで青鷺が鳴いた




