7歳になりました 27(オーヴェルニュ領編)
お兄様たちが部屋を出ていって少ししてお父様が王宮から帰って来たみたい。
その後、お父様とお兄様、そしてヴィクトルさんが一緒に執務室で話し合いをしているそうだ。
窓の外を見ると、バケツをひっくり返したような雨が降っている。この季節特有のにわか雨だと思うけど、どんよりした空と雨が降る様子を見ると気分までどんよりと暗くなってしまう。
空を見ながらも考えるのは先ほどのこと。おじいさんから預かってきた手紙には何か重大なことが書かれていたようだけど…。私の力が必要かもしれないとお兄様は言っていたし危険があるとも言っていた…。私ができることならやりたいと思う。でも、私以外の家族や友人、使用人のみんな、領民に危険が出るのは何としても避けたい…。
「はぁ…一体何が書いてあったんだろう…?気になるなぁ…」
ぼんやりと空を眺めていると、執事のセバスが私を呼びにきてくれた。いよいよ、お父様たちから話があるみたい…。なんか、すっごくドキドキする…いや、ハラハラって方があってるかな…?
廊下を歩きながら何とか心臓を鎮めようとしたけど、半分も落ち着くことができなかった。
トントントン
「お父様、セリーヌです。入ってもよろしいですか?」
「あぁ、セリーヌお入り」
「失礼します」
中に入ると執務室のソファーに3人が座っておりこちらを見ていた。
私は入り口に近い席に座り、3人の話を待つ。
「セリーヌ、待たせてすまなかったね」
「いいえ、それで私はお話を聞いてもいいのですか?」
「あぁ、大丈夫だよ。実はマクシム殿からの手紙にドラゴンの目撃情報が各地でされているということが書かれてあったんだ。しかも、そのドラゴンが向かっているのが…オーヴェルニュなんだ」
「え?!それって…」
「あぁ、そうなんだ。ヴィクトルの父上が治めている場所でもある。ヴィクトルは領地で今までは森の奥深くにしかいなかった高レベルの魔物の出現が多くなったこととドラゴンが目撃されたことを受けて、うちに救援要請をしにきたのと情報収集のためにマクシム殿のところにきたんだよ。自分でも情報を聞きにいったようなんだけど、私たちの手紙ほどより詳しい内容は教えてもらえなかったようで知って取り乱してしまったみたい」
お兄様は心配する視線をヴィクトルさんに向けている。ヴィクトルさんの顔からは血の気が引いて真っ青になっている。私が、おじいさんのところで見かけた黒のローブ姿の人はヴィクトルさんだったんだね。通りで見たことある気がしたんだよ。
ヴィクトルさんが取り乱すのも無理はないよね…。だってドラゴン1匹で災害級であり、街を…いや、下手したら国を滅ぼしてしまうほどの威力があるって家庭教師の先生が言っていた。普段、ドラゴンは各地方に点在し群れを作ることはない。しかも集まるのは数百年に一度の繁殖の際だし、仮に集まったとしても世界中から集まってくることはない。しかも、ずっとそのまま居座ることはまずありえない。ドラゴンは森の生態系の頂点に君臨しているので、自分の縄張りを何日も離れることはしないのだ。
では、今回はどうして皆が集まり、かつオーヴェルニュに留まっているのだろう…?
「今回最も問題なことはドラゴンが集まる理由を調べることができないということだ。1匹でも問題なドラゴンが世界中からオーヴェルニュに集まっている。我が公爵家や例え王国中の騎士団であっても理由を探る前に全員土に帰ることになるだろう…」
「…そうですね、人間には無理ですね…」
人間に無理だということ…では、それを可能にできる可能性があるのは…
「分かりました!私ちょっと言って話を聞いてきます!!」
私だけ…!
「…セリーヌ、すまない…不甲斐ない私を許しておくれ」
「大丈夫ですお父様!教えてもらえるのか分かりませんが、聞くだけでも聞いてみます!!」
「?誰に聞くんだ?マクシム殿からはもう情報をもらっただろう?」
「ヴィクトル、セリーヌにしか聞けない高貴な方がいらっしゃるんだよ…。セリーヌ、巻き込んでしまってごめんね」
「いいえ、むしろ少しでもお役に立てるなら嬉しいです!では、ちょっと行ってきます!!あ、そうだ!私が行っている間、おじいさんからもらったお菓子でも召し上がりながら待っていてくださいね!!」
私はアイテムボイスからお菓子を何個か取り出してから姿を消した。
そう、あの方達に会うために…。
強く願い、目を開けるとそこはいつもの場所。
『セリーヌ、いらっしゃい』
「はい、お邪魔します。ゼン様」
そう、この世界を作ったゼン様のところです。




