第4話――「潮の匂い、名刺と明細」
1986年4月3日木曜日の午前11時、尚人は品川を離れて横須賀へ戻る。駅前では、王麗華という中国人女と出会い、流れのまま裏通りの店へ入る。そこで受けた体のほぐれは、夜へ向かう前の緩みとして残るが、尚人の頭はすぐに金と道具の段取りへ戻る。銀行で1000万円を引き出し、PC-9801一式とQICテープ装置を現金で揃えたあと、久里浜で手に入れていた磁気テープの復元に取りかかる。画面の中から現れたのは、町工場で作れる送信器の設計図一式だった。
(1986年4月3日木曜日午前11時、品川、尚人の持ちビル内の喫茶店)
尚人は勘定を済ませ、地下駐車場からワゴン車を出して横須賀の自宅アパートへ向かった。首都高に乗るまでの区間は信号で細かく止まり、その先は流れた。横浜を過ぎるころ、窓から入る風が少しだけ潮の匂いを混ぜた。正午を回ると腹が軽く鳴り、ハンドルを握る手のひらに汗がにじんだ。
自宅には12時半に着いた。敷地の端に車をねじ込むように停め、エンジンを切ると急に静かになった。車体が熱を持ち、金属が冷めていく音が小さく残った。最近はバイクとワゴン車しか使っていない。階段を上がっただけで腿の奥が重く、体が鈍り始めているのを自分でも分かった。
部屋に入ると、畳と古い壁紙の乾いた匂いがした。上着だけ脱いで椅子に腰を落とし、数分だけ目を閉じた。水を一口飲むと喉が楽になり、腹の空きがはっきりした。少し休んでから、横須賀の駅前まで歩くことにした。
駅へ向かう道は木曜日の昼間でも人が途切れない。商店街には惣菜の揚げ油の匂いが流れ、魚屋の前では氷が解ける水音がした。パン屋からは甘い焼き菓子の香りが出てきて、遠くでトラックが荷台を閉める金属音が鳴った。アスファルトは昼の熱を持ち、靴底にわずかに粘る感触が返ってきた。
途中で、チャイナドレスを着た女がビラを配っていた。布は光を拾い、胸元の飾りが歩くたびに小さく揺れた。尚人は足を止め、受け取った紙を指で広げた。薄い紙で、インクが少し強く匂う。角は切りっぱなしで、指先にざらついた。
ビラには、チャイニーズエステ、マッサージ60分3000円とある。要するに、この女が揉むのだろう。年は34か35くらいに見えた。肌は整っていて、目尻の化粧がきれいに決まっている。近づくと、香水と化粧粉が混じった少し甘い匂いがした。
尚人は朝から喫茶店のモーニングしか食べていない。商店街のはずれの洋食屋に入り、ハンバーグとライスを掻き込んだ。熱い肉汁が舌に広がり、ソースの塩気が胃を動かした。グラスの水が冷たく、飲むたびに喉の内側がすっとした。勘定を済ませ、もう1度、駅前のほうへ散策に出た。
さっきの女はまだ同じ場所に立っていた。紙の束を片手に、通る男たちへ声を掛け続けている。尚人を見つけると、すぐ寄ってきた。笑いながら顔を覗き込み、言葉を投げる。
女は言った。「お兄さん、肩こっているね。私がマッサージしてあげるよ。今日は開店祝いで90分3000円にしとく」
尚人は1度だけ頷き、財布から3000円を出して渡した。紙幣を受け取る女の指は温かく、爪は短く整っていた。女が踵を返し、尚人はその後ろを付いていった。
店は商店街の裏通りにあった。表の賑わいが一歩で切れ、路地には湿った空気が溜まっている。入口は狭く、薄い看板がぶら下がっていた。扉を開けると鈴が小さく鳴り、消毒液と甘い芳香剤の匂いが鼻に当たった。床はビニールで、歩くたびに靴がきゅっと鳴る。
女は奥へ案内し、細い廊下を抜けて1つの部屋の前で止まった。中は3畳ほどの細長い部屋だ。長方形のベッドが壁に沿って置かれ、隣に正方形の小さな机がある。机の上には紙コップと灰皿、丸めたティッシュが1つ。壁のクロスは端が少し浮き、換気扇の低い音が続いていた。
