空白のサンライズ
喰われる……か。
「だが、ペットにしても寿命が短いのでは意味が無いな。殺処分になってしまうが、構わないな?」
そういうと、レックミオンは高くまで飛び上がり、1匹目の怪物の頭を右手で思い切り殴り飛ばす。かなり豪快に飛んでいき、飛ばされた頭が床にめり込む。
「ん?そんなんでドヤられても困るんだけど。俺がそんなおっさんのパンチ1発喰らっただけで倒れるやつを怪物なんて呼ぶかい?」
かなり態度がでかい吉田だが、吉田はまだ何もしていない。変なものを見せつけ、何かに任せているだけだと思う。多分。
「さて……回帰しろ」
めり込んだ頭は……ゆっくりと黒い霧のようなものに包まれ、だんだん元の怪物に戻っていく。龍を想像させるような怪物で、まあまあ首が長い。これが怪物とかいうやつなのか。期待通りで結構嬉しいが、あいつにバックアップを使う意味は無さそうで、僕の出番が無さそうだ。無い方がいいのだけれども。
しかしレックミオンは無表情でただ僕らを眺めている。
「お前さん……俺のペットを購入する気か?ちゃんとした名前つけろよ?」
レックミオンは笑い、手を赤くしながら言う。
「購入する」
その瞬間に吉田の片脚が粉になっていくが、バックアップを取っているし、正直どうでもいい。多分金の無駄遣いだ。
と思っていたが、バックアップが完了しない。
「嘘……だろ……?」
「くぅぉっ……あっ……」
吉田は再生しないことに戸惑っているようだ。どうする?バックアップはもう効かない。どうすれば吉田の脚を……時間が……足りなさすぎる!
「こうなったら、お前さんだけ生き残れよ。なぁ光」
待ってくれよ……せっかく……せっかく出来た友じゃないか。逝かないでくれよ……やめてくれよ……
「大丈夫だって。意外とヒトは強いんだ。お前さんも、強いから」
吉田が言い終わった瞬間に、さっき首をもがれた龍は光なき体から発光し、じゃない方の龍はさっきから長い身体で渦を作っている。何がしたいんだろうか。いや……何をしたいんだ?ふざけるなよ……?
「……よし。喰らえ」
じゃない方の龍から出来た黒い輪から、赤と黒が混じった汚い光線……波動……?よくわからないものが漏れている。もう一方はただ大きな声を出して光の筋を少しずつ出している。
「……はっ。お前さんには適わねえな」
レックミオンは……諦めたのか?まだ購入のアクションはとってないはずだ。しかし、指が赤いのが気になる。あとは……吉田が何者なのかも少し。まあいいか。死ぬんだし。
じゃない方の龍からは変な太い何かがでてきて、当たった場所は全て溶けている。そして、もう一方は爆発し、強い風を発生させた。
僕も耐えられず吹き飛ばされ、もう目を開けるのは嫌になった。
が、やはり、死ぬ前は、世界を見ながら死にたい。バックアップは実を言うと取っていない。僕はもう死んでいるんだ。これ以上死を避ける特権は僕にはもう無い。あぁ、綺麗だ。正直何も見えていないが。
ぎりぎり、ビルと床が溶けているのが見える。吉田はいつも変なやつだった……な。でも、そういうキャラなだけで、根はいいやつなのかもな。こんなことになっていなければ……僕は吉田に嫌われずに済んだのに。
寝るか
朝焼けの空が映る。
砂漠の中にある道路が、僕に「通れ」と言っているようだった。
と思っていたが、世界が壊れ始める。
あぁ……死んだのか。嬉しい……かもしれない。
僕が瞬きをした時、光だけの七色の……綿飴?のような空間に移り変わった。
脱出がしたい。正直、地獄とかにいた方がまだマシだ。これが地獄なのかもしれないが。
「空は広がってく。大地も広がっていく。世界はもう1度始まりを始める。お前は死んでなどいない」
独り言……?怖いな。こんな癖は無かったはずなのに。それとも、僕と同じ声の誰かがいるのか……?この空間も、機能力だったりするのか。
なるほど。つまらん
何か……何か僕を変えるような世界になってくれないかな
世界は切り替わる。




