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夢③
朝だ。真っ白な視界が目の前を覆う。いや、朝じゃない。このぼやけた真っ白な視界は、あの夢の中だ。見慣れたものだ、もうこの夢は。ただの真っ白な部屋で今日も俺は立ち尽くしている。でも、唯一違うことがあるとすれば、視界がいつもよりも明瞭であった。
机の様であったものは、本当にただの学習机で、横の凹凸は緑色のカラーボックスだ。色々な漫画本が敷き詰められているが、なんの作品なのかは分からない。誇り被ったでかい地球儀が机の一帯を支配している。この小さい部屋と、世界を表しているより小さい地球儀との距離はどのくらいあるのだろう。そんなことを思っているとピピピ、と音が鳴った。身体をビクリと震わせて音のなる足元を見ると、鳥籠が二つあった。それぞれ一羽ずつ鳥籠に入れられた白文鳥と桜文鳥が小さい喉を震わせていた。小さい身体で大きな声を震わしている。二羽ともつぼ巣の上に乗っかって、柵のギリギリまで近寄って賢治の方へと囀りをしている。
不思議と懐かしい気分だった。
不思議と懐かしい囀りを聞き、心が穏やかになっていく。ほかほかと暖かい気持ちになっていく。
身体がふわりと浮いて飛んでいきそうなとき、壁の向こうから怒鳴り声が聞こえた。
「なんなんだよお前は!」
浮きそうな身体は、地中にのめり込むように沈んでいった。