尚人は言われるままに上着を脱ぎ、パンツ1枚の上に浴衣風の上着を羽織った。布は薄く、肌に冷たく貼り付いた。ベッドにうつ伏せになると、シーツの洗剤の匂いと、乾ききらない湿り気が混ざった。顔を横に向けると、枕の端に細い糸くずが見えた。
女は覗き込み、手の位置を確かめるように言った。「力、強いほうがいい? 痛かったら言ってね」
尚人がひとこと答えると、手のひらが背中に置かれた。手は広く、温度がある。まず肩から首筋へ親指が沈み込む。押されるたびに筋が逃げ、次の瞬間に捕まる。尚人は息を吐き、歯を軽く噛み合わせた。女は迷いなく左右を替え、肩甲骨の縁を探っては指を入れてくる。指先が骨の近くを滑ると、痺れに似た感覚が腕のほうへ走った。
揉み方は荒くないが、弱くもない。掌で押し、肘で角度を付け、重さをそのまま預けてくる。背中の中央を通るたび、布越しに熱が移り、皮膚がじわりと温まった。部屋には外の声がかすかに届き、遠くで自転車のベルが鳴って消えた。
時間が長い。背中が少しずつ緩むと、女は膝をベッドに乗せ、体重の掛け方を変えた。次に、尚人の背中へそっと足を置いた。布の上から圧が来て、肋のあたりが沈む。女はバランスを取りながら、ゆっくり踏んでいく。踵が移動するたび、背骨の両脇のこわばりがほどけ、奥の力が抜けていった。息を吸うと胸が広がり、吐くと体がさらに沈んだ。
尚人はホーチミンの床屋を思い出した。あの店でも同じように背中へ乗り、足で踏み、芯まで押し広げていた。暑い国の空気と刃物の音、石鹸の匂いが一瞬だけ頭に浮かび、すぐこの狭い部屋の換気扇の音に戻った。懐かしさは胸の奥に小さく残った。
◇ ◇ ◇
尚人が寝返りも打てずにもぞもぞしていると、女はすぐに気づいたようだった。手を止め、肩に軽く触れて体勢を変えさせる。尚人が仰向けになると、女は声を立てて笑った。
女は顔を覗き込み、口元をゆるめた。「お兄さん、元気だね。ここまで反応してくれると、私も嬉しいよ」
笑いが引くと、女は指先で尚人の胸元の浴衣を整えた。「でも、初回からサービスすると次から来てくれなくなる。今日はこれで帰ってよ」
女は机の引き出しから名刺を取り出し、角の揃った紙を差し出した。「今度は指名できてね。王麗華、覚えやすいでしょう」
尚人は汗の残る額を手の甲で拭き、名刺を受け取った。紙は厚めで、指にかすかなざらつきが伝わった。廊下へ出ると、消毒液と芳香剤の匂いがまた鼻にかかり、入口の鈴が小さく鳴った。表通りへ出ると、店先の時計は午後3時を指していた。
尚人は駅前へ戻り、そのまま銀行へ入った。用件は1つだけだ。普通預金1億1000万円のうち、1000万円を引き出して手元に置く。窓口で伝票を書き、通帳を出すと、行員は数字を復唱して処理を進めた。新しい札の束が受け皿に置かれ、紙の匂いが立った。通帳の残高は1億円になった。控えの伝票は折らずに書類ケースへ入れた。
尚人の手元の現金は1100万円になった。尚人はその場で封筒を2つに分け、100万円を生活費として別にした。これは明細を出さない。残りの1000万円は仕事用としてまとめ、こちらは明細を残す金だと決めた。
銀行を出ると、尚人は量販店へ入った。蛍光灯が白く、ワックスの匂いが床に残っている。パソコン売り場にはNECの箱が積まれ、青い文字の画面が点滅していた。尚人は店員へ言った。「いちばん新しいPC-9801を一式で欲しい」
店員は上位構成を示し、在庫が揃っている機種としてPC-9801VM4(※1)を勧めた。尚人はそこで迷わず決めた。表示装置とプリンタも付ける。ソフトは一太郎を購入した。
