白き羽と大ちくわ
「敵意が無ければ見逃してやろう」
煙の中にいる男は、高いところからペンダントを輝かせ、そう言った。
「この声……どっかで聞いたような気がするんだよなぁ」
吉田が変な笑みを浮かべ、そう言うと、随分吉田らしくない顔をし、叫んだ。吉田の声に驚いたのか、ミミズは少し固まり、後退する。
少し時間がたった頃だろうか。煙の中から男が駆け足気味に笑顔で出てくる。
「いや、ボスでしたか」
「ここでボスとかいうなよ恥ずかしいなあ」
親子の会話かなんかだろうか。僕は蚊帳の外だし、ミミズとでも仲良くなっておくか。
それにしても、このミミズといい、地球上にいなさそうなこの生き物シリーズは何だ?とミミズに小声で聞く。
「あぁ、こいつはボスが盗んできた生き物さ」
「だからボスって言うなってば!恥ずかしいでしょもう!」
「随分……仲がいいんだね吉田。友達?」
仕事は辞めたとか言ってたし、友達だろうか。
「まぁ……話せば長くなるね」
男がそう言うが、多分長くなりそうな予感はしてたし別に何とも思わなかった。
「あっ……先に自己紹介しておきます。わいは白羽です。時限爆弾みたいな機能力持ってます。よろしくです」
そう言うと、白羽は自慢するように胸につけたペンダントを見せつけてきた。龍の……口のような形をしている。
「自分は須藤です。バックアップの機能力持ってます。」
「こいつの盾はめぐるくんって言ってだな」
「盾に名前付ける趣味じゃないぞ」
盾にしれっと名前設定があったのか。まぁ、盾とか堅苦しいししょうがないだろう。よろしくめぐるくん。
「……それで、吉田達は何をしてるんぞ?」
「簡単に言うと、泥棒みたいなことしてます」
「は?」
泥棒?吉田がそんなこと……まぁ言い切れなくはないか。泥棒って……窃盗団?怪盗二面相?とにかく、更生とかってどうするんだっけか。
「多分、わいらのしてることと須藤さんの考えは違ってますね」
「そりゃ、勘違いもするわな」
「ざっくり言っちゃうと、星には別の世界の入口みたいなのがあって、そっから俺らが出したような変な生き物が住んでるんだ。まぁ殆どミミズなんだけどね。そいつらの研究してる場所からミミズ達を盗んできてるって感じかな」
立派な犯罪……というか、相当やばいんじゃないか?別世界の入口とか、宗教的な何かも感じるが……確かに、あの時の龍もミミズに見えてきたし、白羽が出してたのもミミズだ。
「白羽。俺らに付いてこい。ミオ……黒幕を、あんたとなら倒せる」
「ボスゥ……!」
白羽は吉田に抱きつきそうになったが、吉田は不審者を捕まえる棒の折りたたみ式のような変なもので白羽を押さえつける。僕も大ミミズの腹を撫で、ミミズは地中に潜って、僕をじっと眺めている。随分とかわいいじゃないか。
「このミミズ、須藤さんに結構なついてますね」
白羽は吉田に取り押さえられたまま、ガムテープで縛られそうになっているところを必死に避けながら話している。
「名前とかつ……おほ〜っ」
「こいつはこんな奴だけど、案外やるときゃやるからな。信用しててもいいぞ」
名前……か。
「吉田。このミミズの名前……何がいいんぞ?」
「ミミズの頂点みたいな感じだし、ヴェルテクスとか?」
わかった。今日から君の名前はちくわだ
ミミズくんの名前は「ちくわ」です。
吉田はいつまで経っても多分ヴェルテクスと呼びます。




