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67 風を起こせ!第三の魔法!

俺の名は山口寿明。

色々あって異世界でスライムに生まれ変わって、テロ容疑者として追われている男だ。


入城列に並んでいる間、目のデカい人から色々と情報を得れたが、この人の種族名は謎のままだった。

一体どういう種族だったんだろう。

入城チェックで堀の件がバレるのではとドキドキしたが、実際には心臓も血管もないので血圧も体温も上がらないわけで、もしそういう嘘発見器的なチェック機能があったとしてもバレないので安心ですね。

チェックも、持ち物確認っぽいことを軽くされただけで、全裸手ぶらの俺はほぼスルーだった。

ビビって損したぜ。

でも未知の調査方法とかがあっていきなりバレるかも知れないからな。

いつでも逃げ出せるように注意だけはしておこう。


『今日も来よったんじゃよー』

『今日も新魔法ゲットだぜー』

この無料で魔法貰えるキャンペーン、いつまで続くんだろうな。

とりあえず貰える内に色々貰っておこう。

『ところで昨日教えた水魔法じゃけど、ここから出た後で練習した?』

誘導尋問来た!完璧に夕べの堀事件の犯人と疑われてるぞこれ。

『してませんよ?昨日は大きな白猫の人と遊んでたんで。魔獣が住んでるゾーンに連れてって貰いましたよ』

『ほー。白猫の魔獣と知り合いかー。でもあやつ夜は衛兵しとるんじゃよー?』

『あの人いつも2階の監視台で寝てるので、毎晩あそこで雑談してるんですよ』

『仕事の邪魔をしたらいかんのじゃよー』

キョキョキョと笑う田端さん。

くくく。アリバイを崩され掛けたが持ちこたえたぞ。


『まー、おぬしが堀で水魔法使いまくっとったんは知っとるんじゃよー』

『なんやて工藤』

『魔法が使われた記録の判定するんは儂なんじゃよー。おぬしの魔力波長は検査で明らかになっとるから丸わかりだったんじゃよー。人間の仕業って事にしておいてやったんじゃよー』

『ありがとうございます。ありがとうございます』

『城の周りで魔法が使われたらすぐ分かるようになっとるんじゃよー。魔力波長も記録してあるから個体識別も出来る、優れ物の警戒システムなんじゃよー』

なんだそれ。ガチの軍隊めいてるやないか。今度から堀で魔法を使うのは止めておこう。

というか、城の堀にでも水を捨てればいいというアドバイスとは一体何だったのか…。

まさか奴め、意図的に俺をハメようとしたんではなかろうな?


『とりあえず困った事は人間の仕業にしておけはいいんじゃよー』

なるほど。俺も今度から何かあったら人間の仕業にしておこう。人間の仕業、超便利そうだな。

テロ疑惑はスルーして貰えるようなので、気を取り直して魔法ゲットタイムに戻ろう。

『光、水、と来て次は迷ってるんですけど、魔法って他どんなのあるんですかね?』

『どんなの?最初に説明せんかったっけ?』

『自発するタイプの魔法と、神頼み魔法があるとは聞きましたけど、自発タイプは他にどんなのがあるのかなと』

『字も読めないから魔法書も見れんのじゃろ?説明とかめんどくさいんじゃよー。水とか火とか出せると思えばいいんじゃよー』

くそ、めっちゃ扱いが雑だな…。

まぁタダで魔法教えろくださいつってるんだから、応対してくれてるだけ有り難いんだけども。

だがこの人魔法の権威みたいな人だって言うし、毎日相手してくれてるのが何かおかしいとも思うんだが。


『確か土は駄目なんですよね?じゃあ電とか出せますかね』

『あー。雷は神聖魔法にあるんじゃよー。非効率な自発魔法で使う奴はおらんのじゃよー』

『非効率ってどれくらい差があるんですかね?』

『神聖魔法を魔力1とすると、自発で同じ雷を出すのに魔力10以上掛かるんじゃよー』

ぬお、それは想像以上に非効率だな。確かに使おうと思わんわ。


『んじゃあ…風魔法で空飛んだり出来ます?』

『大鳥にでも乗ればええんじゃよー』

『そう言うんじゃなくてですね。飛行魔法ってないんですかね?』

『飛行出来る種族に頼ればええんじゃよー。空を飛ぶ種族が補助用に使っとる術がせいぜいじゃよー』

うーん、これも駄目か。

『風は色々便利じゃよ?暑い時に涼んだり洗濯物乾かしたり』

それこそわざわざ魔法使う必要ないですよね…。

あと他に、何か厨二っぽいカッコいい系魔法はなんか無いかな?


『あ!気とかそう言う系は?』

『おぬしほんまに異世界からやってきたんか。気ってなんじゃよー?』

『えっ、何と言われても…。こぅハアーッ!ってやったら気で出来た玉とかビームが』

『狂っとるんじゃよ…』

『狂ってないから。あと気のパワーで身体能力アップとか!』

『だから気ってなんじゃよ…。玉になるとか体を強くするとか…狂っとるんじゃよ…』

『ファンタジー異世界なのに何かそう言うフワッとしたニュアンスのモン無いのかよ!』

『だからファンタジーって何じゃよ…。おぬしの頭の方が余程フワッとしとるんじゃよ…』

くそっ、どうしても気についてはフンワリした発言にならざるを得ない!くやしい!

だが緑色のしわしわ小人に言われるのはスゲー釈然としないぞ。


『めんどくさいから風でええんじゃよー。魔力でエイッてやって風を起こすんじゃよー。以上』

『もう教える気無いだろアンタ』

『あんだけ光とか水とか出せたら、火でも風でも何でも出るんじゃよー。やり過ぎないようにしっかり調整するんじゃよー』

めっちゃ投げやりだな…。

だが確かにエイッてやったら、室内なのに風が吹いたのだった。

俺ももう立派な魔法使いだな!


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