店員が伝票をまとめる間、尚人はふと思い出し、書類ケースの内ポケットから硬い樹脂ケース入りの磁気テープを取り出した。久里浜で手に入れたまま、机の引き出しに放り込んでいたものだ。英字のラベルは付いているが、尚人には規格の見当が付かない。
尚人は店員に聞いた。「これ、パソコンに落とせますか。フロッピーか、ハードディスク(※5)へ」
店員はケースを受け取り、側面を回してラベルを読んだ。指先で文字をなぞり、顔を上げる。「これはQIC(※6)っていうテープですね。バックアップ用のカートリッジです。PC-98なら、テープユニットを付ければ、テープの中身をハードディスクへ復元できます」
尚人は間を置かずに言った。「そのユニット、いまここで買えますか。今日中にやりたい」
店員は一度だけ頷き、売り場の端へ手を上げた。「業務用の周辺機器に在庫があります。インタフェースも必要になるので、いっしょに揃えます。取り付けもこちらでできます」
店員は伝票を2枚に分け、番号の違う紙を揃えて戻ってきた。尚人はその場で現金を出した。札の角が擦れて乾いた音がし、店員は数え直してから明細付きの納品書兼領収書をホチキスで留めて渡した。尚人は品目と金額を確認し、紙を折らずに書類ケースへ入れた。
納品書兼領収書(1986年4月3日)
・NEC PC-9801VM4 本体(内蔵固定ディスク/5インチ2HD) 830,000円
・14インチCRTディスプレイ(PC-98用) 99,800円
・ドットインパクトプリンタ(PC-98用) 298,000円
・MS-DOS(※2)(PC-9800シリーズ用) 18,000円
・一太郎(※3)(PC-9800シリーズ用) 78,000円
・5インチ2HDフロッピーディスク(※4)(10枚) 2,500円
・プリンタケーブル 3,000円
・電源タップ 2,000円
小計 1,331,300円
値引 1,300円
合計 133万円
尚人は続けて、もう1枚の明細も受け取った。こちらも折らずに重ね、書類ケースへ入れた。
納品書兼領収書(1986年4月3日)
・QICミニカートリッジテープユニット(PC-98用) 198,000円
・接続インタフェースボード(Cバス(※7)) 59,800円
・復元ユーティリティ(ドライバ一式) 9,800円
・QICテープカートリッジ(新品) 5,000円
・接続ケーブル一式 3,000円
・取付・動作確認 10,000円
合計 285,600円
尚人は箱を車に積み、帰路についた。生活費の封筒には手を付けない。仕事用の1000万円から、明細の付く形でパソコン代だけを落とした。残金は867万円だ。そこからテープ装置の285,600円も出したので、仕事用現金の残金は838万4400円だ。
部屋へ戻ると、尚人は机の上を空け、箱を1つずつ開いた。テープが剥がれる音が部屋の静けさに響き、発泡材の匂いが立った。本体と画面を据え、ケーブルを差し、プリンタを床へ置いた。電源を入れると、画面の奥で白い点が走り、低い唸りが始まった。ファンの音が一定になり、文字が浮かんだ。キーを叩く感触は新しく、沈みが素直だった。
尚人は書類ケースを開き、領収書の明細をもう1度見た。品目の列を指で追い、間違いがないことを確かめてから閉じた。机の端には王麗華の名刺が置いてある。紙の角が光を拾い、厚みが目に残った。
尚人はPC本体の電源を切り、背面を開けて増設スロットへボードを差し込んだ。金属の端がかちりと噛み合い、手応えが固く止まる。ネジを締めると、ドライバーの先が金属に当たり、小さく鳴った。ケーブルを繋ぎ、テープユニットを机の横に置く。電源を入れると低い唸りが立ち上がり、ランプが点いた。
