13 遭遇!初めての異世界人!
俺の名は山口寿明。
色々あって異世界でスライムに生まれ変わり、巨大な熊と死闘を繰り広げている男だ。
巨大熊赤カブトと、俺こと餅型スライムのバトルに、突然の乱入者が現れた。
それはダークエルフの女戦士!
銀髪のショートボブに浅黒い肌。耳が長いのでこの人はダークエルフ。いいね?
見た目は20代ぐらいだろうか。切れ長の目が凛々しい美人さんだ。
よく分からないけど、革の鎧?っぽいのを着てて、1.5メートル位の短槍を油断無く構えていらっしゃる。
【そして何より大事なことは、ダークエルフさんは巨乳だと言うことだよ君ィ!】
革鎧では隠しきれない、神々しき盛り上がり!
異世界で始めて出会った人類が巨乳様だとは…おぉ…神よ…!
巨乳様に見とれて思わず棒立ちになってしまったが、今は生死をかけたバトルの最中だった。
幸い、赤カブトは顔面爆発のショックでパニックになって藻掻いている。
あれは巨乳様の魔法的な何かだろうか?
いきなり爆発とか怖すぎるが、その爆発を顔面に喰らって生きてる赤カブトも怖ぇわ。
しかし赤カブトがパニクっている今がチャンスだ。
覚悟を決めてジャンプ一閃!
赤カブトの鼻先に飛びついて、ビュルビュルと鼻と口から一気にスライムゲルを流し込む!
【くらえぇぇぇぇぇ!!! …オープンゲェェェット!!】
3秒ぐらいで恐怖の限界が来たので、流し込んだゲルを切り離して飛びずさった。
爪でバーンてやられたら死ぬかも知れないからね。いまの超怖かった。3秒も我慢できた俺は凄い。
「……!!!」
声も出せず、口の辺りを引っ掻きながら苦しげにもがく赤カブト。
わずか3秒とはいえ、1リットルぐらい流し込んでやったからな。
喉の辺りまで、グミみたいなゲルを流し込まれたんだ。どんなに肺活量が強くても、吐き出せまいて。
ズドォッ!
すかさず、もがき苦しみ隙だらけとなった赤カブトの脇腹に短槍を叩き込む巨乳様!
あれは十字磔にした罪人の心臓を突き刺す処刑めいたやり方!
スゲーな巨乳様。熟練マタギかよ。この人めっちゃ強いのかも知れんな。
流石の赤カブトも、気道を塞がれた挙げ句、心臓をぶち抜かれては生きてはおれまいて。
ぶっ倒れた赤カブトの命の炎が消えてゆく。
ホッと一息ついた俺だが、巨乳様は油断なく短槍を構えてらっしゃる。
何故だ?実は異世界獣の赤カブトは心臓が2個あって、ここから復活するとかか?
んん? 心なしか、こっちに向けて槍構えてらっしゃいませんか?
もしかして、俺を警戒しているんだろうか。
この世界って、ブルースライムは一般的じゃなかったりするのかな。
熊と戦うブルースライムはあんまり居なさそうだが…。
しかし、遂に巡ってきた異世界人とのファーストコンタクト。
もう森の中でボッチは嫌だ。なんとしてもここで、巨乳様とコミュイベントを成功させなければならない。
出来る限りのカワイイ口笛で巨乳様を魅了するのだ…!
ビーチボールくらいの餅型ブルースライムと言えば、ニヤ付いた例のアイツが思い浮かぶが、俺にはアイツみたいな顔は付いてないからな。
正調の60階タワーのやつとほぼ同じ造形。プルプル震えて可愛く口笛を吹けば行けるはず!!
ピョイピョイ! ピュイイ?
【プルプル! ピュキッ?】
渾身のカワイイ鳴き声風口笛が決まった!!
語尾をあざとく疑問系みたいにするあたり、我ながら完璧だ。
どや?とばかり巨乳様を見ると、あれ…?なんで…グロ画像見るみたいな目でこちらを…?
何故か、俺のカワイイ口笛の術は逆効果になってしまったようだ。
槍も構えたままだし、なんか蔑み系の不審な目つきで俺を見ておられる。
ピュイィ?
【どや?】
もう一回やってみたけど、結果は変わらず。ノーリアクションで警戒態勢だ。
ちょ、止めて? 僕は悪いスライムじゃないよ?
ぴょんと巨乳様の方にショートジャンプしてみたが、パッとバックステップで距離を取られた。
さっきの異世界オープンゲットを見られたせいで、警戒されてるんだろうか。近寄らせて貰えない。
いかん。このままでは貴重なコミュニケーションイベントがバッドコミュニケーションで終わってしまう。
何とかして挽回しなければ!
焦る俺だが、「口笛」「プルプル震える」「ジャンプ」「にじり寄り」以外のコマンドが存在しない。
もともと前世でもコミュ力の低かった俺だ。美人の巨乳様と話した経験など無いのだ。
どうすればいいか分かるわけ無いだろ!
自分に逆ギレしている間に、巨乳様はサッと踵を返して森の中へ去っていった。
【あっ、待って!いかないで!!】
俺も急いで後を追うが、巨乳様は速かった。どんどん引き離されていく。
赤カブトの気管に20スラ力程注ぎ込んでしまったので、格段に速度が下がってしまったのがもどかしい。
大学生の陸上選手くらいの早さでは、全く追いつけない。
【くそっ…折角人と会えたのにまた一人か…】
巨乳様見えなくなってからも、しばらく走り続けたが、巨乳様は影も形も見つからなかった。
初めての異世界人との遭遇は、空振りに終わってしまった。
こうして俺は、またひとりぼっちに戻ってしまったのだった。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
初日にまとめて切りの良いところまで投稿してしまいましたが、この後は一日一本づつくらいのペースで投稿していきたいと思います。




