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最近、街にプレイヤーという人が来ます。  作者: 月乃 そうま


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鎮めの森、入口


 ルインたちが魔物の第二波の中を突き進むように鎮めの森へと向かっている頃。

 鎮めの森の入口では、第三波となる魔物の群れと、アジ・ダハーカ殲滅を狙う対魔騎士団長コッパー率いる一団とプレイヤー連合、宝石器の冒険者たちが攻防を繰り広げていた。


「臆するな! 進め!

 我らこそ対魔騎士の中の対魔騎士、天遣対魔騎士なのだ!

 この浄化神輿さえあれば、我らは無敵!

 いざ行かん! 封印の魔物退治へ!」


 コッパーが激を飛ばす。

 浄化神輿の内部には、対魔騎士たちが設定したリスポーン用の神像が納められている。


「クッソ、騎士様はずりぃよな。

 その場でリスポンとか強すぎだろ!」


 ルナリード公爵の招集に応じたプレイヤーが愚痴る。


「そうか?

 武器やら鎧やら落とした騎士様の右往左往っぷり見てると、そうは思えないけどな。

 それに最初に登録した神様で勝手に宗派が決まっているとは思わなかったからな」


 別のプレイヤーの言う通りだった。

 擬似不死薬を飲んだ対魔騎士は、プレイヤー同様に死亡時にアイテムドロップの可能性を負うことになった。

 元々、プレイヤーと違いインベントリを持たない対魔騎士は、所持アイテム三割ドロップで主要アイテムである武器、防具に当たることが多い。

 それらが拾える位置にあれば良いが、敵の真っ只中に落とすと悲惨だ。

 さらに、復活時に壊れてしまった装備などはそのままだ。

 肉体が治ったところで、元の働きができるかというと、それは甚だ疑問が残ると言わざるを得ない。

 そして、回数制限である。

 天遣対魔騎士たちには個人差はあるが、復活の回数制限があった。

 それを彼らは知らずにいた。


「ドレアル、何処だ!

 マルザ! エイク!

 ええい、栄光の天遣対魔騎士ともあろうものが、まさか逃げたとは……なんたる恥か、不甲斐ない!」


 指揮を取るコッパーは未だ知らずにいた。

 消えた天遣対魔騎士たちは、文字通り『消えた』のだ。

 死にながらも、鎧を失くし、剣一本で突撃したドレアル。

 武器を失くし、鎧に仕込まれた鉤爪を振るったマルザ。

 徒手空拳でありながら、死んだプレイヤーが落とした武器を拾ってまで戦ったエイク。

 全て『消えた』のだ。

 死んで、身体が粒子になって、浄化神輿の近くで復活する。

 だが、回数制限が来てしまえば、粒子になって、そのまま『消える』。

 肉の一片も残らず、言葉を残すこともできない。

 ただ『消える』のだ。

 そして、コッパーはそれを逃げたとなじる。


 魔物がそこかしこに溢れている中、誰が死んで、誰が消えたかも分からない。

 ましてや擬似不死薬を飲んだ者たちは、何故かその攻撃性が異常に高まり、まるで狂戦士バーサーカーかと言うが如く、怒りのままに戦う。

 その姿は頼もしく、また狂気を孕んでいて、どこかネジが外れていた。

 コッパーは指揮官だが、実際には「突撃!」としか言わないし、その注意力は著しく散漫になっている。


「進め! 逃げた先に栄光はない!

 天遣対魔騎士に相応しい突撃を見せよ!」


 口角、泡を飛ばしてコッパーは叫ぶ。

 本来、高い能力を備えた対魔騎士たちだ。

 その突撃力は高く、第三波の魔物の群れを深く、深く、切り裂いていく。

 その先端はコッパーには見えない。

 次第に数を減らす天遣対魔騎士たち。


 プレイヤーたちも似たようなものだ。

 統制が取れないため、天遣対魔騎士の突撃の後ろを思い思いについていくだけだが、彼らは死ねばルナリードの街まで戻らされるのだ。

 減った数は戻らない。

 先細りの死兵。

 ルナリード公爵が求めたのは、宝石器の冒険者たちを鎮めの森の奥深く、アジ・ダハーカの元へと届けるための道だ。

 そこまで行ければ、後は宝石器の冒険者たちが何とかしてくれる手筈になっているのだ。


 だから、宝石器の冒険者たちは無理をしないし、力を温存しながら先へと進んだ。


「おお、おお、頑張るねえ。

 一番美味しい所だけ持って行けば、報酬たんまりか……せいぜい道作りをしっかりして貰わんとな」


「シトリンの爺さんよ。

 思ってても、そういうこと言わない方がいいぜ。

 宝石器の冒険者の性格が悪いと思われるだろうが……」


「別に、仕事さえしっかりやれば、いいよ。

 性格で報酬は変わらないし……」


「かあぁっ、子供らしくねえな、ルビーはよ」


「子供扱いされないなら、大人になるしかないからね」


 無駄口を叩きながらも、第三波の魔物をものともせずに宝石器の冒険者たちは進むのだった。




「あっちが魔物の層が薄い。

 あっちだ!」


 ルインたちは第二波を抜けて、少しの余裕を持っている。

 尤も、走る速度は落とさずなので、全員、疲労の色は濃い。


「豆腐さん、大丈夫?」


「はぁ、はぁ……問題ない。

 まだ食料はある。スタミナ回復しながらでも走れるぞ!」


「ほら、ルインさんは少し休んで。

 私たちと違って、数値管理できないんだから!」


「すまない。足でまといになっているな……」


「「「それはない!!」」」


 プレイヤーたちから、ハモり気味に否定される。

 少しの間だったが、ルインは息を整える隙間を与えられる。


 NPCに理解のあるプレイヤーたちに囲まれて、意外と順調に進んでいるルインたちであった。



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