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最近、街にプレイヤーという人が来ます。  作者: 月乃 そうま


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エル内部


 カービンたちはルインを中央に入れる形で洞窟の奥、広間へと足を踏み入れた。


「動きがあったら教えてやる。ルインはなるべくあっちを見るなよ」


 豆腐メンタルが頼もしい言葉を発する。


「……くっ……ここに来て、ただ見るだけもできないなんて……」


 悔しそうにルインが呟く。


「俺たちの目的は封印の間だ。

 アジ・ダハーカと戦うことじゃない、だろ?」


 ドウマンが魔物に手斧を振り下ろしながら言う。


「あ、ああ……そうだな。すまない……」


「おい、なんだよここ。

 いかにもな悪の実験施設みたいじゃん」


 ザビーが叫ぶ。


 大小の箱が並び、それらは細かく振動している。

 透明な筒に緑の液体が注がれ、その中では魔物の一部が息づいている。

 そういった雑多な物が魔物たちの影に見え隠れしている。


「おい、あまり気を抜くな!

 コイツら強いぞ!」


 カービンが注意するが、全く戦えない訳ではない。

 ここに至るまでに重ねて来たレベルアップは無駄ではなかった。

 全員がきっちり連携すれば、崩されることなく戦える程度の魔物たちだ。


「おい、あの箱、どう見てもエレベーターだよな」


 豆腐メンタルがそれを見つけた。

 同じような箱は幾つかあるが、真ん中から開きそうな縦線があり、上には階数表示用の液晶らしきものがついている。


「うわぁ……もう、ソレにしか見えないわ……」


 プッツンプリンも認めた。


「階段が……あるはずだ……地の底まで、続くような……」


 息を詰まらせながらルインが言う。

 やはり、アジ・ダハーカを目前にすると、恐怖を拭いきれないらしい。


「使えるなら階段よりも早いんですけど……」


 アワツキがルインを安心させるように口にする。


「よし、あのエレベーター前を確保だ。

 ハイロ、アワツキさんと調べてみてくれ!」


 カービンが決めると、全員が動き出す。


「【薪割り】!」


 ドウマンが正面の魔物の顔の部分に付いている人間のような腕を手斧で縦に切り裂く。


「【穿ち連弾】!」


 ザビーの槍が胴体部分に連続で突き込まれる。


「【覇撃の三、波涛】!」


 豆腐メンタルのクレイモアの鍔が爆発したような衝撃波を放つことで、魔物は他の魔物を巻き込むように吹き飛んだ。


 それらはルインが今までに見せた技であり、レベルアップで解放された技だ。


「よし、抑えるぞ!」


 エレベーター前に陣取ったカービンたちは、そこを死守するべく戦った。

 ハイロとアワツキはエレベーターを調べる。

 だが、ボタンのようなものは見当たらない。

 唯一、見つけたのは網が掛かった小さな穴の集まりとランプだ。

 その上には小さなプレートが掛かっていた。


「日本語?」


「え? 本当ですね……」


 何故かこのゲームに不釣り合いな、日本語が書かれていた。


 『御用の方は︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎エル︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎にお呼びかけ下さい』


「えーと、エル、下に行きたいです」


───扉、開キマス───


 そう言って、エレベーターの扉が開いた。


「開いた!」


「乗り込め!」


 ハイロの声に素早く反応したカービンが指示を出す。

 全員がエレベーターに乗ると、扉は自動で閉まった。



───ドチラマデ行カレマスカ?───


「エル、封印の間に行きたいんですが……」


 アワツキが告げる。


───ソレハ、オ花畑、録音室ニ類似スル隠語デ、ヨロシイデショウカ?───


「へ? いえ、違いますよ、エル、何言ってるんですか!」


 アワツキは顔を赤くして否定する。


「違うのか?」「さあ?」「お花畑って何だ?」


 カービン、ザビー、ハイロは歳若いせいか、ピンと来ていないようだった。


「レストルームのことだ」


 豆腐メンタルが三人に説明する。


「ああ、便所!」


 ザビーが納得したように手を打った。


「エル、これが使える場所に行きたいんだけど……」


 言ってハイロはインベントリから青水晶の七支刀を取り出す。


───メンテナンス用一時停止キーノゴ使用ナラ、メンテナンスルームニナリマス───


「な、なあ、誰と話してるんだ?」


 ルインは状況についていけず、目を白黒させていた。

 だが、アジ・ダハーカが見えなくなったおかげか、かなり落ち着きを取り戻したような気がする。


「このエレベーターの音声認識制御A.I.だな。

 名前はエルと言うらしい」


「エレベーター? 滑車で上下に動く?

 紐も滑車も見当たらないが?」


「外にこれを動かすロボット……いや、ゴーレムみたいなのがいると思ってくれ……」


 豆腐メンタルが説明する。


「メンテナンス用の一時停止キーですか……つまり、魔物というのは誰かが作っている訳ですか……」


 ドウマンが考えをまとめるためか、呟くように言った。


「ああ、魔王がその元凶と言われている。

 魔物が人を好んで襲うのも、そのせいだと言われているな」


 ルインがこの世界の常識を語る。


「魔王というか、社長か教授って感じだけどな……」


 ザビーが冗談めかして言う。


「それで言うなら、A.I.の反乱の方がそれっぽく聞こえるけどね。

 ほら、金の手って侵食されてるっぽかったし……」


 ハイロが今までを思い起こして語り始める。


「つまり、このゲームはそういう世界観ってことですか」


「そういう世界観?」


「魔法VS科学みたいな」


 ドウマンがまとめた。


───地下ゴ階、メンテナンスルームです───


 箱の中にエルの声が響いた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 封印を一時停止と言うあたりに狂気を感じますねー。 やっぱり魔法が優勢になった世界で、古代文明化した科学が抵抗してる感じなんですかね。そこに科学発展の並行世界からプレイヤーが飛んで来てるイメー…
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