東大通り4
予約使えないやつになってるー〈自分が〉
遅くなりまして、申し訳ございませんm(_ _)m
その男はどう見てもプレイヤーだった。
白から水色のグラデーションした髪色で、新品の装備品はホコリひとつ着いていない。
剣は数打ち、物腰は穏やかで、しかし、余裕があるというより根の優しさが出ているような雰囲気があった。
ただし、レベルはあまり高くなさそうというのが、ルインから見た印象だった。
軽く周囲を見回せば、他の案内人は近くにいない。
門番のメヒカも、お前が相手してやれ、という風に目配せしている。
ルインはこの街を案内するべく、ふらふらとプレイヤーに近づいた。
「やあ、旅人さん。ルナリードの街へようこそ!
どこから来たんだい?」
「ここがルナリードですか?」
「ああ、ルナリード領の中心街、ルナリードの街だよ。
見たところプレイヤーさんかな?」
「ええ、よく分かりますね。
プレイヤーのホライゾンと言います」
ホライゾンは丁寧に頭を下げる。
「俺はルイン。この街で案内人をやっている」
気のいいプレイヤーだと思いながら、ルインは握手を求めるが、ホライゾンは顎に手を当てて考え込む。
「案内人ですか……それはお願いすると、どれくらい掛かるものなんでしょうか?」
ルインは空を切った手を戻しながら笑う。
「ああ、気にしなくていい。
案内人ってのは街に来た旅人さんが困らないように無償でやっていることだ。
金はギルドから出ているしな」
「ああ、そうなんですね。
それじゃあ、行きたい所へ案内してくれるという訳ですか。
便利な制度ですね」
「まあな。
この街を好きになって欲しいという街全体の取り組みみたいなものだ」
「それなら、見ての通り、あまり良い装備を持っていないので、何か良い装備が欲しいですね」
「なるほど、武器と防具、どちらが重要なんだ?」
するとホライゾンは手を口元に当て、小声で囁く。
「思い切って、金に糸目をつけず、最高品質の防具が欲しいと思っているんです……」
「すまないが、レベルは?」
「おや? 防具にレベル制限とかあったりします?」
「いや、ない。
重さや素材によって差は出るが、レベルは強さの指針と聞いたからな。
強さに合わせて、身の丈に合った防具を着けた方が、経験値が入るからな」
それはルインの経験則であり、プレイヤーに合わせて言葉を選んでいるが、ある意味真理なのだった。
「やあ、つまりマスクデータとしてレベル制限があるということですね。
それなら、個人で傷薬などの回復アイテムを売っている場所はありますか?」
「個人で?
まあ、なくはないが、割高だぞ」
「総合商社よりも個人商店の方が信用できるんです。
あくまで個人的視点ですが」
「そうなのか。変わってるな」
プレイヤーが求める回復薬といえば、傷薬ではなく栄養剤というのが常である。
普通の人間と違い、傷が栄養剤で治ってしまうのが神兵たるプレイヤーだ。
わざわざ割高な傷薬を使う必要はないはずだった。
「まあ、単なるこだわりです」
そう言われてしまえば、ルインとしてはそれ以上、詮索できない。
だが、防具が欲しいと言っていたのが、回復アイテムになってしまう。
そこに微妙な違和感があった。
「じゃあ、猟師が個人でやってる店がある。
街中でも外れの方になるが、そこに行ってみようか」
「いいですね!
案内をお願いします」
ホライゾンは嬉しそうに笑って、言うのだった。




