5歳になりました 7(王宮でのお茶会編)
遊びが一段落して、みんなでお茶を飲んでお菓子を食べています。みんなで一緒に遊んだので和気藹々とした雰囲気になって良かった。私の隣にはイネスちゃんが座っています。イネスちゃんは本を読むのが好きなんだそうで本の話で盛り上がっています!しかも異国の本も読んでいるみたいで共通の話題があり、イネスちゃんも喜んで感想を話してくれる。イネスちゃんのお父様が大きな商会を持っていてそれで異国の本をたくさん仕入れてくれるらしい。いいな〜!今日も本を持ってきていたみたいで、テーブルにいくつか本を並べて見せてくれている。
「この本の表紙、すっごく綺麗ね!金箔が貼っていて豪華ね〜!あ、こっちの絵はふんわりした色がかわいいね〜!」
「ここにある本は私も気に入っているんです!綺麗なだけじゃかくて物語もすっごく面白くて!」
「わぁ〜!そうなんだ〜!」
私達がワイワイ話していると1人の少女が近づいてきた。赤い髪に緑の吊り目で、猫のような印象の気の強そうな女の子だ。名前はカロル・ド・ラ・モンペザ伯爵令嬢で確か5歳だったはず。
「そこのあなた私がその本を買って差し上げますわ!」
「え…あの、これは売り物ではなくて…」
「早く値段を言いなさい!この私が買ってあげるって言っているのよ!」
大声で詰め寄られてイネスちゃんは涙目になって震えている…相手は伯爵家だから強く言えないし、でもこれはきっとイネスちゃんの宝物のはずだから…
私はスッと立ち上がって本を片付けてイネスちゃんの膝の上に置く。そしてカロルちゃんに向かって真剣な表情で目と目を合わせて話をした。
「これはイネスちゃんのものだから買えないよ」
「っ!だからお金はいくらでも払うって言っているでしょう?!」
「カロルちゃん、世の中にはお金で買えないものがあるの」
「〜!!!お父様〜!!!私あの本が欲しいの!!!早く買い取って!!!」
カロルちゃんはお父様を呼びつける。モンペザ伯爵は少し困った表情をしながらも近寄ってきた。
「イネス嬢、すまないがその本を譲ってもらいたいんだ。お金がいくらでも出すから…」
はぁ〜…この親にしてこの子ありだな…。
「モンペザ伯爵、少しよろしいですか?」
「なんでしょうか?セリーヌ嬢」
「モンペザ伯爵はカロルちゃんの召使いなんですか?」
私の問いかけに親子2人で驚いた表情をしているが、構わず続ける。
「モンペザ伯爵、きついことを言うようで申し訳ないのですが、今あなたが娘さんにしていることは鞭で打っているのと同じぐらい酷いことをしているんですよ?お金で物を与えることだけが愛情なんですか?娘さんの言いなりになってお金で解決することが正しいことなんですか?本当の愛情は正しいことを教えてあげることですよ」
「いや…しかし、買ってあげないとこの子が悲しんで大泣きするもんで…」
「そう教育したのがあなたなんですよ。泣いたり暴れれば親は言うことを聞いてくれると学習してしまったんですよ」
「!!!」
「まだ子どもなんですから一回で言うことを聞けないのは当たり前です。でも諦めてしまったら子どもはそれでいいと思ってしまいますよ?物を与えておけば泣き止むから楽ですが、それができなくなったらどうするんですか?」
「…」
「怒鳴りつけたり叩いたりしろって言っているんじゃないんですよ。真剣にお子さんと向き合ってくださいって言っているんです。…娘さんと話をしたりスキンシップを取ったりしていますか?子どもは愛情を持って関わってくれている相手の話は分かってくれますよ…少し時間がかかる時もありますがね」
私が先生時代の信条としては、子ども達と本気で楽しんで遊ぶこと。一緒に楽しみ信頼関係を作ることが大事なのだ。そして危険か行動や喧嘩をしたときは向かい合って真剣に話をした。何故それがいけないのか、どう危険なのか、相手の気持ちはどうだったかなどを伝える。この時怒鳴ったり手を出すことはもちろんしない。気持ちの整理に時間がかかってしまう子もいるけど分かってくれる子が多かった。大人だって、よく知らない人に怒られたらなんだコイツって嫌な気持ちになるだけで言うことを聞こうとは思わないでしょう?子どもだって同じなんだよ。
「娘さんとちゃんと話して向き合ってあげてください」
「セリーヌ嬢…私の認識があまかった申し訳ない。イネス嬢も無理を言ってすまなかったね」
「いいえ、こちらこそ生意気なことを言って申し訳ありません。カロルちゃん、私の家にも珍しい本があるから今度一緒に見ましょう?もちろんイネスちゃんを一緒にね!」
「はい…」
私達に謝りを入れて、モンペザ伯爵はカロルちゃんを伴って去って行きました。カロルちゃんは私達のは話を聞いて自分の行動がよくなかったと感じ取ったみたいで黙って話を聞いていた。きっと根は真っ直ぐないい子なんだと思う。ただ、どう表現すればいいか分からなかっただけなんだよね…。
「イネスちゃん、ビックリしたでしょう?大丈夫?」
「はい、セリーヌ様のおかげで大事な本を手放さずにすみました。ありがとうございます!」
「カロルちゃんは多分大事な本だって分からなかったんだと思うの。許してあげてね。私の家にも珍しい本があるから3人で見ましょう!」
「はい!楽しみにしています!」
こうして一件落着して良かった。せっかくみんなが知り合ったんだから、仲良くなって欲しいからね!
そして、いよいよ歌を披露する時間になりました!頑張るぞ〜!




