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愛し方を間違えた鬼は、何度でも君を失う  作者: 白 月虹


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10/24

10話 もう一度やり直せるなら

長を決める会議は難航していた。

勝手な鬼も少なくないため、次の会議には真逆の事を言ったりもする。

こんな感じで百三十年間長が決まらないでいた。


「はぁ……毎回毎回、めんどくせーなー!」


何度目かわからない話に、紅蘭はうんざりとした顔を浮かべた。


「毎回、集められるこっちの身になって欲しい。」


朔夜も紅蘭に続く。


「今日は李雲がどっか行っちまったからねー。まとまりゃしない…。」


柚鞠の顔には疲れが滲む。


そんな事が続き、あっという間に一ヶ月が経ってしまった。


「朔夜さん……明後日なんだけど…。」


「ああ。わかっているよ。

心乃葉の誕生日だな。」


朔夜は柔らかい笑顔で返した。


「長い道のりだ…明日、ここを出発しよう。」


「はい!」


心乃葉の笑顔につられるように、朔夜の口元も緩んだ。


しかし、次の日……柚鞠の使いの蝶が朔夜の元を訪れる。


(緊急招集!?しかし今日は……。)


「朔夜さん?…わあ!蝶がたくさん!」


心乃葉は蝶と戯れていると、朔夜は一瞬だけ言葉に詰まったが、何事もなかったように嘘を口にした。


「心乃葉……誕生日の贈り物を用意してあるんだが、受け取りに行くのを忘れていてな……。」


「え……。」


「…夜には戻る!遅くなっても、今日中にここを経つから!」


「…わかった。待ってる…。」


「ああ。行ってくる。」


朔夜は足早にその場を離れた。


「…嘘つき。」


心乃葉が呟いた言葉は、蝶と共に消えていった。


そして夜は更けていく……。


「…まだ、帰って来ない…。」


心乃葉は眠気と戦っていたが、うとうとしてくると、机に腕をついて眠ってしまった。


それでも朔夜は帰って来ない。


空が白み始める頃、朔夜は人間の姿に戻ると、急いで山小屋の戸を開けた。


「心乃葉……すまない!これから行こう。」


中から心乃葉の声が返って来ない。


「寝てるよな……。」


そう呟くと、寝床の戸を開けた。

が……心乃葉は居ない。


「っ!」

(まさか、一人で山道を!?)


朔夜は山道を歩いて行く。

だが、少し行くとある事に気づいた。


足跡がない。

朔夜と心乃葉しか通らない道。


(……どこへ…。)


山小屋の方へ戻ると、無意識にモクレンの木へ足が向いた。

進んで行くと――横たわる心乃葉。


「心乃葉?」


近づいて行く朔夜。


(こんな所で寝てしまったのか…。)

「すまない、心乃葉…さあ――」


心乃葉の肩に触れる。


「っ!?」


やけに冷たい心乃葉の体。

傍らには普段、食してはいけない。と言ってあったキノコ。

朔夜の全身から血の気が引いていく。


(この感覚…昨日の事のように覚えている。)


朔夜は膝から崩れた。


「心乃葉…何故だ……すまない。本当に、すまない…。」


朔夜は涙で濡れる頬を気にせず、心乃葉を抱き抱えると、鬼の里へ急いだ。

そして、柚鞠の元を訪れる。


「朔夜?さっき戻ったばっか――この娘!」


「…頼む柚鞠……もう一度。」


朔夜の目からは涙が溢れる。


「待って!同じ者に、二度も輪廻転生の術を使った事ないんだ。」


「出来ないのか?」


「…わからない。上手くいくかどうか。」


「それでもいい…心乃葉に謝りたい。」


困惑する柚鞠をよそに、朔夜は懇願するように言った。


「……わかった。やってみよう。」


柚鞠はそう言うと、前回と同じように儀式を始めた。

翠魂を割ると、光がふわりと消える。


「…出来たぞ。」


柚鞠は複雑な顔で朔夜に告げる。


「そうか。間に合って良かった…。」


朔夜はポツリと呟いた。


また心乃葉を探す……輪廻の旅がまた始まる。


そして――――百八十年後。


「……見つけた。」


朔夜の瞳に、十六歳の心乃葉が映る。



つづく。

キリのいいところで切ったら、思ったより短くなってしまいました。

今回は短めですみませんm(_ _)m

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