↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剥製のジェミニ  作者: ゐなか ろじ
第1章 泣く数字
2/25

第2節 無番の男

「 ハティだ 」

「 ……ハティ?」

「 ハティ 」


「 それだけか 」

「 それだけだ 」


「 ……無番(テアレアス) 」

「 無番の民(ウンゲタロド)だ 」


「 聞いたことがない 」

「 お前たちはそう呼ばないからな 」


「 ……そうか 」

———無番(テアレアス)……やはりそうか

しかし左眼のアレはなんだ?

ボロを着ているにしては 随分上等そうだ


目の前の男と視線がぶつかった気がした


「 女か 」

「 ……違う 」

「 そうか 」


無表情の男はサクスを抜いた

ぼろ布の隙間から覗く腕は 細かった

だが 弱くはない おそらく


「 っ……くそっ!……は? 」


こちらへ向かうと思っていた刃は 静かに男の細腕を赤く染めた


「 ……な…にを 」


私を無視し 男は距離を詰める


「 …寄るな 」


男は躊躇(ためら)わない


「 じっとしていろ 」


「!」


拒絶するよりも早く 男の指先が私の頸(うなじ)に押し当てられた

ゾッとするほどの熱


( いや 熱いのは血ではない—— )


「 お前…な に…を…っぁ がっ ぁ゙あ゙ッ゙……!!」


脳髄を直接 泥付きの杭で抉られるような激痛

私は泥の中に顔を突っ込み 声にならない悲鳴をあげた


「 …耐えろ 」


男の淡々とした声が 痛みの混濁の中で微かに聞こえた


「 その生体エラー どうにかしろ 」


( …生体 エラー? )

じくじくと焼けるような痛みが 数拍ののち 徐々に引いていく

荒い呼吸を繰り返しながら 私は恐る恐る頸(うなじ)に手をやると あれほど狂ったように のたうち回っていた赤が 穏やかな青へ戻っているようだった


兄上と同じ【 0501-7760-12(完璧な刻印)02 】


「 ……とりあえず 泣き止んだな 」


——ハティは静かに 腕の傷口をぼろ布で拭った

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。