表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢RTA(リアルタイムアタック)~断罪イベントまで残り10分ですが、最短ルートで国外追放されてみせますわ!~  作者: 高橋 淳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/10

第7話 告白イベントという最大の敵

その後も国外追放用馬車は、西方国境へ向けて進んでいた。

夕暮れの街道。


護衛騎士。

国境検問。


そして隣国グランツェルト帝国。


エルーゼ・フォン・アルヴィアは、馬車の中で静かに考えていた。


(……おかしいですわね)


本来なら。

国境を越えた瞬間、国外追放RTAはクリア扱い。


タイマーストップ。

完全終了。

—のはずだった。


しかし。


脳内タイマーは、まだ動いていた。


《国外追放RTA 00:31:02》


「…………は?」


エルーゼの顔から表情が消える。

動いている。


普通に。

カウントが。


(なぜですの!?)


混乱するエルーゼの前で、国境検問官が書類を確認していた。


「王国側追放許可証、確認」


「身分証明、確認」


「……ん?」


検問官の眉が寄る。

嫌な予感がした。


「正式受理印がありませんね」


空気が止まった。

護衛騎士が青ざめる。


「は?」


「国外追放は“受け入れ国側の承認”まで完了して初めて成立します。この書類、王国側の発行のみで止まっていますが」


エルーゼの思考が凍る。


(まさか)


文官。

あの半泣きだった文官たち。

超高速処理のせいで。


「受理確認の外交印章が抜けておりますね。仮通行は可能ですが、正式な国外追放扱いにはなりません」


(バグですわーーーーーー!!)


エルーゼは頭を抱えた。


RTAでいうところの、

『条件を満たしたと思ったら内部フラグが立っていなかった』

系の最悪バグである。


つまり現在。

エルーゼは。


 国外にはいるが、まだ正式追放されていない。


非常に中途半端な状態だった。


「正式処理には数日ほど――」


「長いですわ!!」


検問官がびくっとする。


「最短で!!最短でお願いいたしますわ!!」


「い、いや規則がありますので……」


制度は今日も強かった。


その結果。

エルーゼは国境都市ベルグラードで、一時待機を余儀なくされた。


なお隣国側としても、


『王族関係者の追放処理に不備がある』


という外交案件なので、雑に扱えない。


結果としてたまたま居合わせたカイゼルが、

『正式受理まで保護対象扱いにしろ』

と指示を出したのである。


全部制度のせいだった。


そして五日後。


「エルーゼ様!!」


宿の侍女が慌てて駆け込んでくる。


「王国の方々が……!」


エルーゼは嫌な顔になった。


「……来ましたのね」


応接室。

そこには攻略対象たちが勢揃いしていた。


王太子レオニス。

騎士団長子息アシュレイ。

宮廷魔導士ルーク。

その他多数。


(最悪ですわ……)


RTA的に最悪だった。


現在エルーゼは、追放完了前の強制待機区間 にいる。


つまりイベントが大量発生しやすい。


そして乙女ゲームの攻略対象たちは、こういうタイミングで感情イベントを起こす。


嫌な予感しかしない。


レオニスが静かに口を開いた。


「エルーゼ」


「なんですの」


「君を迎えに来た」


(やめてくださいましーーーーーー!!)


エルーゼは内心で絶叫した。


来るな。

感情イベントを起こすな。


今は待機区間。

フラグが立ちやすい。


「君のことを誤解していた」


来た。

完全に告白前イベントである。


「君は昔から努力していたのに、俺は何も見ていなかった」


後方で他攻略対象たちも頷いている。

共感するな。

イベントを連鎖させるな。


エルーゼは勢いよく立ち上がった。


「待ってくださいまし!!」


全員が止まる。


「今さら好感度を上げないでくださいまし!」


「……好感度?」


「正式追放処理が終わっていない今、追加イベントは危険ですの!!」


「危険?」


「ここでルート分岐されるとタイムが壊れますわ!!」


エルーゼは必死だった。


「わたくし、もう終盤イベントを突破済みなんですのよ!?ここで恋愛フラグを立て直さないでくださいまし!!」


だが。

その必死さが。

逆に刺さった。


レオニスは静かに目を細める。


「……君は最後まで、自分より他人を優先するんだな」


「違いますわ!!」


「自分だけ悪者のまま終わろうとしている」


「だから違いますってば!!」


アシュレイが苦笑する。


「はは……なんかもう、そういうところだよな」


ルークも呆れたように息を吐いた。


「今さら嫌いになれるわけないだろ」


「嫌いになってくださいまし!!」


だが遅い。


♪テレレンッ

♪テレレンッ

♪テレレンッ


《好感度が上昇しました》


(増えておりますわーーーーーー!?)


エルーゼは絶望した。


国外追放RTA。

最大の敵は。


制度でも、王族でも、断罪でもなく。


—恋愛イベントそのものだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