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道中

 〈石井精神科〉を出て、〈スイレン中華〉へと向かう道中、母親からの電話で携帯のバイブレーションが鳴った。

 「もしもし?」

 『あ、賢治。今大丈夫かい?』

 「あ、うん。大丈夫だけど。」

 またも遅刻しそうな急ぎ足の道中で、正直大丈夫ではなかったがそう言った。

 『こないだおばあちゃんと会った時どうだったかなぁって思って。』

 「あー、相変わらず嫌な人だったよ。いちいちむかつくっていうか。」

 『やっぱ相変わらずなのねぇ。あの人から小さいあなたを庇ってた日々が懐かしいわ。』

 「それは本当にありがとう、あ、ごめん。そろそろ切るね。」

 そう言って〈スイレン中華〉に到着した賢治は電話を切った。時刻は19:03を指していたが、幸運なことに愛菜の姿は見当たらなかった。

 赤いネオンで彩られたお店の看板を見上げた。そういえば、最近霞と来てないな。というか、最後に霞と会ったのはいつだったか。

 なんてことを思っていると、到着した愛菜に声をかけられて、そのまま店の中へと入っていった。

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