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剥製のジェミニ  作者: ゐなか ろじ
第1章 泣く数字
3/25

第3節 知らない

下腹部の痛みはまだ消えない

だが 刻印による苦しみだけは もうない

 

「 …お前 何をした 」

「 少し介入した 」

「 介入?」

「 聖数原簿(レギストルム)に介入した 」

「 ……レギ?…お前 何を言っている?」

「 知らないのか 」

「 知るわけがない 」

「 そうか 」

 

「 なぜ刻印を治せる?……なぜ俺を女だと思った?」

「 …介入したからだ 」


——わからない この男は何だ?


「 ……俺は…男だ 」

「 そうか 」

 

「 …ギルベルトだ お前のおかげで助かった …ハティ 」

「 …… 」

「 無番(テアレアス)…無番の民(ウンゲタロド)の力なのか?」

「 間違ってはいない 」


——下腹部の痛みにも少し慣れてきた


「 …生体エラーとは何だ? 」

「 聖数原簿(レギストルム)の記録と生命の息吹(オンド)が一致しない 」

「 生命の息吹(オンド)が?どういう… 」

「 お前の生命の息吹(オンド)は女のそれだ 」


「 ………っは?何を…生命の息吹(オンド)が…女?馬鹿な!!

何故今更っ!そんなものに 男も女もあるものかっ!!」

——— そうだ そんなはずはない!私は兄上の影として 戦士として…男として完璧だった


「 その出血…月のものか?」

「!?お前!これを知っているのか!?」

「 ……あぁ そうか お前は知らないのか…なるほど 」

「 教えてくれ!…っ頼む これは何だ?どうすれば良いんだ…!?」


雨はまだやまない

下腹部の熱を奪う代わりに 再び痛みを与えてくる


「!お前 さっき生体エラーをどうにかしろと言ったな!?」

「 あぁ 」

「 …また 刻印が?」

「 あぁ 」

「!」


首に触れる 先ほどの熱を思い出す

私は今 ひどく寒いのか熱(・)い(・)のか



「 ハティ!!」「 …遅い」


( …子供?無番(テアレアス)か?)


「 また雨に濡れてるー!」

ふたりは 空いている方の小さな手のひらで ハティのボロ布を握った


「 …誰?」「 怪我してるのー?」

「 こんなところまで…はぁ ギルベルトだ 怪我ではない 」

「 …え?…ギル?」「 …へんなの 男みたいだ 」


「!」


「 …お前も戻れ…身体を冷やすな 」


( ……そうだ帰らねば…でも )


「 ハティ帰ろう 」

「 …あぁ 」


遠くで青鷺(アオサギ)が鳴いた

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