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その空に未来を捧ぐ  作者: うわの空
プロローグ
33/33

その空に未来を捧ぐ

 誰にともなく訊ねるけれども、もしも自分が道を歩いている最中、いきなり足元に大きな扉が現れたなら、あなたは冷静にそれをかわしたり、ジャンプして避けることができるだろうか。


 できる、と答えた方は多分、夢を持ちすぎている。終末世界の中でも自分は華麗にゾンビを倒し、生き残れると思ったりしていないだろうか。

 かくいう私もどちらかといえばそのタイプで、どのような非常事態に遭遇しても、それなりに対処できると信じていた。例えば自分の乗っているバスがジャックされたとしても、犯人にばれないよう警察に冷静に連絡を入れ、勇猛果敢に犯人と対決し、やっつけることができると思いこんでいた。


 ここで夢を打ち砕くことを言うけれども、そのような『素のクール人間』はまったくと言っていいほどいない。

 少なくとも、私の場合は違った。


 地面に穴が開いた時、私は何もできなかった。

 ゲームに出てくるキャラクターのごとくフックショットを使って避ける、などという荒業を披露することはできなかった。そもそも一般的な高校生は、フックショットなんて持っていない。

 クールにバク転し、回避することもできなかった。バク転は、咄嗟の時に行うものではない。少なくとも私はできなかった。


 地面に扉が現れた時の私の第一声は「え」のみ。そうして、私が「え」と言っている間に扉が開いた。穴が開いたと言ってもいい。

 次の瞬間にはもう、私の身体は暗闇の中に落ちていた。引きずり込まれたと言うより、落ちたの方が正しい。なにせ、いきなり道路に穴が開いたのだから。


 私は大声を上げた。死を意識しながら、ただただ泣き叫んでいた。



 その先の未来で、大切な人に出会うとも知らずに。


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