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夢②


 またあの部屋だ。真っ白な正方形の部屋。

 以前見た夢と同じ場所にいる。来たことのないはずの場所なのに何故だか懐かしさを感じる。

 以前は謎の罵声が聞こえていたのに、今回はやけに静かだ。部屋を見渡すが、またもぼやけてよく見えない。座ってる椅子にもたれかかると、ギシ、と音が鳴った。その瞬間、ピ、ピと鳥の鳴き声のようなものが聞こえた。スズメだろうか、だが鳴き声は明らかに室内からしたように聞こえる。声の主を探そうとするが当然視界がぼやけているためいまいちよく分からない。

 隣の部屋だろうか。隣に部屋があるかなんて分からないのに、不思議とそう思った。

 椅子から立ち上がり、手探りで部屋の出口を探す。そろりそろりと手を前に出しながら歩くと、硬くて平坦なものが手に触れた。壁だ。

 その壁を伝いに進んでいく。一つ角、二つ角、三つ角、、、。四つ角は机のようなもので邪魔されていて触れるのが大変だった。なんとかそれによじ登り、角に触れる。四角形の普通の形の部屋だろうな、そう思うのと同時に謎の違和感を感じた。

 もう一度壁伝いに部屋を回る。一つ角、二つ角、三つ角、机に登って触れる四つ角、、、。先程感じた違和感はほぼ確信に変わった。


 出口がない。


 本来ドアがある場所にある凸凹が壁のどこを触ってもないのだ。壁のどこを触れても凸凹なんてなくて、手と壁が触れる、さらさらという音が室内に響くだけだった。どこを触れても凸凹なんて存在しない。ただただ平面が手の先に続く。

 前の夢で聞いた罵声が頭をよぎった。その罵声の正体なんて知らないのに、急激に不安感が募る。


 出ないと。

 

 そう思えば思うほど不安は募っていく。でも出口は探しても探しても見つからない。壁に穴でも開けようかと思っていた時、


 ピ、ピピピ。

 また鳴き声が聞こえた。よく聞くと二つの声が重なっている。部屋のどこから聞こえてくるのかは分からないが、何故か心が落ち着く。優しい声。この声にも、なんだか懐かしさを感じる。暖かくて、とても可愛らしい鳥の声だ。

 ピ、ピピピ。

 優しい。心が落ち着く。

 ピ、ピピピピ。

 この声を聞いていると、段々と視界が鮮明になっていく。部屋の明るさが分かる。窓と思われるものから光が差し込んでいる。

 ピ、ピピピピピ。

 目の前の色が段々と濃くなっていく。輪郭がくっきりとしていく。机は子どもが以前夢で見た使う学習机だった。本のようなものが何冊か置かれている。あと少しではっきりと見えそうだ。

 ピ、ピピピピピピ、ピンポーン。


 暖かいこの声に被さり、全くの正反対の冷たい機械音が鳴り響く。声が、ビッ!と攻撃的な声に変わる。


 ピンポーン。


 視界が元のぼやけた世界に戻る。明るさが不鮮明になって視界に影を落とし始めて、輪郭がぼやけていく。またあの不安な感情が戻ってくる。


 ピンポーンピンポーンピンポーン。


 連続して鳴らされるインターホンの回数に比例するように不安はどんどんと膨れ上がっていく。動悸が激しい。呼吸が荒い。頭がうまく働かない。そう思いながら部屋の中で立ち尽くしていると、


 ガチャリ。


 と遠い所で音が鳴った。

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