尚人はQICカートリッジを差し込んだ。途中で抵抗が増し、最後に軽い音がした。ユニットの中で回転が始まり、一定の呼吸のように音が上下した。
復元ユーティリティのフロッピーを入れ、画面の表示に従って操作する。保存先はハードディスクだ。尚人はC:\TAPE\というフォルダを作り、そこへ落とす指定をした。開始を押すと、進行表示が数字で進み、ユニットのランプが点滅した。部屋の中はファンの音と回転音だけになり、外の車の音が遠くで薄く混じった。
しばらくして画面に完了の表示が出た。尚人はすぐにフォルダを開き、ファイル名とサイズを順に確かめた。いくつかを開いて文字化けがないことを確認し、復元ログも同じ場所へ保存した。
樹脂ケース入りのカートリッジは机の端に置かれ、角だけが夕方の光を拾っていた。テープの中身は、いまハードディスクの中にある。尚人は書類ケースを閉じ、椅子に腰を戻した。次の作業に必要な道具と、明細と、残高は揃った。
◇ ◇ ◇
尚人は、引き続きハードディスクの中を検索した。QICカートリッジの中身を確認したかったのだ。その中に実行形式の図化プログラムだけでなく、一太郎でも読めるテキスト形式の「町工場で作れるリモコンの設計図一式」が紛れ込んでいた。次のような内容だった。
尚人はハードディスクのディレクトリを開き、ファイル名を上から下まで追った。ケーソン図化の実行ファイルと同じ階層に、簡素な名のフォルダが1つある。日付が古い。
その中に、図面番号の付いたテキストが3本並んでいた。仕様、部品表、検査。図面の外形を示すデータもある。
彼は仕様書を開いた。紙に出す前提の文面で、行頭が揃い、句読点が少ない。所内の報告書ではなく、工場に渡すためのものだと分かる。
タイトルの行に、こう書いてあった。
「携帯送信器 RMT-86 製作図一式(社外製作可)」
尚人は椅子の背を少しだけ押した。社外製作可。町工場で作れという意味だ。
次のページに、部品表が付いていた。
「筐体:アルミ押出しケース(既製品流用可)、裏蓋・電池蓋
基板:片面ガラスエポキシ 1.6mm、ランド補強用ハトメ(必要数)
電源:単3×4本 電池ホルダ、電源スイッチ、逆接保護ダイオード、三端子レギュレータ(5V系)
発振:水晶発振子 1点、発振用トランジスタ 1点、トリマコンデンサ 1点
符号:「EPROM 1点(起動キー照合の処理)」、ソケット 1点
論理:汎用TTL/CMOS(カウンタ、ワンショット、ゲート)数点(代替可)
調整:半固定抵抗 2点、テストポイント用ピン 数点
出力:励磁コイル 1式(フェライトコア付)、同調コンデンサ 数点、駆動用パワートランジスタ 1点、保護用ダイオード 1点
遮蔽:シールドケース(基板用)またはシールド板、銅箔テープ
操作:押しボタンは0〜9の10個と#と※の計12個。#は確定(決定)キー、ノブまたは押し棒(樹脂)
表示:送信確認用 小型豆球 1灯
機構:ねじ一式(M2〜M3)、スペーサ、ワッシャ、基板固定金具
線材:配線用ビニル線、エナメル銅線(コイル巻線用)、収縮チューブ、絶縁ブッシュ
消耗材:はんだ、フラックス、はんだ吸い取り線、洗浄用アルコール、結束バンド
固定:エポキシ接着剤(コイル固定・補強)、ねじロック剤(必要時)
検査:簡易治具(負荷抵抗、測定端子)、検査票(参照)
安全:送信は2回繰り返し、間隔は一定(検査票参照)」
仕様書の最後に、1行だけ赤鉛筆の書き込みが残っていた。
「KEY.TBL=起動キー入力手順(数字12桁の入力と、※で確定する手順)/EPROMには起動キー照合の処理が格納されている」
尚人はその行を指でなぞった。彼はファイル名を控え、KEY.TBLと検査票をプリント指示に回した。インクリボンの匂いが立ち、プリンタが紙を送り始めた。
