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7/11

その1時間は休憩です ~会議までの1時間

 私は正直高給取りではない。

 なので、世間から見れば些細な金額でも気になってしまう。


 例えば、終業後の会議だ。会議そのものに文句はない。仕事なのだから、必要なら参加する。そこは理解している。

 問題は、その時間である。私の職場では、時々、通常業務が終わった後に会議が入る。

 しかも開始は終業から1時間後。


 最初に聞いた時は、当然こう思った。

「じゃあ、その1時間は残業ですよね」

「いや、その時間は休憩だから」

 違った。

 残業代は出ないらしい。


 ある日、さすがに空腹に耐えられなくなった。会議が終わるのは21時や22時になる。昼食を食べてから何時間経っていると思っているのだろう。

 せめてコンビニでおにぎりを2つくらい買ってこよう。

 そう思って席を立った。

「ちょっと出てきます」

 すると、すぐに声が飛ぶ。

「どこに行くの?」

 ちょっと、コンビニです。そう答える前に、別の声が続く。

「会議資料の最終チェックは済んだ?」

 更に。

「この数字、念のため確認しておいて」

「ついでにこっちも見てもらえる?」

 気がつけば、席に戻っている。

 そして仕事をしている。


 休憩時間なのに。


 不思議である。

 私の知っている休憩の概念とは少し違う。休憩というのは、本来、労働から解放される時間だった気がする。

 だが、この職場では違うらしい。


 仕事をしていても休憩。

 何とも便利な言葉である。

 会社にいなければならない。

 いつ呼ばれるかわからない。

 資料の修正依頼が飛んでくるかもしれない。


 なのに、休憩。


 どうやら最近の休憩時間は、自由に使える時間ではなく、職場で待機しながら次の仕事を待ち、呼ばれれば対応する時間を指すらしい。

 会社に拘束されていても休憩。

 会議のために待機していても休憩。

 便利な言葉だ。

 もしこれが本当に休憩なら、私は長年、労働という日本語を誤解していた事になる。


 たかが1時間。

 そう言う人もいるだろう。


 だが、1時間あれば昼食代くらいにはなる。最近値上がりを続けるおにぎりだって2つは買えるし、飲み物だって買える。

 何より、その1時間は私の時間だったはずだ。


 会社のために使っているのに、何故か存在しない事になっている。

 会社というのは不思議な場所だ。

 売上の数字が1時間分消えたら大騒ぎになる。経費が1時間分消えたら原因究明が始まる。

 だが、従業員の時間だけは違う。


 何故か簡単に消える。

 しかも誰も困らない。

 いや、正確には会社だけが困らない。


 その日も私は会議に出席し、資料を確認し、指示に対応した。

 ただし、会議前の1時間分は休憩だったらしい。

 なるほど。

 どうやら休憩という言葉には、時間そのものを消し去る力があるらしい。

 少なくとも私の1時間は、その日も見事に消えていた。

  


読んでくださってありがとうございます(*_ _)

ポイントを入れてもらえると、嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
 時司 龍さん、こんにちは。 「時司の愚痴日誌 その1時間は休憩です ~会議までの1時間」拝読致しました。  通常業務が終わった後の会議。  ただし、一時間待ち。  じゃあ、小腹も空いたし、コンビ…
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