7歳になりました 28(オーヴェルニュ編)
「ゼン様、急に来てごめんなさい」
『大丈夫だよ。さっきはルビーが急にそちらに行って迷惑をかけたね』
「いいえ、ルビー様は私を心配してくださってのことだって分かっていますから」
『セリーヌはオーヴェルニュのドラゴンのことを聞きに来たんだよね?』
「そうなんです。教えていただけますか?」
『少し…ややこしい話になるんだ。座ってはなそうか?こっちに座って』
「はい。あ、おじいさんにたくさんお菓子をいただいたんです。良かったら召し上がってください」
『ありがとう。では一ついただこうかな…残りはあの子たちにあげてくれ』
ゼン様が見ている先に視線を送ると6人の精霊王様たちがいた。何だかルビー様がしょぼんとなっている。
『セリーヌ、ルビーを止められなくてごめんね。この通り反省してるから嫌わないであげてね』
オパール様はルビー様を睨みながら私に謝ってくれた。オパール様にも怒られてさらに一回り小さくなってしまうルビー様を見て可哀想になってくる。
「そんな皆様の気持ちはとても嬉しかったです。みんなも体調には問題ないようでしたから大丈夫ですよ」
『…セリーヌ〜ごめんね〜本当にごめん〜』
「ルビー様、ほら先ほど言っていたお菓子ですよ!皆さんで召し上がってください!」
お菓子を差し出すと精霊王様達の表情が途端に明るくなる。お菓子を受け取ると、少し離れたテーブル席に移動してお菓子を食べ始めている。ルビー様も少し元気になったみたいで良かった。
『さぁ、セリーヌもこっちにおいで。お茶をいれたから召し上がれ』
「ありがとうございます。いただきますね」
お茶を一口飲むとレモンの爽やかな香りが口いっぱいに広がりすごっく美味しい。爽やかなレモンティーを飲んでいたらさっきのモヤモヤが少し落ち着いてきた。
『セリーヌが知りたいのはどうしてドラゴンがオーヴェルニュに集まっているかってことだね』
「はい、そうなんです」
『少し、昔話をするとだね…実はこの世界は私が管理する前は別の神が管理していたんだ。でも、その神がこの世界を管理することができなくなったんだ…。そこで私が引き継いだんだけど、本来ならもっと後になってから神として務めることになっていたから私自身もきちんと成長できていなくてね…それで人の心を学びに地球に行っていたって訳なんだ…』
「そうだったんですね」
『話を戻すとだね、この世界の前任の神は力のある素晴らしい神だったんだけど…長い月日を1人でいたことで孤独を募らせてね…死のうと考えるようになったんだ。そして、自分を殺すための道具を作ったんだよ…それが“神殺し“と言われる神器なんだ…。それを使って前任の神は死んだ。でも、その神器には神の力が宿っていてね、まだ神としては若い私の力の支えになってくれているんだ。それは神の森と言われている森の奥底の神殿に祀られている』
ゼン様は少し昔を懐かしむように…そして少し悲しそうに話してくれている。聞いている私まで悲しくなってくる…。
『その森があるのがオーヴェルニュなんだ。その神器には巨大な力が宿っている…それを使おうとしたのが次世代の導き手となる若いドラゴンでね…。歳若く、半分は好奇心に負けて手を出したようなんだがいくらドラゴンでも神には叶わない。反動で己の力が暴れてしまっているようなんだ…。それを抑えるために各地を治めているドラゴンが集まっているんだが、神の力に触れたドラゴンの力を普通のドラゴンでは抑えるのがやっとだろうね』
「そんな…」
『これはある意味神に手を出したものが受ける罰と言ってもいいことなんだよ』
「で、でも周りにいるドラゴンや人たちは何も悪くないのでは?!それに手を出してしまった本人も後悔していると思います…助けることはできないのですか?!」
『…う〜ん、ある意味天罰だからね…。でもセリーヌは助けたいの?』
「はい!!!」
『…セリーヌがやりたいことを自由にさせたいと私も思っているからね、セリーヌが手を貸す分には咎めないよ。でも、相手は神の力に触れたドラゴンだからね…セリーヌでも危険があるかもしれないよ?』
「はい、覚悟はできています!!!」
オーヴェルニュの人たちやドラゴン、ヴィクトルさんとは今まで関わりがなかったけど、ヴィクトルさんがどんなにオーヴェルニュのことを大事に思っているかは伝わってきた。私も公爵領の人たちのことは大切だし力になりたいと思う。
『ふふふっ、セリーヌならそう言うだろうね…。ちょっと脅かしすぎたね。セリーヌならきっと大丈夫だよ。だって僕の力が宿っているんだから。でも油断してはダメだよ、想いの強さが君の力になると言うことを忘れないで』
「はい!!!ありがとうございます!!!」
『さぁ、そろそろおかえり。みんな心配しているようだよ…お菓子ごちそうさま』
「ゼン様!!また来ます!!次はオーヴェルニュのお土産を持ってきますね!!!」
私の言葉にゼン様は微笑んでくれた。その微笑みを見ているうちに私は元居たお父様の執務室に戻って来たのでした。




