鎮めの魔道
第二波の魔物。
それは既存の動物を改造したような普段の魔物と違い、動きやすさだとか整合性をまったく考慮していない、失敗作と呼びたくなるような魔物の群れだ。
そして、整合性が欠けているということは、予測できない動き方をするということだった。
一本の足で跳ぶ、翼で地を駆ける、大地を泳ぐ姿は蛇に似ていて、口から吐く炎弾で跳ねるなど、形がない動きは人を惑わせ、嫌悪を抱かせる。
ルインにとっては好都合だ。
稀に四つ足の獣型魔物というのもいるが、それはプレイヤーたちが優先的に処理していく。
「先生、急ぎすぎだ!
他のやつらがついてこれない!」
ザビーが敵を切り裂き進むルインの肩を掴む。
ルインが振り向くとその顔は悲壮感に溢れていた。
「くっ、【旋風撃】!……強いとは思っていたが、俺たちって必要なのか?」
豆腐メンタルが大剣を振り回して、魔物を吹き飛ばしてから、どうにかついて行こうと、ドタドタと走る。
「ルインはほら、苦手があるから!」
豆腐メンタルを軽やかに追い越して、プッツンプリンが先を行く。
「たしかに、ルインさんはダメな相手にとことんダメですからね。
まあ、そこがかわいいという声もありますけど……」
続いて魔法使いのアワツキも健脚を見せる。
アワツキは短杖を手にしていて、装備も軽そうだ。
「おい、俺、タンクだぞ!
置いていくんじゃねえよ!」
豆腐メンタルの文句は、やはり後ろに置いていかれるようだ。
「正面はルインに任せていいんじゃないかな?
僕らはいざって時にだけフォローに入れるようにしておけば、いいと思いますよ」
ドウマンは手斧を手の中でくるくる回して弄びながら、時折横合いから隊列に入り込もうとする魔物に一撃食らわせて、トドメも刺さずに進んでいく。
実際、それで充分なのだ。
プレイヤーにとって重要な経験値はルインが稼いでいるし、その方が効率もいい。
「……すまない。武器を!」
ルインはボロボロになった双剣をその場に突き立てて放置すると、徒手空拳で魔物を捌きながら、次の武器を要求する。
「どれを出せばいいの?」
ハイロが魔術書を開いて備える。
「ルイン、一度、下がれ!
魔物の体液でビチョビチョだぞ!
俺が代わる! ハイロ、予備の服でも出して、ルインの手だけでも拭わせろ!」
カービンがザビーと二人、ルインを無理矢理、引き剥がすようにして前に出る。
「師匠、その手でよく武器落とさずに振るえるよね。
はい、これで拭いて……それで武器は?」
「槍を……」
「はいはい、槍ね。
ついでに水飲んで、雇った以上は、僕らのこと使ってよ」
「ああ……すまない……」
ルインはハイロのなすがままだ。
「おおっとぉ!
ハイロ×ルインね!
アリよりのアリかな!」
プッツンプリンが茶化す。
そうして、ルインたちは常人にはないスピードで、第二波の魔物の中を駆け抜けるのだった。




