↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/30

ジャクソン家は普通じゃない②

 ジャクソンの妻は、ふわふわした赤毛の、見るからにヤバい人だった。


 ジャクソンと並ぶ長身、ベンダーよりも横幅が広く、筋肉質で。

 どれくらい筋肉質かと言うと、女性の太ももくらいの太さの腕にくっきり筋肉の形が浮いている。

 殿筋も素晴らしくしまっていて、きゅっと持ち上がったお尻がキュートだ。おっぱいというより胸筋と言った方がしっくりくる分厚い胸板に、フリルのエプロンとオーバーニーソックス、毛糸の腹巻だけを身につけた彼女は、大きな傷の残る顔をほころばせて「かわいい!」と身をくねらせた。


(なにこれ、怖い)


「妻のアマリリアだよ」


 一応、ジャクソンが紹介してくれたのだが、クマでも絞め殺せそうな太い腕に抱え込まれたセリアはそれどころではない。ほぼ全裸の、屈強な女性に抱きしめられている現状に、頭が上手く働かない。


「うわ……ゲテモノ食いもここまでくるといっそ清々しいな」

「人の女房に対して失礼な。アマリリアはかわいいじゃないか」


(かわいい?あれが?)


「どこが」

「どこもかしこも」


 ジャクソンの目は腐っているのだろうか?どう見てもアマリリアにふさわしい形容詞はかわいいではなく逞しいだし、自宅内とはいえ筋肉ダルマにしか見えない彼女の裸エプロンは、倫理的にもどうかと思うし、まぎれもなく視覚の暴力だ。


「えー、もー、かわいい!かわいいが過ぎる!もう、ジャクソンったら、グラッド卿の連れがこんなかわいい子だなんて言わなかったじゃない!」

「俺も知らなかったんだ。アマリリアが喜んでくれて嬉しいよ。でも、なにか忘れてないかい?」


 思いのほか柔らかい胸板に抱かれて振り回され、悲鳴をあげるセリアと、嬉しそうなアマリリアと、彼女を幸せそうに見つめ、自らの頬をトントンつついてただいまのキスをねだるジャクソンと……。


 カオスだ。


 とても手に負える状況じゃないと悟ったベンダーは、肺が空っぽになるまで息を吐き切って、なにも見なかったことにしようと勝手に食卓の椅子を引いた。


「たーすーけーろーよぉおおおおおおお!」


 聞こえない。なにも聞こえない。


 ベンダーは自分に言い聞かせるように頭の中で繰り返し、机に頬杖をついて外を眺めた。本日は晴天なり。


お読みいただきありがとうございます。

誤字脱字などありましたら教えていただけると喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。