◇ ◇ ◇
これで「町工場でも出来る設計図が、ハードディスクに一式ある」ことが分かった。尚人は自分で作成することにした。しかし、問題は、この一行である。「KEY.TBL=起動キー入力手順(数字12桁の入力と、※で確定する手順)/EPROMには起動キー照合の処理が格納されている」
起動キーは何処にも記されていない。やはり、ケーソンの図化プログラムを逆アセンブラするしかない。
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脚注
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(※1)『PC-9801(PC-98)』は、NECのパソコンPC-9800シリーズの代表機である。1980年代の日本では事務用・業務用で普及し、会社や店の帳簿、文書作成、簡単なプログラム作業に広く使われた。海外で標準になっていくIBM互換機とは別の流れにあり、国内向けソフトや周辺機器がPC-98中心に揃っていた。本文のVM4は、その系統の上位機種の一つである。
(※2)『MS-DOS』は、画面にコマンドを打って操作する方式の基本ソフトである。現在のようにマウスで窓を開く形ではなく、プログラム起動やファイル操作を文字で行う。1986年当時のパソコンでは、これが標準の使い方に近かった。
(※3)『一太郎』は、日本語の文書作成ソフト(ワープロソフト)である。1980年代に事務用途で広く普及し、手紙、契約書の下書き、社内文書などを作る道具として定番になった。日本語入力と組み合わせて使うことが前提のソフトである。
(※4)『5インチ2HDフロッピーディスク』は、当時よく使われた記録媒体である。薄い円盤をケースに入れた形で、ソフトの受け渡しや保存に使う。容量は約1.2MB程度で、いまの感覚では極端に小さい。そのため、データが増えると何枚にも分けて保管するのが普通だった。
(※5)『ハードディスク』は、パソコン内部または外付けに付く固定の記憶装置である。1986年ごろは容量が数十MB級でも十分に高価で、装置を付けること自体が仕事用の強い意識を示した。フロッピーより速く、大きなデータをまとめて置ける。
(※6)『QIC』は、樹脂ケース入りの磁気テープカートリッジの規格の一つで、主にバックアップ用途で使われた。必要なときにテープ装置へ差し込み、ハードディスクの内容を退避させたり、逆にテープから復元したりする。本文のように「テープの中身をハードディスクへ落とす」は、この復元作業に当たる。
(※7)『Cバス』は、PC-98本体に拡張ボードを挿すための内部スロット規格である。周辺機器を動かすためのインタフェースボードを追加し、テープ装置や外部記憶装置などを接続できるようにする。本文の「接続インタフェースボード」は、そのための増設部品である。
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この回では、尚人の1日が女、現金、機械、設計図という4つの手触りで進んでいく。横須賀の駅前で王麗華から受け取った名刺の紙、銀行で受け取った札束の乾いた匂い、量販店で積まれたNECの箱の重さ、そしてQICテープの中から現れた設計図の文字列が、同じ日の中で連なっている。第3話で固めた会社と金の枠組みは、この回で具体的な道具へ変わり、尚人は『逆アセンブラの女』へ向かうための材料を、ようやく手の届く場所へ並べ終える。第三章はここで、金の話だけでなく、機械と設計図の話としても本格的に動き始める。




