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腐文律  作者: ヘラヅキ
11/15

最終日

「ヴェルテクス……少し話がある」

吉田が言っている「ヴェルテクス」とは、僕がペットにした大ミミズ『ちくわ』だ。見た目は半身ミミズだが、根は優しい。とても暖かくて、かわいい。すごくかわいい。

吉田は舌の根も乾かぬうちにちくわと何処かへ消えていった。これでは合コンとかの友人の友人同士で2人きりになった感じがして、とても気まづい。

「白羽……さんはなんかその、趣味とかあるんぞ?」

「ひ……特には、はい。無いです」

吉田……助けておくれよ。と多分僕も白羽も思っている。そういえば、白羽の機能力は何なのだろうか。

「白羽さん……の機能力ってどんな感じなんですか?」

白羽はピクっと反応し、子供のような笑みを浮かべ、かばんの中にある掛け時計を次々と並べていった。合計で……6個?

「こいつの中に、時間を指定して入れとくんです。そうすると、時間になった時に発動……みたいな感じですね。やってみます?」

何をやるんだろうか。人とかも入れられたりするのだろうか。気になったが、少し怖くなって聞くのはやめた。

「むききむく」

ちくわの声がする。なんか……野良猫を見ているような感覚がして、ほっこりするな。あぁかわいい。

「先にヴェルテクスの説明をしておく。ヴェルテクスの寿命は、無い。体は千切られても2時間後には全回復する。毒の耐性もあるし、この星で最強の種族だ。しかし、ヴェルテクスは自分で死のうと思った時に死ぬことができるのさ。」

寿命が無いって……どういう感じなのだろうか。もしかしたら、吉田が出した2匹のミミズも自分から死のうとか思っていたのだろうか。

森に吹き飛ばされた時は、どんな気持ちだったのだろうか。やはり、痛かったりするのだろうか。だんだん考えること自体が怖くなってきて、もう、なんかすごく嫌だ。考えるなとでも言いたいのだろうか。僕はそっと、ちくわに抱きついた。

「エサもいらない。必要なのは、心だぜ」

僕は、ちくわに寄りかかったまま、眠りに落ちてしまった。

「さて……吉田さん。答えはどこにあると思います?」

「そんなん……光にしかわからねぇよ」

「と、いうと?」

「光は1回、街の外に出たんだ。俺も出たけど、すぐに戻っちまった。光が前外に行った時の戦利品がこの盾」

「では……外に出てみますか?」

「むききむく」

僕は……なぜこんな暗いところにいるんだろう。夢……にしては随分と鮮明だ。絶対に僕は起きている。それにしても、ここはどこだ?

生き物の体の中を想像させる、妙に湿っていて薄暗い空間。壁は灰色で、何故かぶよぶよしている。もしかして……外?

「中だよ」

吉田の声がした。

「もぺぺのむ」

ちくわの鳴き声が聞こえたあと、僕はちくわから出てきた。いや、多分ちくわから出てきた訳では無い。別の世界に送られていた。

「ひーもぷ」

「おかえり」

ちくわが嬉しそうに跳ねている。が、揺れというか、そういうものが一切起きない。地についた音はするが……重さがないのか?

「さて……もう1回、外に出ることになった。付いてきてくれるかい?……いや、俺らを助けてくれ」

吉田が真剣な表情で聞いてくる。外に出るって……もしかして、帰ろうとしてる?外に終点があるのか……?僕は別ルートというか、よくわからない道を通って帰ったが、行きの果てとかは……あるのだろうか?

そう考えているうちに、何故か外の世界の直前まで来ていた。ちくわの力……?それとも

「あっ、自分がやりました。時計の中にいる時は記憶とか無いもんで。すみませんね」

白羽か。この時計って、どうなんだろう。外の世界はほとんど壁がない空間だし、使えるのだろうか。

「やっぱ、ちょっと休憩していくか。」

吉田は僕と白羽の表情を見て言った。2人と1匹は、ノーとは言わなかった。

そして僕らは、ホームセンターらしき場所の窓を壊す。

こんなことができるのも、今日で最後になりそうなのか?取り敢えず、ここならいろいろありそうだ。ベッドのサンプルもあるし、工事器具もある。1日は余裕で過ごせそうだ。

あと、僕は、光っているタブレット端末を見つけた。

ちくわくんの声※多分主は途中で忘れます

おかえり→もぺぺのむ

何かないかな→ひーもぷ

何言ってんのお前→むききむく


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